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3.製糸場通い

サムは製糸場にとても興味を持ったようで、毎日、午前中に通うようになった。

「では、あまり長居するとお邪魔なので。」と2時間程で帰っていくが、通い始めて1週間経つ今日は、外食に誘われた。

両親へ伝えると、子供だけでは危険だからと家族みんなで行くことになった。

製糸場には食堂があるが、今日はせっかくなので下町へ行った。

家族みんな下町の暮らしには慣れたものである。下町の食堂でも、みんなで会話が仕事のことで弾み、更にはどんな食べ物が好きなど、お互いの国の文化などの話も弾んだ。


食後は市場をみんなで見てまわり、楽しい時を過ごした。

「市場を案内できればと思っていたのに、まさかこんなに市場に詳しいとは。」

サムはセルシア王国の私たちが、エンドラ王国に馴染み、市場にも詳しいことにとても驚いていた。


ダルヴァールギルドは、エンドラ王国でもデパートなどのお店を何店舗も開業しているので、私たち家族はよく視察をしていたのである。


「サラさんといるといい意味で驚かされてばかりです。そして、こんなに楽しい気持ちになったのは生まれて初めてです。本当に私もあなたを見習わなければと思います。」


「ありがとうございます。私もサムさんの知識量には驚きましたし、こんなに楽しいのは初めてです。ただ、2週間後には一度セルシア王国に家族で帰らなければいけないのです。今はセルシア王国とエンドラ王国を行き来できていますが、あと3ヶ月後にはセルシア王国の学園にも通い始めますので、長期休暇でしかこちらには来れなくなります。」


ダルヴァール領では平民でも学園の初等科と中等科に通う事が義務付けられているので、特に不思議な事はない。

他の地では平民は学園に通わない事が多い。


「では、今のようにお会いできなくなるのですね。次はいつエンドラ王国へ?」


「2ヶ月ほど先になるかと思います。製糸場が明日から正式に稼働しますので、大きなトラブルが起きればもう少しこちらに滞在する可能性もありますが。」


「サラさんが帰国されたら、寂しくなります。…明日お話ししたいことがあるので、できればサラさんのご両親も一緒に。。いつもと同じ10時に製糸場へ伺ってもよろしいですか?」


サムはひどくがっかりした様子だったが、何かを決意したような顔で明日の約束をした。


いつもだったら明日も製糸場の案内をして欲しいと言われるのに、不思議に思った。

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