Sunset Parfect Crime
私は貴方が嫌い。
毎日、分け隔て無く誰にでも笑顔を見せて、
当たり前の様に呼吸をして、
身体中を止めどなく血液が循環して、
暖かい体温があって、
休むことなく稼働する心臓がある、貴方が。
貴方は、私の生きる意味だった。
貴方は、私の生きる糧だった。
貴方は、私の全てだった。
貴方は、私の
貴方は、私ノ
貴方、はaタ死N
貴方は、私。
「もう受験かぁ、…早いねぇ」
屋上に二人。
風は二人の間をすり抜け、何処かへ消えた。
夕暮れ時というのもあり、少し肌寒くなってきた。
「大学、何処に決めた?私は近くの私立大にしたけど、なんかね…。貴方は頭良いから国立の頭良いとこ行けるでしょ」
ふふ、と笑う。
セーラー服のリボンがふわりと揺れ、髪が靡く。
振り返り、フェンスを掴む。
「………死んだら、何処へ行くんだろうね」
下を覗き込む。
「私は、地獄に堕ちるだろうね」
「貴方も、地獄。」
「一緒に堕ちるのかな?」
「もし、そうだとしたら」
フェンスを血が出る程、きつく握る。
「素敵ね」
賽銭箱に、銭を投げ入れた。
ゆっくりと、視界が暗いコンクリートの地面に近付く。
さよなら、お元気で。
私は貴方の居ない世界から消えるけど、貴方は一つも困る事は無いし、損も無い。
あは、あはは。
大きな衝突音と、脳が潰れる音、吹き出す血液の温かみ、勢い。
ぼやけていく視界、倦怠感。
力が、不思議と入らないんだ。
じわりじわりと広がっていく、私の血液。
呆気ない。
人間って、呆気ないわ。
こんなつまらない話が私の人生なら、最後くらいは、美しく飾ってくれる?
そんな訳無い。
そんな訳無い。そんな訳無い。そんな訳無い。
そんな事があって堪るものですか。
みんな、地獄に堕ちれば良い。
不公平じゃない。
世の中、平等なのは時間だけ?
違う。全て平等な筈。
違う。
全てが違う。
こんなの私は認めない、こんな人生なんて望んでない、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。
屋上の扉を開ける。
緑色のフェンスを掴み、跨がる。
次こそは絶対に外さない。
私を置いて幸せになる事なんて許さない。
逃がさない。
地獄の果てまで追いかける。
次は、逃げられないよ。
綺麗になんて終わらせない。
吹き出す汗と、にやけがおさまらない口元。
この感情は、狂気、か。
貴方は、私。
私は、貴方。
セーブなんてしないわ。
もう未練は何一つ無いから。
これでもう終わり。
私の、世界一くだらない終極。