8.セルシア国王視点
セルシア国王は、ダルヴァール公爵の従兄弟である。今は引退しているダルヴァール公爵の父は、先代王の王弟である。セルシア国王とダルヴァール公爵は幼馴染の親友である。帰国したらすぐに謁見するようにダルヴァール公爵へ書簡を送っていて、詳しい話を聞けるのを心待ちにしていた。
世界一位の国力のエンドラ王国は世界の警察とも言われ、世界二位の国力を持つ野心溢れるディーク帝国を抑え込むことのできる唯一の国である。
周辺の国が帝国に武力で取り込まれそうになった際、攻撃を受けた際は、軍事支援をしている。
セルシア王国とて世界三位の大国ではあるが、圧倒的一位のエンドラ王国には遠く及ばない。
セルシア王国とエンドラ王国は同盟国ではあるが、この婚約で今まで以上に強固な信頼関係が得られるのでは無いかと嬉しく考えた。
しかし、セルシア王国国内の貴族は、ただでさえ蒸気機関車、製糸場などで大発展を遂げていて王国を揺るがす力を持つダルヴァール公爵が、更に力をつけて王国に反旗を翻さないか問題視する声も大きい。
ダルヴァール公爵は人格者で裏切りなど全く考えておらず、周りでダルヴァール公爵を担ぎ上げようとする動きが出るとすぐに抑制しているくらいだが、力関係も考えてセルヴィア嬢を我が国の王太子妃にできればと密かに考えていたので、今回の婚約に落胆したのも事実だ。
「では、エンドラ王国王太子殿下の強い希望で、今回の婚約となったのだな。しかも、セルヴィア嬢が望めばいつでも婚約破棄ができるとは…よくエンドラ王国が許可をしたものだ。そんなにセルヴィア嬢は切望されているのか。まだ、社交界デビューもしていないし、学園にも通っていない幼さから言ってはいなかったが、6歳にして聡明と噂されるセルヴィア嬢を我が国の王太子妃にできればと密かに思っていたのだ。」
国王はセルヴィア嬢が学園に通うようになったら8歳のリチャード、6歳イーサンにも出会うだろから、2人の息子のどちらかとセルヴィアと息子が結婚を望んだ場合には婚約をできるのでは無いかと思案していた。
もしも息子がセルヴィア嬢を好きになった場合は、セルヴィア嬢からいつでもクリストファー王太子殿下と婚約破棄をできる契約であることを伝えよう。
婚約破棄ができるという事は極秘事項だが、2人の息子なら口外しないはずだ。




