**◆ 第三心臓核戦(世界樹地下) ― 決戦編 『世界樹の心臓へ』**
世界樹の根を下り、深層へ進むごとに、
空気は光を失い、代わりに黒い脈動が響いた。
シルカは震える声でつぶやく。
「リオン……ここ、ほんとうに生きてる……みたい……」
影将がリオンに告げる。
『黒界胎の触手が周囲一帯に侵食している。
世界樹の“命の流れ”そのものを取り込んでいるのだ』
進むほど、木の根が黒鉄に変換されていた。
生命の象徴だった世界樹は、いまや外敵の回路へと書き換えられつつある。
世界樹深層の中心に、
第三心臓核は存在した。
それは“胎児”のような形状を持ち、
まるでリオンの到来を待つように鼓動していた。
《……遅かったね、統合体リオン》
核が“話した”。
セラフィナが息を呑んだ。
「第三核……自我どころか人格まで……!」
《あなたの進化の記録、感情の揺らぎ、光と影の統合……
すべて解析完了。
あなたは——“母胎の後継者”》
リオンは剣を構える。
「……後継者なんて、ならない。
外敵はただ破壊するためだけに生まれた存在だろ」
《違うよ。
わたしたちは“星を守る存在”だった。
——本来は》
エルシオが驚愕する。
「守る……? 外敵が?」
第三核は笑った。
《記憶を封じられているのはあなたも同じ。
前世のあなたは“外敵の第一設計者”。
あなたが作ったのが、わたしたち》
リオンの心臓が止まったように感じた。
「……俺が……外敵を……?」
影将が苦く呟く。
『リオン……これはお前が聞かねばならない真実だ』
第三核は嘲るように告げた。
《あなたは前世で“星を守るために、敵を生み出した”。
だが……その仕組みが暴走し、人類文明を破壊した。
あなたはその罪に耐えられず、記憶を封印して転生した》
リオンは震える声で呟いた。
「俺が……この世界を壊した……?」
第三核は腕を広げる。
《だからこそ戻ってきて。
わたしたちを導いて。
“壊すべき世界”を正しく選んで》
リオンは目を閉じた。
そしてゆっくりと答えた。
「違う。
俺は……もう誰も壊さない。
守るって決めたんだ!」
光影融合が爆発し、
第三核の精神干渉を吹き飛ばした。
核が悲鳴を上げる。
《その選択は“前世のあなた”と矛盾――》
「前世の俺がどうだったかなんて関係ない!!
今の俺は、俺だ!!」
リオンは渾身の一撃で核を貫いた。
第三心臓核、崩壊。
だがその瞬間、
地底全域が“胎動”し始めた。
影将が叫ぶ。
『リオン! 逃げろ!!
黒界胎が本体を起動させた!!』
世界樹深層。
真の敵が目覚める。
**◆ 外敵母胎“黒界胎”との最終戦
『星を喰らう胎動』**
地底が崩壊し、リオンたちは“黒界胎の中心”へ落下した。
そこは黒い海のような空間だった。
視界いっぱいに“巨大な胎児の影”がうごめいている。
《これが……母胎……!?》
セラフィナは絶望の声を漏らす。
黒界胎は世界樹の根を完全に取り込み、
星の生命網そのものと接続していた。
《——リオン。
あなたを迎える準備は整った》
巨大な影の胎児がゆっくりと目を開く。
エルシオは歯を食いしばる。
「こんなの……勝てるわけが……!」
影将が低く囁く。
『勝てる。
なぜなら“こいつは未完成”だ。
お前の前世のデータを取り込もうとして、まだ構造が歪んでいる』
リオンは光影の全力を解放する。
「シルカ、エルシオ、セラフィナ……
俺が中心を切り開くから、補助頼む!」
三人は頷いた。
黒界胎が巨大な触手を放つ。
一撃で世界樹の根十本が粉砕される威力。
リオンは光速に近い速度で避け、
触れようとする触手を斬り裂く。
だが黒界胎は再生し続ける。
《無意味。
あなたの攻撃は、わたしの糧に変換される》
影将が叫ぶ。
『リオン!!
“内側から切れ!!”
