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7歳編・第17話:氷界塔・第二層 ― 未来喰らい ― 揺れる心と“創造核”の覚醒

霧の奥から現れた巨影は、深い青の氷で作られた“人型の怪物”だった。


身の丈は三階建ての家ほど。

腕は太く、氷の刃のように鋭い。

胸の中央には、黒い穴――渦を巻く“未来の欠片”が揺らいでいる。


アリシアが叫ぶ。


「気をつけて! あれは“未来を喰う”怪物…… あなた達の迷いや恐れを餌にする!」


リオンは剣を抜くが、その刃は冷たい空気に晒されて白く曇った。


(怖いって思った瞬間、あいつに力を与えてしまう……)


沙月は短剣を握りしめる。


「迷いを……餌に……? そんなの……わたし達から奪わないで!」


彼女は震えていた。

未来の幻を見せられた直後だ。

無理のないこと。


アリシアは二人を庇うように前へ出た。


「落ち着いて。 ここはわたしが先陣を切る!」


アリシアの手から冷気が奔る。


「《氷刃乱舞アイシクル・ブレイク》!」


氷の刃が散弾のように未来喰らいへ向かう。


だが――


怪物は胸の黒い渦を大きく開き、アリシアの氷を“飲み込んだ”。

沙月が絶句する。


「えっ……!? アリシアさんの魔法が……吸い込まれた……」


アリシアの眉がわずかに動いた。


「違う…… わたしの魔法じゃない…… “わたしの未来への恐れ”を、吸われた……」


未来喰らいは低く呻き、氷の身体がさらに巨大化する。

リオンは歯を食いしばった。


(このままじゃ…… アリシアが不利すぎる)


怪物が腕を振り下ろす。


ドゴォッ!!


氷の床が砕け、飛び散る破片をリオンが沙月を抱き寄せて避けた。


「うわッ――!」


「リオン……!」


アリシアが叫ぶ。


「リオン! 沙月! 下がって!! こいつはわたしが――」


だがその時。

怪物の渦が、アリシアではなくリオンを強く引き寄せる。


ゴォォォ……!


(なんだ……? あいつ、俺を……狙ってる?)


アリシアが叫んだ。


「リオンから離れなさい!!」


しかし未来喰らいの動きは止まらない。

リオンは胸に刺すような痛みを感じた。


ズキ――ッ


(な、なんだこれ…… 胸の奥が……熱い……!?)


沙月の声が聞こえる。


「リオン!? リオン、顔が真っ青だよ!」


アリシアが駆け寄る。


「違う……これは魔力の枯渇じゃない……リオンの“核”が……反応してる……!」


リオンの胸が、淡い白銀の光を放ち始めた。


アリシアは目を見開く。


「やっぱり……あなたの中には…… “創造核コア”がある……!」


沙月が震えながら尋ねた。


「創造核って……なに?」


アリシアは歯を食いしばる。


「世界を構築する力の欠片。

 本来はこの世界の人間が持つものじゃない……

 異界から来た存在だけが、

 世界に溶けるために埋め込まれる“導入装置”……!」


リオンは膝をつく。


胸の奥が、灼けるように熱い。


未来喰らいが渦を広げる。

そして急激に小さな影が無数に現れた。


アリシアが叫ぶ。


「気をつけて! あれは――“未来の断片”!!!」


影たちは低い声で囁いた。


『――お前は、いずれこの世界を壊す』

『――存在が矛盾している』

『――創造核が暴走すれば、すべてが消える』


リオンの頭がガンガン響く。


(俺が……世界を……壊す……?)


影の言葉は心臓に刺さるようだった。


未来喰らいがさらに低く囁く。


『だから――お前は消えるべきだ』


リオンが倒れそうになったその瞬間。


沙月が叫びながら抱きしめた。


「リオンは……そんな未来じゃない!!

 リオンは……わたしを助けてくれた!

 アリシアさんだって……助けてる!!

 世界を壊す奴が……

 そんな優しいわけない!!」


リオンの身体が少し軽くなる。

アリシアも横に立った。


「そうよ。あなたの未来は“誰かに言い聞かされるもの”じゃない。あなた自身が決めるものよ!」


未来喰らいの渦が一瞬揺らぐ。

アリシアが叫ぶ。


「リオン!! あなたの核を……“未来を選ぶ力”に変えて!! 恐れに食われないで!」


リオンは息を吸い、胸に手を当てる。


(俺は……

 本当にこの世界を壊す存在なのか?


 違う。

 そんなの……俺が決める)


胸の奥の光が、ゆっくりと形を変えていく。


未来喰らいが叫ぶ。


『選ぶな……! お前は矛盾だ……! 選べば世界が――』


リオンは小さく微笑んだ。


「――俺の未来は、俺が守る人たちと一緒に作る」


光が弾けた。

白銀の波動が、爆発する。

未来喰らいが悲鳴を上げた。


『ぐ……あああァァァァ!!』


怪物の胸の渦が弾け飛び、巨体が一気に崩れ落ちる。

霧がゆらぎ、氷の床に静寂が戻る。

アリシアが近づいてきた。


「リオン……大丈夫?」


リオンは胸に手を当てたまま、ゆっくり息を整える。


「なんとか…… でも……俺の核、まだ不安定みたい」


アリシアは真剣な目で頷いた。


「ええ。 けど、いまのあなたは確かに“未来を選んだ”。 ……その選択は、塔にとって大きな意味を持つわ」


沙月は涙をぬぐいながら笑った。


「リオンが壊す未来なんて…… 私が絶対許さないもん」


リオンは苦笑した。


「頼もしいね」


三人は少し休んだあと、第二層の奥に見える光の道へと向かって歩き出す。


アリシアが言う。


「次は第三層…… “塔の心臓部への入口”よ。 覚悟して進みましょう」


リオンは剣を握る。


(未来は……俺たちで選ぶ)


その決意が、塔の奥深くに静かに響いていった。

『第三層 ― “心臓部の門”とアリシアの過去』**


三人は第三層へ。

そこにはアリシアの“生い立ち”と深く関わる存在が待ち構えていた。

そして、リオンの“創造核”はさらなる進化を始める――。

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