後日談
**◆ 後日談 その1
『王子の再生 ― 失墜と、新しい“王”の形』**
崩壊後の王都。
瓦礫の山の中、エルシオ王子はひとりで石を拾い集めていた。
豪奢な衣も、丁寧に整えられた金髪も、いまは泥だらけだ。
侍従が止めようとする。
「王子、そのような……!
労働は兵や職人の——」
「いい。
私は、この国を“見て”いなかった。
だから壊されるまで気づけなかった」
侍従は言葉を失う。
かつての傲慢さは消え、
王子の顔はどこか柔らかかった。
そこにリオンが現れる。
「無理しないでよ、王子」
エルシオは一瞬だけ悔しそうに笑う。
「昔なら、憎しみで心が満たされていただろう。
だが……今は違う。
私は、君に感謝を伝えなければならない」
「感謝?」
「私の“幻”を壊してくれたからだ」
エルシオは深く頭を下げた。
「……私はもう、君に嫉妬しない。
君を超える必要もない。
ただ、この国を守る王になるために……歩き直す」
リオンは微笑む。
「うん。それでいいと思う」
王子はふっと息をついた。
「——いつか。
“並び立つ”日が来るといいな」
それは、もう敵意ではなく、
“友としての願い”だった。
**◆ 後日談 その2
『魔塔再構築 ― 失った知と、影の研究の継承』**
崩壊した魔塔。
焼け焦げた書庫の中で、魔塔長セラフィナは呆然としていた。
「……塔が……わたしの全てが……」
しかし、師匠がやって来る。
「泣くなよ、セラフィナ。
塔は壊れても……魔法は死なない」
「アルヴァン……!」
二人はかつてライバルとして争い、
互いに魔法理論を競ってきた。
セラフィナは涙を拭きながら言う。
「……影の研究。
あなたの弟子が、あれほどの“統合”を……」
「リオンは……半分偶然だよ。
ただ、前世から“それを選んでいた”だけだ」
師匠は瓦礫の一部を蹴りながら言う。
「なぁ、セラフィナ。
これを機に、塔を“リオン適応型”に造り替えるぞ」
「リオン適応型……?」
「外敵はまた来る。
影も光も含めて、全部扱える魔塔にしなきゃならん」
セラフィナの瞳が輝いた。
「……面白いわね。
あなたがそう言うなら、私も全力でやるわ」
魔塔はこの日から、“次世代魔法研究施設”として再起する。
**◆ 後日談 その3
『神殿改革 ― 神託にすがらない未来へ』**
神殿では、聖女リフィナが祭壇の前に立っていた。
かつては神託を絶対視し、
“神子候補リオン”を囲い込もうとしていた組織。
だが——外敵戦争で神託はほぼ役に立たなかった。
リフィナは神官たちの前で宣言する。
「今日より神殿は……“信仰”と“助力”の場に戻ります。
神子を求めず、血統に縛られず、
人々と共に祈る存在へ」
古い司祭たちがざわつく。
「しかし聖女様!
神子なき神殿など……権威が……!」
「権威のために祈るのではありません」
リフィナの声は柔らかかった。
「リオン様は、神に選ばれたのではなく……
自らの“心”で世界を選んだのです」
誰も反論できなかった。
こうして神殿は、
世界で最も“民に寄り添う組織”へと変わっていく。
**◆ 次章(新世界編)
第一話:『残滓の目覚め ― 影のない闇』**
外敵核の破壊から半年後。
世界は穏やかに見えたが、
その地下深くで“目”が開いた。
地殻の底にぽっかり空いた亀裂から、
黒い霧がゆっくりと漏れ出す。
声が響いた。
《……本核は死んだ。
しかし“欠片”は残った……》
霧の中に浮かぶ、三つの影。
《次は……侵略ではなく、
“融合”による浸食を試みる》
それは、外敵の新たな形態だった。
**◆ 新世界編・第二話
『リオン再始動 ― 見えない侵略』**
王都復興のため働いていたリオンのもとに、
魔塔から緊急の伝令が来た。
「リオン様!
大地の下に……“未知の魔力網”が形成されています!」
師匠も険しい顔で言う。
「外敵の残滓だ。
奴ら、今度は“世界に溶け込む”つもりだぞ」
リオンの胸に、影将の声が響く。
『……リオン。
外敵は、今度は“破壊”ではなく“寄生”を選んだ』
「分かってる。
だからこそ……行くよ。
俺の世界なんだから」
リオンは立ち上がり、
光と影の核を同時に起動させた。
師匠が苦笑する。
「……また世界救う気か、クソガキ」
リオンは笑った。
「うん。だってさ、まだ終わってないから」
光と影が螺旋を描き、
新たな外敵残滓との戦いが幕を開ける。




