雪の日に・・・。
「中野さん!授業中にいねむりなんて、ありえません!」「雪、だいじょうぶ?」となりの桃の声?「は!なにが?ご飯まだ?」あれ?みんななんでわらってるの?って、ここ教室じゃん!「雪、おもしろっ。」男子にみられてた。ああ、もう終わりだ~。ってとっくに終わってるけど。「中野さん!寝る余裕があるのなら、あの問題解けるのでしょう?」「何言ってるの?先生、一学期になってまだすぐだから先生まだ私のこと何も知らないんですね。はい、この問題はここをこうして・・・。はい、解けましたっと。あと、ついでに次の問題もやっておきますね。あと、こうなる理由をせつめいすると・・・。」すらすらすらーと。つまんない、数学なんて簡単すぎて。「これからおしえるところをすらすらと・・・。いったいどんな勉強を・・・。」フフ、先生参ってる。「寝ててもいいですか~。つまんない授業なので・・・。」今日も楽勝!
給食
「雪!すごいね!先生に何も言わせなくするなんて。」「桃、あんなつまんない授業、寝ない方がおかしいよ。」「雪って生意気だよな。自分だけできるからって。」「そんなこと、よくいわれるよ!できない人に限ってそういうんだから!あれ?1人の子いるけど。」端っこに机を横にせず、グループに入らないこがいる。話しかけちゃお!「ねえ、私雪!あなたの名前は?」「霊。」うつむいたまま聞こえるそのか細い声は、本当に幽霊みたいだった。「あなた、霊って名前なの?ホントに幽霊みたいじゃん!」「そう・・。」「いっしょにたべよう!」「いいの?」「うん!」なんだか、考え事してるのかな。他の子から避けられてるみたい。霊って名前だからかな?「私に出来ることならなんでもしてあげるよ!」「ありがとう。」レイなんているわけないじゃん!「レイなんているわけないのにね。」「え?そんなことないと思うけど。」え?なんだか不思議な子・・・。
夜
さあ、早く寝よ。私はやすらかに眠りについた。
『はあ、よく寝た。あれ?なんで私、ゆかで寝てるんだろう?しかもベットの下で。なんで?まるでベットをすり抜けたように。もう!下をくぐり、私は、ベットの下から脱出!あれ?ドア開いてる。「おかあさん!ドアはちゃんと閉めてよね!」ドアを閉めようとした瞬間、あれ?ドアノブに触れない。なんだこれって夢じゃん。「気づいた?」え?振り向いたら霊ちゃんがいた。「どうして霊ちゃん?」「あなたは今、まだ気づいてなかったのね。あなたは―。』
はっ!なんか、変な夢だった。
休み時間
「え?霊さんが出てくる夢をみた!?」「な、何?そんなに驚かなくても・・。」「やばくね?おまえ。霊が夢に現れると、必ず正夢になるって聞いたことがあるぞ。しかも、そいつにも近づくと他のやつにも移るらしいぞ・・。」「ばっかばかしい。それでも中2?」「雪、そんな事言ってらんないよ。いままで3人もそれで自殺したのよ!」「おい、桃!雪に近づくなよ!」「そっか、雪、霊ちゃんと話さなければ数日して夢は収まるから、雪には悪いけど、今日、一緒に帰れないわ。ごめん!」そんな噂、私が信じるわけないじゃん!非科学的なことは私、信じないから!「霊ちゃん、またね!私はあんなでたらめな噂は信じないからさ!」「そう・・・。」
夜
『はぁ~よく寝たって、また夢か。今日も体が透ける夢・・ね。「雪ちゃん・・・。」その声は「霊ちゃん!また夢に出てきたのね。」「信じてないの?」「え?何が?」正夢・・。「ははっ。信じるわけないじゃん!大丈夫、信じないから。」「ちがうの!」「え?」今まで聞いたことのない霊ちゃんの大声。「私は幽霊。みたいなもの。みんなの言うとおり。でも、あなたも霊・・・霊みたいなものなの。」「へ?ははは、おもしろい!なんの冗談?」「信じて、あなたは、現実の世界にいないはずなの。あなたの現実はここなの。」私、なに変な夢みてんだろ。「あなたの本当の名前はユメ、雪は現実の世界で生きるための名前。」「さっぱりわからない。私の名前は雪よ!だれ?ユメって。」「思い出して。まさか、記憶をなくすことになるなんて。でも、このままあなたが自分の現実を受け入れないまま、生きていくなんて、だめなの。思い出して。私のこと、自分のこと。」・・・・。』「・・・・ん?あ、夢だよね。やっぱり。」
昼休み
「また、変な夢みちゃった。でも、不思議とその夢のことよーく覚えているんだよね・・・。」桃に話しかけたつもり、なのに、返事をしてくれなかった。正夢って・・。どこをどうやったらあの夢が正夢になるの?「ユメちゃん。」え?私のこと?霊ちゃんが私の机の前で言った。「霊ちゃん、何言ってるの?おかしい。私の名前ぐらい覚えてよ。私の名前は雪だよ。」「ユメちゃん、そんなに現実がつらかったのね。」「ねえ、きいてる?私の名前は雪!!!」そう私が言った瞬間。周りの子が私の方を見た。「ごめん!ははっ。つい怒鳴っちゃった。」「・・・・だれ?・・・。」「・・・さあ・・・。」みんなが私たちを不思議そうに見ている・・。「ついに思い出したのね。」「え?なにを?」「自分がユメだということにようやく思い出したのね。でも、まだ信じてない・・。私の指名はあなたを天国に戻らせること・・。今すぐ、私と一緒に天国へ戻りましょ。」「そ、そんなの知らない。な、何のこと?」どうして?どうしてよみがえってくるの?思い出したくない!この世界にずっといたい!