こいつは外殻が無限再生だ!』
リオンは理解した。
(——なら、俺が中へ入る)
「影将! シンクロ率100まで上げる!!」
影将が静かに頷く。
『行くぞ、リオン……
これは“お前の罪”の終わらせ方だ』
光影が完全融合し、
リオンは黒界胎へ突入した。
内部は無数の記憶と精神の断片で満ちていた。
そこには——“前世の自分”がいた。
《……また君か。
破壊と再生に執着し続けた愚かな設計者》
リオンは叫ぶ。
「俺はもう違う!
世界を壊すために生まれていない!!」
前世の自分が、
静かに微笑んだ。
《ならば証明してみせろ。
“外敵の根源”たる母胎を滅ぼし、
星を救えるというのなら——》
リオンは光影剣を振り抜いた。
世界が白く弾けた。
黒界胎、完全消滅。
残滓は星の大地に光となって降り注ぎ、
世界は静けさを取り戻した。
リオンは深く息を吸った。
「……終わったんだね」
影将が隣で微笑む。
『ああ。
だが、お前の旅はここからが始まりだ』
**◆ リオンの出自と外敵の真相編
『第一設計者の記憶』**
黒界胎の内部でリオンが見た記憶。
それがこの“真相編”だ。
——前世のリオンは、
星を守るために“外敵”を創り出した科学者だった。
彼は病んでいた星を浄化し、
文明の失敗を“リセットする機構”として外敵を設計した。
だが、彼は誤って
“外敵の自己進化制御”を失敗させた。
外敵は暴走し、
文明を焼き尽くし、
星を無機質な世界へ変貌させようとした。
前世のリオンは罪に耐えられず、
自らの記憶を封じて転生を選んだ。
影将はその“監視者”として生み出され、
リオンを見守るために存在していた。
影将の声が言う。
『お前は破壊者の生まれ変わりだが……
今のお前は、誰よりも人間だ。
だからこそ、黒界胎を倒せた』
リオンは静かに目を閉じた。
「前世の俺のせいで世界が苦しんだなら、
今の俺が……全部償うよ」
影将は苦笑する。
『お前はほんとうに……面倒な奴だ』
◆ 各キャラ活躍回
● シルカ編『光速の追風』
黒界胎の触手が暴走し、
後衛がまとめて狙われたその瞬間。
シルカは消えた。
雷光のみが残り、
一瞬で十体の触手を両断する。
「リオンに……触るなぁあああ!!」
彼女の速度は世界樹深層の圧により限界突破し、
身体が赤く焼けるほどの神速を叩き出した。
影将がぼそりと呟く。
『……いや速すぎるだろあの子』
リオンは苦笑しつつも本気で感謝する。
● エルシオ編『王家の雷、再誕』
エルシオは王族にだけ伝わる秘術
“天雷回路”を初めて解放した。
彼の全身を白雷が走り、
王家の象徴たる“雷竜の幻影”が顕現する。
「……俺は逃げない。
誰かの背中を守れる王になる!」
雷竜の咆哮が戦場を切り裂いた。
**● セラフィナ編
『魔塔長の本気は世界仕様』**
黒界胎の内部構造解析中。
セラフィナは魔塔全術式をフル稼働させた。
「世界樹ネットワークに接続……
許可レベル“塔主”——開放!」
世界樹と魔塔を繋げ、
大陸全体の魔力線を乗っ取り、
巨大術式“根界結晶封陣”を展開。
黒界胎の再生能力を大幅に弱体化した。
リオンは思わず言う。
「……セラさん、本気出しすぎじゃない?」
「リオン君! 初めから本気よ!!」
**◆ 番外:影将との内的対話編
『影の誓い』**
決戦後、リオンは夢の中で影将と向き合う。
影将は静かに言う。
『……お前はよくやった。
前世の過ちを、自分の選択で上書きした。
俺はずっと、お前がまた壊す側に戻るんじゃないかって怖かった』
リオンは首を振る。
「戻らないよ。
俺は……壊すためじゃなく、救うために生きる」
影将は微かに笑った。
『そっちの道を選んだお前と……これからも一緒にいく』
二人の間に、確かな絆が芽生え始めていた。
影将は最後に告げる。
『次の脅威が来たら……今度は“二人で”ぶっ飛ばすぞ』
リオンは笑って頷いた。
「もちろん!」




