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伏線・設定・キャラ感情をすべて回収しつつ、 最終決戦 → 結末 → エピローグ

訓練場の土を踏みしめると、リオンは軽く肩を回した。

体調は万全、どころかむしろ軽い。

昨夜深く眠ったおかげか、胸の重さも感じない。


(ほんとに……影がおとなしい)


まるで誰かに押さえつけられているようでもあり、

あるいは別の場所へ引き離されたかのようでもある。


だが――その“静けさ”が、すでに不吉な兆しだった。


◆◆◆


「よし、今日もやるぞ!」


ロウガが木剣を肩に担ぐ。

いつもの豪快な笑顔だ。


「ロウガ、昨日よりずいぶん元気だね」


「当然だろ! 気合い入れて寝たからな!」


(“気合いで寝る”ってなんなんだろ……)


リオンが苦笑していると、ロウガは突然言った。


「リオン、今日は反応速度の強化だ! 昨日よりも本気でいくから覚悟しろ!」


ほんの一瞬、胸が躍る。


こんな普通の朝が続くだけで十分幸せだ――

リオンはそう思いながら構えた。


「いくぞッ!」


ロウガが地を蹴る。

その踏み込みの音と同時に、風が裂ける。


――ガン!


木剣と木剣がぶつかり、衝撃が腕を痺れさせた。


「お、いい反応じゃねぇか!」


「まだまだッ!」


ふたりの木剣が交差し、弾き合い、ぶつかり合う。

訓練場には乾いた音が響き続けた。


だが――

その楽しげな衝突の音とは裏腹に、


リオンは時折、

“胸の奥がひどく冷たくなる”瞬間があった。


(……なに? この感じ……)


まるで誰かに呼ばれているような。

遠くから引っ張られるような。


胸の冷たさに気を取られた一瞬――


「リオンッ! 隙あり!」


「わっ!」


ドン、と木剣がリオンの肩に軽く当たった。


「ぐっ……!」


「おい、大丈夫か?」


「う、うん。ちょっとぼーっとしてただけ」


ロウガは目を細めた。


「なんか……お前、今日は集中が切れやすいな」


「……ごめん。なんか、変な感じがして」


リオンは胸を押さえた。


ロウガが歩み寄り、

「変な感じって、影のやつか?」

と低く問う。


「わかんない。暴れてるわけじゃないんだけど……」


言葉を探しながら、リオンは自分の胸の奥に意識を沈める。


(……呼ばれてる?

 誰に?

 なんで?)


その“冷気”は昨日まで感じなかったものだ。


胸の奥底――暗く、重い、音のない場所で、

何かが「こっちへ来い」と手招いているような錯覚。


そして――


(この冷たさ……どこかで……)


思い当たった瞬間、背筋が凍りついた。


――昨夜、影を押しとどめた“あの瞬間”。

影が壊れたとき確かに聞こえた、あの声。


……リオン……

……返セ……


(まさか……来てる……?)


ロウガが眉間に皺を寄せた。


「おい、やっぱ変だろ。無理すんな」


「ううん、大丈夫。すぐ治ると思うよ」


そう言いながら笑うが、ロウガは納得していない表情だ。


だが次の瞬間――


「ん?」


ロウガが顔を上げた。


「どうしたの?」


「……いや、なんか妙じゃねえか?」


ロウガは訓練場の外――森の方向を見る。

その表情は真剣で、動物の気配でも察知した獣のような鋭さ。


「空気が……変だ」


リオンもつられて森を見る。


鳥の声がしない。

風の揺らぐ音もしない。

森の色が、どこか“重い”。


(……これって)


胸の冷たさが一気に強くなる。


呼ばれている。

確実に、近づいている。


ロウガがつぶやく。


「森の奥から……でっかい魔素反応が来てる」


「えっ……!」


「いや……魔物の気配じゃねぇ。本能がざわつく……“危険”。そういうやつだ」


その瞬間、

リオンの胸が“ドクン”と脈打ち、強烈な寒気が体を貫いた。


「ッ……!」


倒れそうになり、ロウガが支える。


「リオン!」


「……ロウガ、これ……多分、僕のせいだ……」


震える声でそう言った瞬間――


『――ギィィィィ……』


耳の奥で、

誰のものでもないノイズが鳴った。


まるで空気そのものが軋むような、

異質で、歪んだ音。


ロウガもその音を耳にしたのか、険しい顔をする。


「……聞こえたか?」


「うん」


ふたりはゆっくりと森の方向を見る。


その奥――

木々がざわり、と風でもない“何か”に押されて揺れている。


黒い霧のような影が、わずかに浮かび上がった。


リオンの心臓が握られたように締めつけられる。


(……あれは)