「ユメ・・!」「レイ!レイったらおそいよ。今日は仕事休みだから、天国公園であそぼ!」「うん。」私たち天使は、生まれたころから天国の世界にいる。10歳になってからは、日曜日以外は毎日仕事。仕事内容は私は人間の夢を操る仕事。そしてレイは、成仏できる霊を天国にむかいにいく仕事。
天国公園で遊んだ私たちは、天地エレベーターから人間界へ・・。商店街ではおいしそうなクレープやアイス。「ねえ、これおいしそう!」「そうね・・。」「はあ、触れられたらいいのに。そしたら食べられるのに。」「しょうがないわ。人間だって天国に行ってみたいって思ってるのだもの。」「そっか・・・。天国のどこがいいんだか・・。高級そうな食べ物しかないし学校ないし。変な輪っかついてるし。」私は頭の輪っかと背中の羽を抜こうと引っ張った。「人間は空が飛べないのだから。私たちの方が幸せよ・・。」「はあ、今日は帰ろう。なんかつかれちゃった。」「そうね。もう28時71分ね。そろそろかえりましょ。」
月曜日
「ああ、朝の夢はどうしよう・・・。ああ、だれにしよう!」人間界をふわふわ飛びながら、悪い夢を探してる。地獄の住民もしつこいな・・・。悪夢なんて見せなくていいのに。あっ!あの・・・。桃って子。うん!マグマに落ちそうな夢ね。落ちたら死じゃうみたいね。いいかも!よし!いい夢みせちゃお!
『「いや!助けて!」これって夢かもしれない。でも、落ちたくない!「ほら!手、かしてあげる。」「え?だれ?」「私はユメ。で、ここは夢だけど、落ちるとホントに死ぬよ。早く私の手つかんだ方がいいと思うよ。私、人の手を握るのは数秒だけしかできないの。」「え?ほんとに!?」夢の中の話しかもしれないけど、疑ってばかりじゃだめだよね。「うん!ありがとう!」「じゃあ、このがけを花でいっぱいにするよ!」うわあ!マグマのがけが一気にお花畑に!「ありがとう!雪が多いこの地域はなかなかはなが咲かないからうれしい!」「雪・・・。」「あ!あなたのあだ名。雪!かわいいでしょ!雪の日に花を咲かせた魔女☆!」「雪・・・。いい名前。」「握手!」最後に友達の握手。「ごめん。私、人間じゃないから握手はたとえ夢の中でもできないの。さっきは一時的にできただけで。」手を握ろうとしたけど雪のては私の手をすり抜けた。「そう。でも、いつか握手したいな。一緒に勉強とか!ブランコに乗るとか!」「・・・。わたしもそうしたい。でも・・・。あ、もう起きる時間みたい。また夜くるね。楽しみに寝てね。」なんだろう。不思議な夢・・・。』
そして私は夜、桃のところに行った。でも・・・。
『「また来たよ!触れられないけど一緒にあそぼう。」「え?あなた、だれ?」「え?私、雪!前に夢にでてきたでしょ!」「う~ん・・・。ごめん。覚えてない。夢なんてすぐに忘れちゃうものだからね!」「う・・そ・・。」』
どうして夢はすぐ忘れちゃうんだろう。桃は、私のことをすっかり忘れてしまった。夢・・・だもんね。
天国 泉の女神の家
ここなら、願いを叶えてくれる・・・。「あの!女神様!」私が呼んだとたん、泉から女神がでてくる。「わたくしを呼んだのはどなたですか?」「はい!私です。ユメです。」「ええ、それで、お願いがあるのでしょう?」「はい!私を人間にしてください!」「え?人間に?どうして?ここは人間界よりもさらにいいところですのよ。わざわざ人間になりたいのですか?」「はい。実は、夢で出来た友達にすぐ忘れられてしまって・・。その子といっしょに遊んだり、勉強したりしたいんです。」「そうだったのですか・・。しかし、願いを叶えるには何かいただかなければなりません。そして、一度しか叶えられません。それでもいいですか?」「はい!」「完全に人間にすることはわたくしでもできません。一ヶ月以内に戻ってこなければ、水のあわになってしまいます。」「なんだか、人魚の話みたい。ま、女神様は人魚の親せきなんだっけ。だいじょうぶ!少ししたらかえってくるよ!」「では、アクアドリームシャワー!」私は泉の水の力で、人間になれた。「お母さん!行ってきます!」記憶と引き替えに水の親と過ごして・・。
