埃を被った従軍記
「お父さん、また本借りてもいい?」
リビングで本を読んでいた父が、こちらを見ることなく返事をした。
「別に構わんが…お前、いつから歴史書なんて読むようになったんだ?」
「別になんだって良いでしょ!」
少し強めに返すと、父は肩をすくめる。
「はいはい。戻す場所だけは間違えるなよ」
「わかってるって」
私はそう言って父の書斎へと向かった。
重い扉を開くと埃が宙を舞い、鼻をくすぐる。
父の書斎は昔から独特だった。
部屋いっぱいに並ぶ本棚。
政治、軍事、戦術、他国との関係。中には共和国戦役や帝国の内戦について書かれている本もある。
普通の家にあるような娯楽本はほとんどない。
「うーん…どれにしよっかな〜」
本の背表紙を指でなぞる。
その中にあるものが目に入った。
「何これ?」
それは本と本の間に挟まれていた。
それを手に取ってみて埃を払う。
その本にはそう書かれていた。
「これは英雄譚ではない-星暦戦争従軍記-」
著者:レオン=ベルゲン
「え…」
お父さんの名前だ…
お父さんが執筆したってこと?
確かにお父さんは共和国との戦いで名誉退役した。
その時のことについて書いたのかな?
「お父さーん、この本読んでもいい?」
「ん?どれだ?」
父は本から目線を外し、こちら顔を向けた。
「…どこにあったんだ?」
「書斎に本と本の間に挟まってたよ」
「はあ…読んでも面白いもんじゃないぞ」
「いいの!それで読んでもいいの!?」
「いいぞ。つまらなくても文句言うなよ」
「分かった分かった」
私は自分の部屋に戻って本を開き、読み始めた。
本作品は展開が結構ゆっくりです。
テンポが速くなるのは5話からなのでもし戦闘シーンや軍事関連のシーンが読みたい方は5話から本格的な作戦が始まるので良かったらどうぞ




