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小鬼と呼ばれた男の子
これから、ある男の話をしよう。
彼は、少年兵だった。
とても優秀な兵士だったそうだよ。たくさんの人を殺し、嬲って、人間をオモチャのようにもて遊んだんだって。
この荒れ果てたニッポンという国で、彼は、大人たちの駒にされ、新政権軍と反乱軍の戦争に参加してきた。
僕が彼と出会ったのは、ちょうど3年前の冬だった。
彼は血を流して倒れていた。カタカタと体を震わせ、着るものもなく、凍えていた。
僕等が彼を保護したとき、彼の意識は朦朧していた。
彼は、霞んでいく意識の中、僕にこう言ったんだ。
「ガ……ガンパウダーを……くれ……」
ガンパウダーとは、銃弾の薬莢に入っている火薬のことで、トルエン成分が入っていて…。
彼は、麻薬中毒だったんだ。
僕が今から話すのは、その少年兵の話。彼が何故、少年兵になったのか、何故、人を殺さないといけなかったのか、彼の辛い過去を、ここに綴るよ。