これが私の答え
本作は『優しいだけの俺は捨てられた。』の裏側を描く、沙里奈視点の物語です。
ここで、この物語はひとつの結末を迎えます。
彼女が何を選び、何を背負うのか。
最後まで見届けていただけると嬉しいです。
その後のことは、あまり覚えていない。
ただ、私は動いた。
証拠を集めて。
確実な形にして。
誰にも知られないように――送りつけた。
◇
結果は、あっけなかった。
リョウマは、すべてを失った。
噂は静かに広がり、
居場所を、少しずつ削り取られていった。
やがて、彼はその場にいられなくなった。
「……終わった」
ぽつりと呟く。
長かったようで、
振り返れば、ほんの一瞬だった気もする。
◇
タケシは、理解している。
りえこが何をしたのかも。
何が壊れてしまったのかも。
でも。
――その裏で、何が起きていたのかまでは、知らない。
そして。
それを知ることは、きっとない。
それでいい。
それ以上知れば、
きっと、何かが決定的に壊れてしまうから。
◇
りえこは、もうタケシの隣にはいない。
それが、すべてだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
◇
全部、終わった。
遠回りして。
間違えて。
傷ついて。
それでも、ここまで来た。
「……ほんと、バカね」
小さく笑う。
◇
私は、全部知っている。
でも。
それを誰かに話すつもりはない。
――これは、私が背負うものだから。
◇
それでも。
私は、前を向く。
もう、逃げない。
もう、間違えない。
……たぶん。
◇
「ほんと、無理しすぎなんだから」
「いやいや、これでもだいぶマシになったって」
並んで歩く帰り道。
タケシは、いつものように笑っていた。
「……ありがとうな」
ふと、そんな言葉をこぼす。
「え?」
「いや、なんでもない」
照れくさそうに視線を逸らす。
――優しいだけの人。
でも。
それでいいのかもしれない。
◇
「……ほんと、ずるいな」
小さく呟く。
聞こえないくらいの声で。
その時。
ほんの一瞬だけ。
口角が、上がった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この物語における“正解”は、ひとつではないのかもしれません。
それでも、沙里奈は自分なりの答えを選びました。
それが正しかったのかどうかは――
読んでくださった皆様に委ねたいと思います。
少しでも心に残るものがあれば、嬉しいです。




