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彼は少年兵(仮)  作者: 村川未幸
1章目 起
3/21

小鬼と呼ばれた男の子3

彼は3日後に目を覚ました。その時僕は、ちょうど彼の部屋にいた。


「……ん……」

「起きた?気分はどう?」

「……」


彼は口を結んだ。体を起こそうとしたけど、右腕に力が入らず、痛みで顔が歪んだ。僕は彼の体を支えた。


「無理しちゃダメだ。君は大怪我をしていたんだから」


彼の息づかいが少し荒くなった。あの子は言うことを無視して自力でベッドから出ようとしたけど、まだ傷が癒えてなくてね、立つこと叶わず、ベッドから落ちてしまった。


「うっ‼︎」とても痛かったろうに……。


僕は起き上がらせるために彼の手を取ろうとしたけど、彼は僕の手を払った。そして、僕を睨みつけた。怖かった。


「だから無理しちゃだめだって」


もう一度彼の手を取ろうとしたけど、やっぱり手を払った。


彼は自力で動こうとした。でも、体は言うことを聞かないのか、床の上でバタバタとするだけだった。


彼は必死だった。床の上でもがいていた。


すると、傷口が開いて太ももの包帯が赤く滲んできた。


無理やり彼の手を取って、彼を担いでベッドに寝かせた。


彼は暴れ出した。彼は力が強くてね、手こずったよ。


彼は叫びながら僕の腕を掴んできた。痛かった。爪が食い込んで血が出てきた。


そうこうしていると、次は右腕の傷口からも出血してきた。


すると、騒ぎを聞きつけた他の看護師がやってきた。


「先生を呼んできて!お願い!」


「はい」といって看護師は走って行った。


彼はますます暴れた。僕は必死に押さえつけた。体を使って、彼に覆いかぶさった。彼はますます叫んだ。


すると、医者の反頭たんどう先生と、看護師数名が来た。先生はすぐに注射を取り出した。他の看護師は、彼の腕を押さえつけ、先生は注射を打った。


すぐに効果がでたのか、彼は暴れるのをやめた。


「先生、ありがとうございました」

「彼はいつ起きたのかね?」

「ついさっきです」

「そうか、少し様子を見ておいてくれ」


先生はそう言って部屋から出て行った。


他の看護師は、僕を気遣ってくれた。


「巽君大丈夫?」

「はいなんとか。この子、急に暴れて……」

「誰でも最初はそうなるわ。さ、腕の怪我を手当てするわよ」


僕はその場で手当てを受けた。彼の傷の開きは浅かったので、消毒をして包帯を取り替えるだけでよかった。


彼の呼吸は元に戻った。目は虚ろで、口は半開き。まるで、死んでるみたいだった。

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