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2-15.クリストファールート「久しぶりのキス」

エンドラ王国に来て、1ヶ月が経った。

私もクリス様も忙しく過ごしながらも、クリス様はよく私の事を気にかけてくれた。


幸せそうなクリス様を見て、私も嬉しい。


クリス様のパートナーとしてパーティーに参加すると、クリス様の人気の高さがうかがえる。

圧倒的な実力と美貌、絶対的王者の風格。

こんな素敵な方が、私の旦那様になるのだと思うとドキドキする。


それなのに、最近気になっている事がある。

冬休みにクリス様とキスしてから、4ヶ月間一度もキスをしていない。

今までは触れるだけのキスを会うとしてくれたのに、クリス様に私の気持ちを気付かれて、激しくキスを冬にされたのが最後だ。


クリス様は優しく、私の事を愛してると言ってくれるけど、もしかしたら、もう私とキスしたく無いのかもしれないと思い、落ち込んだ。

落ち込む資格すら無い。

自業自得なんだから。


自分からキスする勇気も、クリス様に聞く勇気もなく、更に1ヶ月が経った。

クリス様は変わらず優しく、愛も伝えてくれて、大切にしてくれる。

今まで以上にクリス様が近くにいるはずなのに、なんだか遠く感じた。

必要以上に抱きしめる事もキスもされない。


自分の中の不安が表に出たのか、クリス様が

「セルヴィ、最近何か悩んでいない?大丈夫?」

と聞いてきた。

クリス様にキスされなくて悩んでるだなんて、恥ずかしくて言えずに困っていると

「悩みは何でも言ってと言ったよね。僕はセルヴィが悩んでるのが辛いんだ。」

と言われた。


「実は、最近クリス様にキスをされなくなったことで悩んでいるんです。。」

と正直に伝えたら、クリス様が驚いたような表情をして、顔に手を当てそっぽを向かれた。


「…ごめん、僕のせいだ。」

「いいえ、クリス様のせいではありません。私がクリス様に愛想をつかれても仕方がない事を」

「違う!違うんだ!セルヴィ!」

珍しく慌てるクリス様。


「僕は君に『君が他の誰を想おうとも、全てひっくるめて君を愛している。』と伝えた。その言葉に嘘は無いんだけど、僕はイーサン殿下とリチャード王太子殿下に嫉妬をしているんだ。」

愛想を尽かされてキスをされなくなったのかと思っていたから、思いがけない言葉で驚いた。


「僕の醜い嫉妬心なんてセルヴィに見せたくなくて、セルヴィにキスをしたら自分に歯止めがかけられなくなってしまうんじゃないかって。。」

「本当はずっと気になってた。セルヴィがイーサン殿下とどんなキスをしたのか。セルヴィがどう思ったのか。」


「…ごめんなさい。本当にごめんなさい。」

「違うんだ、謝って欲しいんじゃ無いんだ。セルヴィが抵抗してくれたのも知ってるし、セルヴィは悪く無いんだ。辛い事を思い出させてごめん。。」

「いいえ、謝るのは私の方です。私はあの時、イーサン殿下を拒絶しながら、心でクリス様を裏切っていました。キスをされながら全てを捨てて、このまま流されてしまいたいとすら思ってしまったのです。」

クリス様の顔が泣きそうに歪む、私の顔も同じような顔をしていると思う。

「…ごめんなさい。。」

私が謝っても、クリス様はすぐに返事もできないようだった。


「…想像以上に辛いな。。セルヴィとイーサン殿下、リチャード王太子がお互いに想い合っているのも知ってたのに。自分からイーサン殿下の名前を出しておきながら、セルヴィからイーサン殿下の名前を聞くのすら嫌だと感じてしまう。」

「クリス様。。」

クリス様があまりにも辛そうに言うので、私は何も言えなかった。


「ねえ、セルヴィ。イーサン殿下とはどんなキスをしたの?」

激しく情熱的に何度もイーサン殿下にキスをされた事を思い出す。

そして、その時の自分の感情も蘇る。

私がクリス様に答えられなかったら、クリス様に触れるだけのキスをされた。


「イーサン殿下にされたのはこんなキス?」

私は答えられずにいると、今度は激しいキスをされた。

「セルヴィ、今何を考えてるの?」

「ごっ、ごめっ、んっ」

返事をしようとしてもすぐに口が塞がれる。

「イーサン殿下とのキスなんて忘れてよ。」

「僕のことだけを考えて。僕でいっぱいになって。」

5ヶ月前に一度クリス様にされた時のような激しいキスに、体の芯が疼くような不思議な感覚になる。


「こんなに可愛い姿をイーサン殿下に見せたの?」

「こんな潤んだ瞳でイーサン殿下を見つめたの?」

「僕以外、他の誰にも見せないで。」


何度も深いキスをした後にクリス様が自分の髪を乱暴にかき乱して、深いため息をついた。

神々しい程の美形だから色気が凄すぎて、目に毒だ。

「ごめん、セルヴィ。僕は君のことになると、冷静でいられなくなってしまう。愛しているんだ。」

「私も愛しています。」

「君を大切にしたいのに、君を傷つけてしまいそうなんだよ。…君を抱きたいんだ。」

私は驚いて、固まってしまった。


「ごめんね、驚かせて。安心して。結婚するまでは君の純潔を守るよ。9年間以上ずっと待ってたんだ。あと2ヶ月だって待つよ。」

「ただ、僕がどれだけセルヴィを愛していて、求めているかは知っておいて。君が僕にキスをされなくて悩んでいただなんて、気づかなくてごめん。僕はずっとセルヴィにキスをしたかった。セルヴィにキスをすると自分で歯止めが効かなくなってしまうって思っていたから、キスができなかっただけなんだ。」


「謝らないでください。私、クリス様とキスができて嬉しかったです。私もずっとクリス様とキスがしたかったです。」

「セルヴィ。。」

今度は優しいキスをされた。

「私をクリス様でいっぱいにしてください。」

クリス様が驚いて固まった後に、また優しいキスをされた。

「セルヴィ、そんな事を言われたら、本当に歯止めが効かなくなってしまうよ。僕は君を大切にしたいんだ。」

優しい触れるだけのキスが繰り返されて

「あと2ヶ月が待ち遠しい。」

とクリス様が呟いた。

「私もです。クリス様。」


その日から私の悩みも無くなり、クリス様が優しいキスをしてくれるようになった。

順調に先の準備も整い、あっという間に2ヶ月が過ぎ、結婚式当日になった。

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