16.婚約者としての好き(クリストファー殿下視点)
ついに4ヶ月ぶりにセルヴィアに会える。
セルヴィも会いたいと思ってくれているだろうか。
セルヴィからの手紙をもらう度に、嬉しい気持ちに包まれたが、イーサン殿下に嫉妬をした。
フローラ嬢からの手紙、報告を受けてイーサン殿下がセルヴィの事が好きなのは確定に思えた。
イーサン殿下はセルヴィに近づく男子を牽制していて、周りの男子はセルヴィに近づきたくても近づけないらしい。
イーサン殿下はセルヴィと一緒にいる為か友達として接していて、これ以上無い虫除けになっていると思ったのでこちらからは特に何もしてはいなかった。
しかし、セルヴィがイーサン殿下を好きになってしまったらと考えると気が気では無い。
イーサン殿下がセルヴィにクリストファーという婚約者がいるのにも関わらずアプローチをしてしまったら。。
セルヴィアは恋をしている様子はなく、友達の1人だとイーサン殿下を思っている様子だ。
しかし、それはクリストファーに対する好意も同じようなものだ。
最近セルヴィに接触をはかってきたリチャード王太子殿下の動きも気になる。
1ヶ月の間に自分を友達ではなく婚約者だと認識してもらえるように、しなければならない。
そして、それはとても難しいことのように思えた。
「会いたかったよ、セルヴィ。」
嬉しくて、つい会った瞬間に抱きしめてしまった。
毎日セルヴィのことを考えていたけど、本物のセルヴィは本当に可愛い。
「私もお会いしたかったですわ。クリストファー王太子殿下。」
「クリストファー王太子殿下じゃなくて、クリスだよ。」
「私もお会いしたかったです…クリス様。」
セルヴィが抱きしめ返してくれた。
セルヴィを抱きしめられるのは婚約者の特権だ。
セルヴィに会えて本当に嬉しい。
会わない間にクリストファー王太子殿下に戻ってしまっていたけど、セルヴィにはクリスって呼んでもらいたい。
クリスって呼んでもらえると、すごく嬉しい。
ぎゅっと抱きしめた後にセルヴィの顔を見て
「セルヴィ、好きだよ。」
自然と口から出てきた。
「私もクリス様が好きですわ。」
セルヴィが微笑む
「僕は婚約者としてのセルヴィが好きなんだ。セルヴィも同じ気持ちになってもらえたら嬉しい。」
「婚約者としての好きですか?それは普通の好きとは違うのですか?」
「普通の好きが、お母様やお父様、弟、友人のことを言うのなら、婚約者としてのは違うよ。確かに僕も父上や母上が好きだけど、婚約者として好きなのはセルヴィだけなんだ。婚約者、夫婦、恋人としての好き、恋する相手は1人しかいないんだよ。僕はセルヴィに恋をしている。結婚や婚約、恋人がいるのに、他の人も同じように好きになってしまう事はよくないことなんだ。」
「どうして他の人も同じように好きになってしまうのはよくないのですか?」
「もしも、自分の恋人に他に好きな人ができたら悲しくなるんだよ。自分だけに恋をして欲しいんだ。セルヴィが他の誰かに恋をしてしまったら、嫉妬で狂ってしまいそうだよ。僕は生涯、恋人、婚約者、夫婦として好きなのはセルヴィだけだと誓うよ。だからセルヴィも恋人、婚約者、夫婦としての好きは僕だけにしてね。他の人に恋はしないでね。」
セルヴィは驚いたような顔で僕を見ていた
「クリス様が悲しむのなら、私はクリス様以外に恋はしません。すみません、私にはまだ、クリスの言うような好きが分かりませんが、私も同じようにクリスのことを好きになれたらと思います。」
「ありがとう。好きになるように言われて、好きになるものでも無いし、僕もセルヴィに婚約者、恋人として好きになってもらえるように精一杯頑張るよ。」
(本当は他の男の人とセルヴィが仲良くなるだけでも嫉妬してしまうって伝えたら、セルヴィに嫌がられてしまうかな。セルヴィに嫌われる事が一番怖い。)
「私もクリス様の事が婚約者、恋人として好きになるように頑張りますね!」
「1週間後はセルヴィの誕生日だよね。誕生日は僕とデートをしよう。2人でお出かけをするんだ。2人で楽しい事をたくさんしよう。」
「はい!クリス様とデート楽しそうです!一緒にお出かけできるの嬉しいです。2人でどこに行きましょう。」
「平民の格好をして、お忍びデートも楽しそうだよね。これは内緒にして欲しいんだけど、実は僕はよくお忍びで城下町によく行ってるんだ。お気に入りのお店があって…」
2人は幸せだった。
セルヴィアとクリストファーが会えるのは長期休暇のみなので、長期休暇の度に婚約者として2人揃って視察にも出掛けるようになった。
後から、セルヴィは、クリストファーを婚約者、恋人として好きになるように頑張るってどうすればいいのだろうと悩むのだけれど。。




