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2-2.クリストファールート「二度目のプロポーズ」

自殺未遂の翌日から、私は家で毎日泣いていた。

母も父から私の話を聞いて、2人がずっと私のそばにいてくれる。

私はもう15歳だと言うのに、小さな子供のようだ。

思えば、小さい頃から両親に甘えた事が一度もなかった。


両親は

「セルヴィに甘えてもらえて嬉しいくらいだよ」

と言いながら、私の気持ちを聞いて、寄り添い続けてくれた。


誰かに自分の気持ちをこんな風に話すのは初めての事だ。

心が軽くなるのを感じた。

こんなにゆっくりと過ごしているのも物心がついてから初めて。


きっと、クリス様からは婚約破棄を告げられる。

あんなに完璧な人なのだから、こんな私よりも相応しい令嬢はたくさんいる。

クリス様と婚約破棄したとしても、リチャード王太子、イーサン殿下とも一緒になる気はない。

そんな事をしたら、私は自分で自分が許せないだろう。


リチャード王太子、イーサン殿下は私が落ち着いたら会いたがっていたが、私の両親が私が落ち着くまで会うのは控えてほしいと言ってくれているようだ。


自殺未遂から2日後には親友のフローラ様がやってきて、

「最近元気が無いように見えたのに、気づいてあげられなくてごめん。」

「大丈夫?と聞いても、大丈夫と微笑まれるだけで、それ以上踏み込んでいいのか分からなかった。」

「親友である私がもっと気にかけてあげるべきだった」

そして、初めて

「1人で抱え込んじゃダメ。何かあったら相談して。何があっても、私はセルヴィア様の味方だから。」

と怒られた。

フローラ様が声をあげて泣くものだから、私も声をあげて泣いて、2人で抱きしめ合った。

親友の言葉がとても嬉しかったし、たくさん心配もかけたんだと知った。


クリス様にリチャード王太子が書簡を送って4日日が経ち、もう既にクリス様は婚約破棄に向けて動き出しているだろうか…

自分のせいだと分かっているのに辛い。

と思っていたところに、思わぬ訪問者の名前が告げられた。


クリス様が私に会いにきてる?

もしかして、わざわざ婚約破棄を告げに急いできたの?

クリス様は王太子だからこんな早くにセルシア王国に来れる身分では無い。

私がエンドラ王国へ行く時ですら、宿に3泊するのに、クリス様は宿にも止まらずに寝台列車に乗って、最短の2日間でやってきたの?

そんなに急いで?


怖い、面と向かって婚約破棄を告げられるのが。

そもそも、どんな顔をしてクリス様にお会いすればいいの。


先触れも無く急な訪問で、両親が応接間でクリス様と1時間程話をした後に、両親から呼ばれた。

両親から応接間へ来るように言われて、私が行かないわけにはいかないだろう。

クリス様は私に会う為に無理矢理でも急いでエンドラ王国から急いで来てくれたのだ。


応接間に入るとお忍びで来たようでいつもより簡素な格好をしたクリス様がいた。

私を見るなり立ち上がり、心底安心したような、申し訳無さそうな顔をした。


「セルヴィ、突然来てしまってすまない。そして、今までの事も本当に申し訳ない。」


深々と頭を下げられて、私は驚いた。

王族が頭を下げるのは、とても重い事だ。

謝るのは私の方だ。

クリス様に嫌われていないと分かった安堵から、また泣いてしまい


「謝らなければいけないのは私の方なのです。本当に申し訳ございません。それに、わざわざご無理をしてでも駆けつけてくださり、ありがとうございます。」


と口にしたが、婚約破棄の話になるのが怖くて俯いた。

でも、クリス様の行動は私が思っていたものと正反対だった。

私の手を取り、跪き、

「セルヴィ。君が他の誰を想おうとも、全てひっくるめて君を愛している。永遠の愛を君に誓う。どうか僕と結婚してください。」


それは私が6歳、クリス様が8歳の時以来、9年ぶりの2度目のプロポーズだった。

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