「思い出しちゃった・・・。」「ねえ!雪!どういうこと!」「桃は私のこと忘れてないの?」「うん!もちろん!それに・・・。」「何?」「今思い出したの!雪、前に夢であったよね!マグマから助けてくれたじゃん!」「思い出してくれた・・・の?」「うん!雪!」「よかった・・。」「さあ、ユメ、思い出したのなら早くいきましょ。」「絶対いや!」「でも、このままじゃ水のあわになっちゃうよ!」「せめて、夜まで待って!お願い!」「え?」「ごめん!エンジェルドリームスイート!」ごめん!レイ!少しの間、寝ててね・・・。「いこ!」」「え?どこに!?」「早く!」私は桃の手を思いっきりつかんで、学校から出た。「ちょっと!授業始まっちゃうよ!」「お願い!私の最後のお願い!今夜0時までに天国へ帰らないといけない、だからお願い!私と一緒にあそぼ!」「天国?えっと?何?」
「うわあ!おいしそう!このクレープ。それにしても、来ちゃってよかったのかな・・。」「このクレープたべよ!300円か・・。いいや!かっちゃお!」 「雪って面白い!そうだね!たべちゃお!」これが最後だから・・。女神様・・・。
「プリクラ?」「うん!桃!一緒にとろうか。」「うん!」
もう11時・・・。「ねえ、もう帰らないと叱られる。」「大丈夫!それは私が保証するから!」「ふふっ。雪の言うことは絶対なきがする。」「寒くなってきたね・・。」「ここのモールいこ!」
「この景品がなかなかとれない。」「雪!もうクレーンゲームはやめようよ。」「じゃあ桃とってよ!」「いいよ!」
「うわあ!やった!」「くまの人形ぐらいで・・・。大げさね。」「2つ取れたからおそろいだね!」私のピンクのくまに桃の赤のくま。どっちもかわいい。
気がついたら11時50分。「そんな!」「どうしたの?ああ!もうこんな時間!」急に冷たい風が通ったと思ったら・・透けて飛んできたレイが。「もう時間が大変!早く!ユメ!」「レイ・・・。」「どうしたの?」「私、本当は天国にいるはずの天使なの。桃に忘れられるのがいやで、来てしまったの。この世界に。でも、もう帰らないといけないの。」「私、もう忘れないよ!雪・・、ユメのこと!だってもう親友!今日はとっても楽しかったよ!」「見たでしょ!周りの子がみんな私を忘れたところ!もう、桃に忘れられるぐらいなら、水のあわになった方がいいのかも・・・。」「何言ってるの?私はもう忘れないよ!絶対!あなたには、友達が私しかいないの!?」「え?」「レイちゃんっていうすてきな友達がいるじゃない!私は、いつかユメのところまで行くよ!絶対いくよ!」「桃・・・。」「もし、忘れそうになってもね、このプリクラと・・・。くまぬいぐるみがある!長くなるかもしれないけど・・。いつか天国にいくから!約束する!」「ほんとに・・・?」「もちろん!ほら、握手!」「うん!」桃の手は温かくて、やさしい。絶対忘れない。この手は。「見て!窓!」「何?雪?」レイの声で、私たちは屋上へ。「うわあ!」「雪だ!」「冷たい。ね!桃!」「うん!」「もう、行かなくちゃ。絶対!幸せになって私のところにきて!」「もちろん!」私は決意した。「エンジェルイエロー!」羽を大きくあげ、「エンジェルホワイト!」頭にわっかを。「私、間違えてた。親友は1人じゃない!レイ、行こう!桃!私、レイと一緒に待ってるから!バイバイ!」「忘れない!絶対忘れないから!」雪の日に天国へ私たちは羽ばたいていった。
「レイ!帰って仕事しよ!」「うん!桃ちゃんとは夢で会いに行くの?」「ううん。もう行かない。私は、いつか桃が私のところにくるまで。待ってる・・。」よかった。この人間界にこれて。でも、天国も、楽しいかも!何事も、前向きにいかないとね。