2-4.クリストファールート「雪解け(クリストファー視点)」
セルヴィの自殺未遂を知ってから2日後、僕はダルヴァール家に来ていた。
とにかく早くセルヴィに会いたくて、宿にも泊まらず、寝台列車を乗り継ぎ、最速のルートでセルシア王国に来た。
こんな短期間で公式な訪問はできないからお忍びで突然の訪問にも関わらず、ダルヴァール公爵夫妻は快く出迎えてくれて、跪いて謝罪を受けたが、すぐに謝罪を止めるように伝え、僕からも誠心誠意謝罪をした。
書簡では伝わらなかった内容や、自殺未遂をしたその後の様子、出来事を聞いた。
自殺未遂の後の3日間は公爵夫妻がセルヴィに寄り添ってくれて、親友であるマルク伯爵家長女フローラ嬢もお見舞いにきてくれて、少しずつ元気を取り戻していると聞き、安心した。
公爵夫妻もセルヴィの気持ちを考えてあげられなかった事を後悔していると言っていた。
何があろうとも僕のセルヴィへの気持ちは変わらない事、改めてセルヴィにプロポーズをさせて欲しい事を伝えた。
そして、僕は人生でセルヴィに2度目のプロポーズをした。
苦しそうな彼女を見ていると辛い。
セルヴィには笑顔でいてほしい。
願わくば、僕がセルヴィを幸せにしたい。
「私はクリス様に相応しくはありません。とても許されない行いを致しました。どうか…」
セルヴィはそれ以上言葉が出てこないようだった。
プロポーズを受け入れたいけど、責任感の強い彼女は自分が許せないのだろう。
「相応しい、相応しくないかなど関係ない。セルヴィは自分に相応しい相手だから結婚するの?どんな君でも愛している。僕はセルヴィがいいんだ。他の誰でもない、セルヴィでなければダメなんだ。君以外は考えられない。何があろうとも、君を幸せにしてみせる。」
僕はセルヴィに言い募る。
「クリス様…、本当に私でよろしいのですか?」
セルヴィが恐る恐る訪ねてくるから、僕は嬉しくなり微笑みながら
「セルヴィじゃなきゃダメなんだ。」
と口にした。
「謹んでお受け致します。ご一緒に幸せな人生を歩みましょう。」
泣きながら微笑んだ彼女は、本当に美しかった。
僕は跪いたまま王家に伝わる指輪を、セルヴィの左手の薬指に嵌めた。
美しいセルヴィにとても似合っていて、思わず見惚れた。
僕とセルヴィだけになってから、彼女のの口から今までの事、彼女の気持ちを聞いた。
彼女が話を終える頃にはセルヴィの表情が和らいでいた。
「今までずっとセルヴィの気持ちを考えずに、自分の気持ちばかり押し付けていた。」
と謝っても、彼女は僕は悪く無い、僕は常にセルヴィを大切にしてくれていると言ってくれた。
「リチャード王太子からの書簡を読んで、頭が真っ白になった。セルヴィを失うのが怖くて、夢中で後先も考えずにここにきてしまった。」
「心配をかけて、迷惑をかけてごめんなさい。でも、来てもらえて嬉しいです。」
「セルヴィが無事でいてくれるだけでいいんだ。僕はセルヴィが生きてくれている事がとても嬉しいんだ。生きてくれていて、ありがとう。」
最後に
「他でもない、クリス様に嫌われるのが私は怖かったのです。」
とセルヴィが言うものだから、僕は嬉しくて
「僕もセルヴィに嫌われるのだけが、怖いんだ。同じだね。」
と言い、2人で笑った。
久しぶりに彼女の心からの笑顔を見れた。




