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6本のエピソードを、それぞれ独立した短編

◆1.王都崩壊突入(本編クライマックス)


王都中央区。

深夜にもかかわらず、空は真昼のように白く光り、次の瞬間には奈落の黒で塗りつぶされた。

人々は空を指さし、ただ震えるしかなかった——そこに“裂け目”が生まれていたからだ。


外敵・第四段階以前の波動とは比較にならない、圧縮・焦点化された破界エネルギー。


王宮の防護結界が一枚、また一枚と砕けていく。

砕け散るたび、王都の地面がうなり、鐘楼が折れ、家々の窓ガラスが爆発した。


「……来たか。最悪のタイミングで」


リオンは師匠の腕から静かに離れ、空を見た。

その瞳はすでに“覚醒前夜”のものとは違う。

光と影のバランスが、危険なほど均衡を欠いている。


闇の裂け目から、巨大な影の腕がゆっくりと伸び出す。

城壁の塔を触れただけで、石が溶けて消えた。


「避難を優先! 戦闘は後だ!」

「だ、だがあの化け物を放置できるか!」


指揮官たちが叫ぶが、誰も答えられない。

王宮衛士団の誰一人、敵の“形”すら認識できていなかった。


その中で、ただ一人。


リオンだけが、影の中心を見ていた。


「……影将えいしょう

 ずいぶん久しぶりだな。いや、前世以来か」


影は笑った。

耳鳴りのような音が、王都全域を揺らす。


『リオン=アルヴェール。

 光と影の“核”よ。ようやく干渉可能域に出てきたな』


それが、王都崩壊の始まりだった。


◆2.覚醒リオン vs 影将の本戦


影将が指を鳴らすと、王都の空が完全な黒に染まった。

星も、月も、灯火さえも飲み込まれる。


「……シルカ、下がっていてくれ。

 この戦いだけは、巻き込まれたら死ぬ」


「リオン……行かせると思う?」


シルカが叫ぶが、リオンは微笑んだ。


「ありがとう。でも……ごめん」


次の瞬間、リオンの身体から 白金ミスリルゴールドの光 が噴き上がった。

その中に、かすかに黒が溶けている。


光と影――両方を宿した、世界で唯一の核。


影将は重低音で笑った。


『半覚醒でその出力か。

 だが“統合”にはまだ届いていない』


「統合は……戦いの中でやる」


言葉が終わる前に、二人の姿が消えた。

超高速の斬撃と、影の触手の応酬。

衝撃だけで王都大通りが二つに割れ、建物が吹き飛ぶ。


影将がリオンを捉え、胸を貫いた。


しかし次の瞬間、影が霧散する。


「……残像?」


リオンの声が背後から聞こえる。


「影の速度パターン、前世の戦いで全部知ってるよ」


光刃が影将の右腕を切り裂いた。

影が悲鳴を上げる——だが、まだ終わらない。


『面白い……やはりお前こそ、“統合の器”。』


闇が王都を埋め始め、リオンは跳び上がる。


「ここから先が……本番だ!」


◆3.王子の裏切り


王宮地下、王家専用の転送室。

王子エルシオは、震える手で魔術儀式の指輪を握っていた。


「……どうして。

 なぜ、なぜあのガキが“救世主”扱いなんだ……!」


王子は生まれながらに光属性最上位の資質を持つ“王家の至宝”と言われてきた。

しかし、神殿も魔塔も皆、異口同音にこう囁いた。


——“時代を変えるのはリオン少年だ”。


王子のプライドは、静かに崩壊していった。


そこに“囁き”が降りる。


『お前にも資格はある。

 世界を変える力は、選ばれた者のものだ。

 ……リオンを倒せば、お前が光の象徴になる』


「……あぁ。わかっている。わかってるさ……!」


王子は、禁忌の《影界接続薬》を飲み干した。


血管が黒く変色し、瞳に影が宿る。


「リオン……お前の立場を、俺が奪う」


王都崩壊の夜、王子は 人類側から最初の裏切り者 となった。


◆4.外敵“第四段階”突入


影の裂け目から、複数の黒い球体が降下した。

それぞれが地面に触れると、半径50mの範囲が虚無化する。


「空気が……消えてる……!?」

「魔力も……流れてない……!」


これは 第四段階:世界法則の“書き換え”。


外敵はもはや侵略ではなく、

この世界そのものを上書きし始めた。


各地で結界が消滅し、神殿の聖女たちが次々に倒れる。


師匠が天を見上げ、震えた声でつぶやく。


「……間に合わなかったか。

 第四段階に入った瞬間、もはや“兵器”ではない。

 世界の形式を捻じ曲げる“運命そのもの”だ」


魔塔の長老が絶叫した。


「まだ早い! この世界の座標、最後まで確定していないはずだ!

 なぜ第四段階へ進む!」


影の声が大地から響く。


『リオン核の覚醒が、我らの演算を“完了”させたのだ』


世界の終わりが、静かに歩みを進めていた。


◆5.シルカ覚醒


戦場の中央。

リオンが影将の攻撃で吹き飛ばされ、建物の瓦礫の中に沈む。


「リオン!!」


シルカが駆け寄ろうとすると、影の分身体が群がるように道を塞いだ。


『お前は選ばれていない。

 補助役として死んでいけばよい』


シルカの中で、恐怖と怒りが両方とも限界を超えた。


「……ふざけるな。

 リオンは……私の大事な……!」


胸の奥で、古い紋章が脈打った。


師匠が息を呑む。


「まさか……シルカ、お前……“封血一族ふうけついちぞく”の……!」


赤い紋様がシルカの腕を走り、目が黄金に染まる。


彼女の魔力が爆発し、影分子が蒸発した。


『——封血ブラッド・シール……!?

 古き世界の守護者の血か!』


シルカは震えながら叫ぶ。


「リオンに……触るなああああ!!」


その声が、戦場の空気を一変させた。


◆6.リオンの前世完全解放


瓦礫の中で、リオンは意識を失いかけていた。


影将の声が遠くに聞こえる。


『そろそろ限界か。

 前世の“神造核”としての力を解放しろ、リオン』


「……嫌だよ。

 また……みんなを巻き込みたくない……」


幼い言葉だった。

しかし、影将は静かに告げる。


『リオン……思い出せ。

 前世、お前は“守るためにだけ”戦った。

 破壊ではなく……救済のために』


まぶたを閉じる。


その奥で、光と影が重なり合う。


——そして。


「……そうか。

 全部……思い出した」


リオンが立ち上がった。


白金と漆黒が混ざり合った 究極の光核コア が胸に輝く。


影将が震えた声でつぶやく。


『ついに……前世の核が“完全体”に……!』


リオンは静かに微笑む。


「行こう、影将。

 前の世界の続きを……終わらせに」


王都の崩壊と、世界の運命を賭けた戦いが始まる。

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