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沙里奈の独白

本作は『優しいだけの俺は捨てられた。』の裏側を描いた、沙里奈視点の物語です。


前作をお読みいただいた方は、「あの時、彼女は何を思っていたのか」を楽しんでいただければ嬉しいです。


本作単体でも読めますが、前作とあわせて読むことで、より深く楽しめる構成になっています。

私の名は沙里奈。


幼い頃から、タケシが大好きだ。


優しくて、いつも笑っていて、

何かあるたびに、当たり前みたいに私の頭を撫でてくる。


……あれ、ずるいと思うのよね。


そんなことされたら、

好きにならない方が無理でしょ?


だから私は、

タケシと結ばれるものだと、ずっと思っていた。


――疑いもしなかった。



私とタケシは、同じ大学に進学することになった。


「タケシと同じ大学行くために、死に物狂いで勉強したんだからね!」


ちょっとドヤ顔で言ってみる。


「よく頑張ったな、沙里奈。ご褒美あげよう」


ぽん、と頭に手が乗る。


……きた。


「ちょ、ちょっと!恥ずかしいからやめて!」


反射的に手を払ってしまう。


あぁ、もう!


(ほんとは、もっとしてほしいくせに……!)


素直になれない自分に、毎回ちょっとだけ凹む。



大学に入ってから、

りえことリョウマと仲良くなった。


りえこは、優しくて、可愛くて、清楚。


……うん、完璧すぎてちょっと腹立つ。


リョウマはイケメンで、明るくて、距離感近いタイプ。


正直、ちょっと軽い。


でも、いい奴ではある。


そんな4人で、

よく遊ぶようになった。


楽しかった。


……ほんとに。


でも。


時間が経つほどに、

分かってしまった。


りえこが、タケシを見ている目。


あれは――


同じだ。


私と、同じ。


「……うそでしょ」


思わず、小さく呟いていた。



私は焦った。


私だって、アプローチしてたつもりだった。


一緒にいる時間だって、誰より長かったはずなのに。


でもタケシは――


私を、“妹みたいなもの”として見ていたのかもしれない。


……それに気づいた時、

ちょっとだけ、笑えた。


(あーあ、そりゃ勝てないわ)



四回生になる頃には、

二人は、もう恋人同士だった。


「どうしてこうなったのよ……」


誰にも聞こえないように呟く。



「なあ、沙里奈」


リョウマが隣に座る。


「あの二人、いい感じだよな。俺たちも応援してやろうぜ」


「……応援?」


何を言っているの、この男は。


「え、ええ……そうね」


(なに頷いてんのよ、私のバカ!!)


内心で全力ツッコミを入れる。



ちなみに私は、

大学でそれなりにモテた。


というか、めちゃくちゃ告白された。


でも。


「ごめんなさい。誰かと付き合うつもりないから」


全部断った。


……タケシじゃないなら、意味ないし。


「キツイなー沙里奈。でも、俺はそんなお前が好きだぜ」


リョウマが、軽く笑いながら言う。


……ほんと、この人は。


「……ありがと。でも無理」


即答。


(優しさは持ってるのよ、私だって)



あぁ、神様。


どうしてこんなにうまくいかないの?


……ねえ、タケシ。


私は、ずっとここにいたのに。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


本作は『優しいだけの俺は捨てられた。』の裏側として、沙里奈の視点から描いてみました。


前作では見えなかった彼女の想いや葛藤、少しでも伝わっていれば嬉しいです。


まだ物語は続きますので、沙里奈がどんな選択をしていくのか、見守っていただけると幸いです。

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