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「もういいだろう?」
「「!!」」
「………」
突然かかった声に、私たちは反応し、そちらを見る
「……………標的は俺だろ?
関係ねぇやつ巻き込んでんなよ」
先ほど胸ぐらを捕まれた生徒が、木の幹に寄りかかり、空を仰ぎながら言い放つ
(……………言葉にはしっかり力が感じられるけど…、身体が力が入らない様子ね………)
じっと観察すると、彼は身体を動かす素振りを見せず、ずっと寄りかかったままの状態だ
まぁ、近くでこれだけ強い言霊の力を受けていれば、力を感じなくとも、何らの支障が身体にのしかかるのは当たり前だろう
「そうだぜ?お前が早くこの学園からいなくならないから、
余計なやつがしゃしゃり出てきたんだよ
俺達に手間かけさせやがって、
《この悪魔!》」
「…………っ、!?」
「…!!」
吐き出された言霊に、またバランスを崩しそうになるが、なんとかもち応える
(これ以上言霊の力を使い続けられては、あの人の心にまで影響が……………仕方がありません)
「そんなに、他人を傷つけて、楽しいですか?」
「…………なに?」
「はぁ?」
私の問いかけに、2人は怪訝な顔をする
「“言葉”は、時にはナイフにもなります
下手に相手に向かって“悪の言葉”を向けるのはお辞めなさい」
「はぁ?意味わかんねぇ
あんたどっかの宗教?頭おかしいんじゃねぇ?」
がっはっはっ!と大口を開けて笑いだす2人
私は、今なら…………と口を小さく開くと、言葉を紡ぐ
《言に潜む力よ
我に力を貸し給え……………》
「あなたたち?」
「をぁ?」
「あ?」
「《今すぐ教室に戻りなさい》」
力の波動は緩やかに、しかし、強く効くように少し強めに言い放つ
「「………!?」」
2人は、ハッとしたように顔をあげると、そのまま回れ右をしてこの場を去っていった