◆ 最終決戦編 「虚王レガト戦 ― 世界核を巡る最後の闘い」
◆ 最終決戦編
「虚王レガト戦 ― 世界核を巡る最後の闘い」
世界樹の根がむき出しになった《虚無大陸》の中央。
そこには――巨大な黒い王が、ゆっくりと目を開いた。
《虚王レガト》
外敵が最後に残した“純粋な悪意と虚無の結晶”。
胸の中心では、【外敵最初の世界核】が脈動している。
「来たか……世界を裏切った《異邦の子》よ」
リオンは仲間たちを振り返る。
シルカ、エルシオ、セラフィナ、そして各国の最精鋭。
「みんな……絶対に、生きて帰ろう」
◆
戦いは、最初から“理”を無視していた。
レガトが手を振るうたびに、大陸が沈む。
影の黒炎が降ると、空が引き裂かれ、星が落ちる。
それでも――リオンは怯まなかった。
「こんなの……僕の前世の地球の“高難度レイド”よりはマシだ!」
セラフィナが叫ぶ。
「それはマシなの!?」
エルシオが盾を砕かれつつ叫ぶ。
「お前の異世界基準は信用できん!」
シルカは涙目で詠唱しながら言う。
「リオン様、軽口を叩いてる場合ではっ……!」
――軽口だった。
本当に怖いからこそ、口が勝手に動いてしまう。
◆
レガトが腕を広げる。
世界核が黒く膨張し、《虚界》が拡大する。
《滅びこそが世界の完成形……
旧き世界も、新しき世界も不要だ》
リオンは胸に手を当てた。
「そんなこと……認めない!!!!」
黄金と黒の光が弾ける。
《光影統合・星核解放》
光と影が一つになり、リオンの姿が“境界のない輝き”へ変わる。
レガトが初めて声を震わせた。
《……なぜだ。
お前の中の影は、私たち外敵の祖型の欠片のはず……!》
「僕は“この世界の人”として生まれ直したんだよ!」
リオンは掌を突き出す。
「――終わらせる。《黄昏終律・世界縫合》!」
光と影が螺旋となり、レガトの世界核へ叩き込まれた。
巨大な王は裂け、断末魔とともに崩れ落ちる。
《……世界を……託す……か……》
それは、外敵の最初で最後の“人間的な声”だった。
そして――長き戦いは終わった。
◆ 決戦後の世界
「静寂のあとで ― 新たな息吹」
翌朝。
空はこれまでにない“青”を見せていた。
大陸が崩落しかけていた虚界領域は後退し、世界樹がゆっくりと再生を始めている。
リオンは倒れたまま眠り続け、仲間たちはその傍にいた。
シルカはリオンの手を握り、静かに呟いた。
「……もう、離しません。絶対に」
エルシオは笑う。
「世界の英雄がこんな子どもに見えるのは、お前のおかげかもしれんな」
セラフィナは腕を組む。
「彼が起きたら、三日三晩講義をするわよ。勝手に限界突破するなんて危険すぎるわ」
――そして三日後。
リオンはゆっくりと目を開けた。
「……終わったんだね」
「はい。あなたが終わらせたのです」
シルカが微笑む。
エルシオは手を差し伸べる。
「お前が帰ってきて良かった」
セラフィナは頬を赤く染めて言う。
「今度は、ちゃんと休むこと。研究協力には感謝してるけど……死んだら意味がないわ」
リオンは笑った。
「……みんな、ありがとう」
世界は救われた。
だが、まだ語られていない“真実”が残っている。
◆ 黒界胎の真相編
「リオンの出自 ― 外敵と世界の狭間で生まれた者」
世界核の奥深く。
リオンは自分の内部世界で、再び“影”と対峙していた。
《真実を知る覚悟があるか》
「もう逃げないよ。教えて」
影は静かに語った。
● リオンの魂は、外敵が初めてこの世界に干渉したとき、
“世界核と外敵核の狭間”で生まれた特殊素体だった。
● 前世の地球へ転生したのは、外敵の意志を遠ざけるための“隔離”だった。
● そして再びこの世界へ戻されたのは――
世界核がリオンを唯一の“修復者”として選んだから。
《お前は外敵でも、神子でもない。
世界の外と中の両方に属する、唯一の存在だ》
リオンは涙をこぼした。
「……そんな遠回りをしてでも、この世界を守りたかったんだ」
影は優しく微笑む。
《それが、お前の“人間”としての願いだった》
影将でさえ知らなかった真実。
外敵の襲来も、世界の崩壊も――すべてはリオンという“橋”を得るための旅だったのだ。
「ありがとう。全部受け止めるよ。
僕はこの世界で生きていく」
影は深く頷き、その姿を薄くしていった。
◆ 後日談
「シルカ/セラフィナ/エルシオ」
■ シルカ
神殿改革を主導し、“祈りに依存しない救済魔術体系”を確立。
孤児院や庶民の生活にも直接関わり、最も人々に愛される象徴となった。
リオンに告白しようとしては毎回失敗し、
セラフィナにからかわれ、エルシオに見守られながら日々奮闘している。
■ セラフィナ
魔塔を完全再建。
旧世界科学と魔術を融合させた《新魔工学》システムを完成させる。
その講義は誰もが逃げ出すほど厳しいが、
リオンには妙に甘い(ただし怒ると誰より怖い)。
■ エルシオ
王国を失った王子ではなく、
“世界再建評議会の代表”として働き続ける。
かつて嫉妬していたリオンとは深い友情を築き、
戦場では背中を預け合う相棒となった。
時折、
「シルカかセラフィナ、どちらがリオンにふさわしいか」
で悩んでいる。
◆ 番外
「影将との内的対話の後日談」
静かな夜。
リオンの心の奥で、影将の残滓が語る。
《私は消えたわけではない。
お前の中で“影の理”として残っている》
「……君に会うと落ち着くよ。
前は怖かったけど、今は……仲間みたいだ」
《お前の成長は、私の誇りだ。
だが油断するな。世界は“光だけでは壊れる”。
影もまた必要だ》
リオンは微笑む。
「うん。
これからも一緒に世界を守ろう、影将」
影将は初めて――
心からの笑みを浮かべた。
◆ 新文明確立編
「都市建設・魔塔新技術・神殿再体系」
◆ 新都市建設
世界樹の根元に、巨大な円形都市が建造される。
魔導エネルギーと自然循環を完全融合させた“生きた都市”。
● 魔塔が設計
● 神殿が倫理基盤を整備
● 各国が労力を提供
● リオンが世界核と連動させて安定化
世界初の“魔力公営インフラ”が誕生する。
◆ 魔塔新技術
セラフィナが確立した新技術:
・魔力の損失ゼロの《無限環流炉》
・禁術を安全化する《霊子フィルタ》
・世界核と通信可能な《核触媒塔》
これにより魔法文明は完全な再生期を迎える。
◆ 神殿再体系
シルカ主導の新制度:
・“神子制度”の完全廃止
・祈り依存の魔力供給からの脱却
・浄化・治療の体系化と市民講習制度化
・世界全域の孤児支援ネットワーク
旧時代の神権を捨て、
人々を直接救う“手”へと変わった。
都市は活気に満ち、
子どもたちの笑い声が新たな世界の音楽となった。
リオンはその中心で、静かに語る。
「ここからが、本物の“新世界”の始まりだね」
シルカが微笑み、
セラフィナが胸を張り、
エルシオが力強く頷いた。
そして――
新文明はゆっくりと、しかし確実に歩み始めた。




