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7歳編・第25話:創造核の祝福 ― 新たな力の目覚め

黄金の光が満ちる空間は、どこまでも静かで、どこまでも暖かかった。


まるで世界そのものの胎内にいるような、深い安らぎと無限の可能性を抱えた場所。

リオンはゆっくりと歩を進め、中央に浮かぶ“光の核”に近づいた。

アリシアと沙月は後ろで静かに見守り、その光に包まれながら息をのむ。


光は呼応するように脈動し、リオンが手を伸ばした瞬間――

優しい声が空間を満たした。


「ようやく来ましたね。 創造の継承者よ」


声は男女どちらでもなく、静かな水面のような透明感を持っていた。

リオンの心臓がひとつ強く脈打つ。


(この声……創造主……?)


光の核が形を変え、その前に柔らかく揺らめく“人の形”が現れる。

輪郭は曖昧で、男のようにも女のようにも見える。

しっかり見ようとすると霧のように溶け、ただ温かい存在だけが確かにそこにあった。


「あなたの心は十分に強くなりました。

 前世の痛みも不安も、自らの影も受け入れた。

 だからこそ、私はあなたを“創造の主”として認めます」


リオンは驚き、言葉を失う。


「……俺が……主?」


創造主の影は穏やかにうなずく。


「あなたは特別だからではありません。選ばれたからでもない。あなたが“そうなろうとした”からです」


リオンは胸に手を当てた。


(俺が……選んだ……?

 逃げることもできたし、力を放棄することもできた……

 でも、俺は――)


「……みんなを守りたい。

 この世界で、ちゃんと生きたい。

 前世でできなかった“幸せ”を、

 今度こそ大切にしたいんだ」


光が優しく揺れた。


「その願いは、創造主が持つべきもっとも大切な心です」


そして――

創造主の影は両手を広げ、光がリオンに降り注ぐ。


◆創造核の祝福


黄金の光がリオンの体に流れ込む。


その瞬間、

リオンの体内の魔力が爆発的に広がり、血管を流れる魔素までもが変質を始めた。


「う……っ!」


アリシアが叫ぶ。


「リオン!!」


沙月も手を伸ばそうとするが、強烈な光が二人を引き離す。


創造主の影が優しく言った。


「心配はいりません。彼は“覚醒”の最中です。痛みではなく、変化なのです」


リオンの視界が白く染まり、無数の魔法陣が体の周囲に浮かび上がった。


青、緑、紅、銀、黒――

この世界に存在するすべての魔素が混ざり合い、新たな魔力の流れを作り出す。


「創造魔法の上位体系―― “世界設計アーキテクト”が解放されます」


創造主の言葉に、リオンの心臓が強く跳ねた。


「せ……世界設計……?」


「物を作るだけではありません。

 環境、法則、構造……

 “生きる世界そのもの”の修復や拡張を行う力。

 あなたが望めば、村も町も、森でさえも再構築できるでしょう」


そんな――

もはや神様のような力だ。


しかし創造主の声は続く。


「ただし……“創造”には“責任”が伴います」


リオンは息をのむ。


「責任……」


「ええ。あなたの一振りの意思が、無数の命の未来を変えます。だからこそ、私はあなたに祝福と同時に“制御”を渡します」


光がリオンの胸、額、両手に入り込み、慎重に、静かに定着していく。

リオンは歯を食いしばりながら、その全ての魔力を受け止めた。


(これが……俺の力…… 人を救うための力……!!)


そして――

光が収束し、静寂が訪れた。


リオンの体から立ち上る魔力は、以前の比ではなかった。


まるで大地そのものが鼓動しているように、周囲の空間がゆっくり震えていた。


◆覚醒の後


光が消えると、アリシアと沙月が駆け寄る。


「リオン!! だいじょうぶ!?」


リオンは息を整えながら、微笑んだ。


「……うん。びっくりしたけど、平気だよ。むしろ……すごく体が軽い」


アリシアは彼の手を握り、その魔力の質が変わっていることに気づく。


「……こんな魔力……初めて感じる……」


沙月も笑顔でうなずく。


「リオン、前よりすごく強くなってるよ! なんか……キラキラしてる!」


リオンは二人の言葉に胸が熱くなった。


(俺は……一人じゃない。 だから、この力も……独り占めしない。 みんなのために使う)


創造主の影は静かに言った。


「あなたは今や“世界を修復する者”。

 しかし、それでも――

 幸せを求めるただの少年でもあります」


リオンはうなずく。


「……ありがとう。 俺、この力を……ちゃんと使う。 守るために。 大切な家族と仲間のために」


創造主の影は柔らかく微笑み、光に溶けて消えた。

黄金の空間も静かに崩れ、塔の最深部は穏やかな光だけを残して静まり返る。

アリシアがリオンの肩に手を置いた。


「行きましょう、リオン。 あなたの未来は……ここからよ」


沙月は元気よく手を挙げる。


「うんっ! 村に帰って、みんなに会おう!」


リオンは深くうなずいた。


胸の奥で、創造核の力が静かに、確かに脈打っていた。

『塔を出る三人 ― 再び村へ』


覚醒したリオン。

彼の変化を感じ取る世界。

そして――村へ帰る三人に、新たな影が迫る。

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