表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/147

◆ 新世界編・第八話

◆ 新世界編・第八話

「再建評議会 ― 新文明の胎動」


世界核サード・コアの安定化から三か月。

大陸には、ようやく“空気が澄む”という感覚が戻ってきていた。


リオンは王都跡地に建てられた仮評議会場に立ち、各国の代表たちと向き合っていた。


新王となったエルシオは、以前より落ち着きと柔らかさを増し、しかし芯には燃えるような意志を宿していた。

魔塔の第一席となったセラフィナは、光学魔術と旧世界科学の融合研究を推し進めている。

神殿は新たな“神子制度廃止”を決定し、シルカが神殿改革委員会の中心人物となっていた。


「――まず治安の安定化だ。外敵残滓レムナントの討伐隊を三方向へ送る」

エルシオが地図を示す。


するとセラフィナがやや難色を示す。

「急ぎすぎです。外敵が残した《黒界菌糸》は、魔力だけでなく精神にも作用します。

 無策で向かえば、兵を“内部汚染”で失う可能性がある」


シルカが頷く。

「浄化術式を先に各隊の術士へ習得させるべきです。……それに、リオン様がいらっしゃらないと“開かない”場所がある」


三者の視線がリオンへ向く。


「僕がコアに干渉できるのは前世記憶との接続のおかげだ。

 だけど、もう《影》に一方的に頼る気はない。……協力は惜しまないよ」


その言葉に安心したのか、皆の表情が緩む。


評議会は明るい空気の中で終わった。


その帰り道、シルカが小さく囁いた。


「……世界を救った人なのに、相変わらず普通に話すのですね」


「普通でいたいんだ。シルカたちと一緒に、世界を作り直したい」


その一言に、シルカの頬がわずかに赤く染まった。


――新文明の胎動は、確かに始まっていた。


◆ 新世界編・第九話

未練残滓レムナント ― 歪んだ願いの群れ」


大陸北端・氷原跡地。

外敵が残した黒界菌糸の濃度が最も高い場所。


そこに出現したのは異様な光景だった。


“人の形を模した黒い影”が、無数に歩いていた。


「……これが《未練残滓》?」

シルカが眉をひそめる。


リオンは目を細め、その“内部”を感じ取る。


「彼らは外敵の欠片じゃない。

 “この世界の人達の恐怖や怒り”を食べて形を得た、負の集合体だ」


黒い影たちはぼそりと呟く。


“守れなかった”

“もっと強くなりたかった”

“誰も助けてくれない”


その声は――かつてこの世界で亡くなった人々の“未練”だった。


「……哀しすぎます」シルカが震える。


「だからこそ、彼らを浄化するんだ。斬るんじゃなく――解放する」


リオンが一歩前に出た瞬間、地面の下から黒い触手が伸び、隊の者を呑み込もうとする。


セラフィナが即座に魔塔式レーザーマナを放つ。

エルシオは騎士団と連携し、防壁を展開する。


――戦闘ではなく、解放の戦い。


リオンは胸に手を当て、光と影の両方を引き出した。


「行くよ――《黄昏融合式・慰霊波》!」


光と影が混ざり、夕暮れのような柔らかい波動が広がる。


影たちは一瞬揺らぎ――そして涙を流しながら消えていった。


“ありがとう……”


その声に、隊の全員が静かに頭を垂れる。


「……まだまだ終わらないね」

リオンは遠い空を見つめた。


その遥か彼方――黒界胎が死ぬ前に撒いた“最後の種”が、ゆっくりと芽吹き始めていた。


◆ 新世界編・第十話

「黒界残滓の王 ― 《虚王レガト》の覚醒」


南海の孤島。

ここに“世界最初の外敵因子”が沈んでいた。


そして――その中から一体の“王”が生まれる。


影将より古く、黒界胎よりも純粋な“外敵核”。

外敵の意志を継ぐ最後の存在。


《虚王レガト》


巨大な黒い鎧をまとい、胸には“ひび割れた世界核”のような器官が脈動している。


「……母胎は滅びた。

 ならば私は、新たなる“門”となろう」


その声は世界各地に微弱な揺らぎとして届き始める。


リオンが強く胸を押さえた。


「ッ……来た。

 最後の残滓――いや、外敵の“王”が目覚めた」


エルシオが剣を抜く。

セラフィナが杖を構える。

シルカが浄化の詠唱を始める。


リオンは静かに息を吸った。


「――これが、本当に最後の戦いだ」


新世界の命運を賭けた決戦が始まろうとしていた。


◆ 新世界編・第十一話

「三英雄の夜 ― 決戦前の約束」


決戦前夜。

焚き火を囲んで、リオン・シルカ・エルシオ・セラフィナは静かに語り合っていた。


セラフィナは言う。

「あなたの前世が何であれ、私は“今のあなた”を信じるわ。

 科学も魔法も、あなたの力がなければ再び道を失う」


エルシオは苦笑しつつも真剣な目を向ける。

「嫉妬も敵意もあった。

 でも今は、お前と肩を並べて戦えることを誇りに思っている」


シルカは黙ってリオンの隣に座り、小さな声で言った。


「私は……リオン様が生きていてくれれば、それで……」


リオンは笑った。

「ありがとう。みんながいてくれるから、僕も戦える」


そして四人は手を重ねた。


「――必ず帰ろう」

「この世界を守るために」

「新文明を未来に繋げるために」


焚き火の火が揺れ、空には星が降るように瞬いた。


明日、世界の運命が決まる――。


◆ 新世界編・第十二話

「最終決戦前夜 ― 世界核が呼ぶ声」


深夜。

ひとり静かに眠るリオンの“内側”で、光と影が再び語りかけてきた。


《リオン。私たちはお前の力だ。》

《だが、お前の心が望む形にしか動けない》


「わかってる。

 でも、僕はもう“どちらか”じゃなくて、両方を受け入れたい」


光は穏やかに笑う。

影は静かに頷く。


《では行け。外敵の王を倒すのは――お前自身だ》

《もう、私たちに頼るな。自分で決めろ》


リオンの心臓核が黄金と漆黒に輝く。


「行くよ。

 僕がこの世界を救うんだ――今度こそ、自分の意思で!」


目を開けたとき、夜明けはすぐそこに迫っていた。


新世界編・最終決戦は、次章で幕を開ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