表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/147

7歳編・第44話:戦いの余波 ― 村人たちの眼差しと、胸の奥の違和感

翌朝。

森の影が薄れ、太陽の光が村に差し込む。

しかし、戦いの余波はまだ消えてはいなかった。


村人たちはいつも通りの朝を迎えるため、畑や井戸に向かう。

だがその目には、昨夜の戦闘の記憶が色濃く残っている。

そして、リオンを見る視線が、微妙に変化していた。


「リオン……君、あれは……一体何をしたんだ?」

鍛冶屋の老人が、畑仕事をしながらも真剣な表情で問いかける。


リオンは小さく首をかしげ、答える。

「……俺、魔獣を止めただけ。何も特別なことはしてない」


しかし、誰も納得していない。

リオンの手のひらにはまだ、昨日の光の残滓が微かに残っているようで、

その指先からは小さな波動が感じられた。


アリシアが近づき、リオンの腕を軽く掴む。

「リオン、あまり無理はしないで。昨日の力は、あなたの創造核が反応した結果よ」


リオンは眉をひそめる。

(創造核……あれ、まだ俺の中で動いてるのか……)

胸の奥で、微かにざわつく感覚があった。


その感覚は、喜びでも恐怖でもなく、漠然とした“未知の期待”のようなものだった。

リオンは小さく息をつき、深呼吸をする。

(怖いけど……でも、この力で守れるなら……)


村の広場に出ると、昨日の戦闘で壊れた家屋の一部を修復する大人たちの姿があった。

倒れたガルムの影響で、道には土砂が散乱し、小さな水路は魔素の影響でわずかに変色している。


リオンは目を見張る。

(この世界、魔素が多すぎる……でも、それを利用すれば……)


補助AIの声が、リオンの心の中に響く。


――【あなたの創造核は、この村の未来を変えうる】

――【未承認帯域は、危険であると同時に、大きな可能性を秘めている】


リオンは頷く。

(可能性……か)


まだ10歳にも満たない自分が、村人たちの生活や安全に、ほんの少しでも役立てる力を持っている。

その事実は、胸の奥を少しだけ熱くした。


午後。

リオンは森の周辺を調べに出かけることにした。

アリシアは反対したが、リオンは強く首を振る。

「森の魔獣がどうして現れたのか、ちゃんと見ておきたいんだ」


森に入ると、地面には昨夜の戦闘の痕跡が残っている。

木々は倒れ、枝は折れ、土は抉られていた。

魔獣たちがここを通ったことは明らかだった。


リオンは胸の中で呟く。

(俺のせい……か? 創造核が反応したから、魔獣が寄ってきたのか……)


そのとき、補助AIが警告する。


――【創造核の反応が微弱ですが再度検知されました】

――【魔素の集中により、暴走の可能性あり】


リオンは立ち止まり、手を胸に当てる。

(まだ、俺……完全にはコントロールできてない……)


胸の奥で、昨日と同じ、微かな光の波が動く。

そして、耳元にかすかな声が響いた。


――【使用者の意思に従い……補助します】


リオンは目を見開く。

(また……出るのか……でも、昨日より怖くない……)


その感覚は、力が暴走する恐怖ではなく、自分の意思で世界に干渉できる“可能性”を示していた。


(俺……この力で、村のために、何ができるんだろう……)


リオンは森の中で立ち止まり、遠くに見える倒れたガルムの影を見つめた。

まだ完全には消え去っていない黒い霧が、森の奥へゆらりと漂っている。


(あれ……まだ……何かいる……?)


胸の奥の違和感が、微かに強くなる。

それは恐怖ではなく、未知の力の予感だった。


リオンは拳を握る。

(次は……俺が、先手を打たなきゃ……)


そして、森の奥深くで、

さらなる影がゆっくりと動き出すのを、

リオンはまだ知らない。

『森の奥の影 ― リオン、創造核の真の力を目覚めさせる』


森の奥で、黒い霧が形を変え、

新たな魔獣か未知の存在か、静かに迫る。

リオンの胸の奥では、未承認帯域の光が微かに脈動を続けている。

果たして次の戦いで、リオンは自らの創造核の力を完全に制御できるのか――?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