影の抜け殻。

失われた影核を求めて、森の深奥から村へ迫りつつある。


ロウガが木剣を握り直し、低く言った。


「リオン、準備しろ。

 ……これは、普通の魔物じゃねぇ」


リオンも震える手を握りしめた。


「わかってる。

 ……たぶん、僕が向き合わなきゃいけないやつだ」


森の奥で、黒い影が蠢く。

村に近づくたび、空気は重く、冷たく、濁っていく。


そして――

影の“眼”が、確かにリオンを捉えていた。


『……リオン……』


声にならない声が、風に乗って届く。


影は近づく。

リオンの“核”を取り戻すために。


――光と影の距離は、もう数百メートル。


村を包むはずの平和は静かに破られ、

リオンの心の奥に眠る影は、応じるように微かに蠢き始めた。


これは、回避できない運命の再会。

影と光が、再び衝突する朝が訪れようとしていた。

◆ 最終決戦

『世界核統合戦 ― リオン vs 影将 vs 外敵核』


王都中央。

崩壊した城壁と炎に包まれた街の上空を、

三つの光が交差した。


白金と黒の統合光リオン

深淵そのものの影(影将)

世界法則を塗り替える外敵核(外敵第四段階)


空間そのものが歪み、人間では認識不能な音が空気を削る。


師匠が歯を食いしばり、空を見上げた。


「……二つの核が“対等”なままぶつかってる。

 そして外敵核まで混じったら……この世界は保たんぞ……!」


神殿の聖女が叫ぶ。


「空間が千切れています!

 このままでは王都だけでなく、世界全土に……!」


だが、その中心。


リオンは静かに呼吸していた。


影将の刃が肉体を裂いても、

外敵核の“虚無波”が体を抉っても、

リオンは倒れない。


理由はただ一つ。


**「守りたい相手がいる世界」**だから。


「……影将。

 前世の続きをするって言ったけど、

 俺もう一つ思い出したことがあるんだ」


影将が動きを止めた。


『……?』


リオンの光が膨れ上がる。


「俺たち前世……仲間だったんだよな。

 世界を救うための、双核デュアルコア

 魔王と勇者って呼ばれてたけど、実際は……」


影将の瞳が震える。


『……やめろ。

 それを思い出してしまったら、お前は……』


「うん。統合するしかなくなる」


リオンの光と影が螺旋になり、影将に触れた。


『やめろ……リオン……!

 やめろ!!

 それをしたら……私は……!!』


光が爆ぜた。


影将の暗黒が白金に溶け、

巨大な外敵核に向かって放たれる。


世界が震え、空が割れ、王都全域に光が満ちた。


そして——


外敵核が悲鳴をあげて砕け散った。


「これで……終わりだ」


リオンの声は、どこか寂しげだった。


影将は最後の形を保ちながら、微笑んだ。


『……お前はいつもそうだな。

 誰も切り捨てない。

 ……前世から変わらぬ、お前の弱さであり……強さだ』


影将の体が光に融けた。


『最後まで……私を“相棒”と呼んでくれて……ありがとう』


そして闇は消えた。


◆ 結末

『王都再生と、新たな秩序』


光が晴れる。


王都は静寂に包まれ、

人々はリオンを見上げた。


白金の少年は、ゆっくりと着地する。


シルカが駆け寄り、彼を抱きしめた。


「……怖かった……本当に……!」


「ただいま、シルカ」


彼の声は、前より少しだけ大人びていた。


師匠は泣きながら笑った。


「このガキが……世界を救いやがって……!」


王子エルシオだけが、崩れ落ちるように膝をついていた。


「……勝てるわけが……ない。

 あれが……本物の“王”なのか……」


しかしリオンは手を差し伸べる。


「エルシオ王子。

 あなたはあなたの戦いをすればいい。

 俺は王になんて興味ないし」


王子は涙を流した。


「……なぜ……見下さない……!

 なぜ……そんな顔で……!」


「だって俺……誰かを救いたいってだけの子供だよ?」


王子はついに泣き崩れた。


王都はゆっくりと再建へ向かい、

世界は外敵の脅威から解放されていった。


しかし——物語は終わらない。


◆ エピローグ

『光と影のその先へ』


数か月後。


王都郊外の丘で、リオンは空を見ていた。


シルカが隣に座る。


「……これから、どうするの?」


「影将が教えてくれた。

 外敵は核を失ったけど、完全には消えてない。

 いつかまた来る」


「じゃあ……戦う準備を?」


「うん。

 でも今は……王都を立て直さないと」


シルカはリオンの肩にもたれた。


「ねぇリオン。

 ずっと一緒にいていい?」


「シルカがよければ。

 俺も……支えてほしいから」


シルカの顔が真っ赤になる。


「……ばか……!」


そこへ、師匠が歩いてくる。


「おーい、世界救った英雄ども。

 晩ごはん冷めるぞー」


三人は笑いながら帰路につく。


空には、白金と黒が溶け合ったような夕焼け。


光と影が共存する未来。

それは、リオンが自らの前世の呪いを越え、

この世界で選び取った“新しい運命”だった。


そして物語は——


まだ、続いていく。

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