表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/147

独立エピソード 王都編クライマックス直前

**① 王都崩壊前夜


『沈む鐘、泣く街』**


王都の空が、色を失っていた。

夕焼けは灰色、雲は肩を落としたように垂れこめ、

街の人々は理由もなく胸騒ぎを覚えていた。


最初の異変が起きたのは、鐘楼だった。


いつもは時刻を告げる澄んだ音。

しかしその日——


――ゴォォォン……

――ゴォ……オン……


まるで喉を枯らした声のように、

鐘は“泣いていた”。


魔塔の魔導士たちが慌てて調査に向かったが、

戻ってきた者たちは震えながら言った。


「鐘が……勝手に、鳴っている。

 中に、何もないのに……!」


その音を聞いた瞬間、王宮にいるリオンの胸が締めつけられた。


(これは……外敵の“合図”だ)


影が囁く。


第三段階アクティベートの直前だ』


王都の誰も知らない——

崩壊の第一歩がすでに始まっていた。


その夜、王都は不吉な静寂に包まれた。


────────────────────────


**② 外敵“第三段階”開始


『門が開く音』**


深夜——。


王都外縁、誰も寄りつかないはずの古い祠の前に

“黒い縦裂け”のようなものが現れた。


空気が裂ける音。


ヒュ……ッ……ビキィ……


黒い靄が地面を這い、祠の周囲の草木は

触れた瞬間に“影の灰”へと変わった。


次の瞬間、影の声が世界に響く。


『――侵食、第三段階を開始する』


誰も聞いていないはずなのに、

リオンだけは眠りの中でその声を聞いた。


(来た……ッ!)


王宮の窓ガラスが震え、

遠くの空に“黒い光柱”が立ち上がる。


それは王都の人々には見えない。

しかし世界は確かに変質を始めていた。


“開門”だ。


外敵が世界に本格侵入するための、

最初の門が。


王都崩壊は、もう“予定された未来”へ向けて動き出していた。


────────────────────────


**③ リオン覚醒(光と影の統合)


『二色の瞳が開くとき』**


黒い光柱を夢で見た瞬間、リオンは飛び起きた。


胸が痛い。

光と影が身体の中でぶつかり合っている。


(ダメだ……押さえられない……!)


影の声が言う。


『統合しろ。

 今のままでは、外敵に飲まれる』


光の声が言う。


【統合は危険。あなたの“心”が壊れてしまう】


「でも……やらなきゃ、王都が!」


痛みが限界に達した瞬間——


リオンは“内面世界”に落ちた。


そこには光の自分と影の自分が向かい合っていた。


光:

【私はあなたを守るためにいる】


影:

『私はお前を強くするためにいる』


光:

【あなたの心は壊れていない】


影:

『お前の力は破壊では終わらない』


光と影:

【『お前が“望む方”に進め』】


リオンは震える声で言った。


「僕は……全部受け入れる。

 光も、影も。

 ぜんぶ僕で……その上で、守る!」


二人のリオンが重なり合い、

世界が白と黒の光で満ちる。


次の瞬間——

少年の右目は金に、左目は黒に染まっていた。


それは“統合の証”。

外敵すら予測しなかった異常進化。


少年は“境界を越える者”となった。


────────────────────────


**④ 王子視点の嫉妬・敵意


『なぜその力を持つのが…僕ではない』**


王子エリアスは、リオンが覚醒した報告を聞いた瞬間、

胸の奥に燃えるものを感じていた。


嫉妬。

そして、焦り。


(どうしてだ……

 僕は王族として努力してきたのに、

 あの子は七歳で王都の運命を握るのか?)


リオンが光と影を統合したと聞き、

エリアスは拳を震わせた。


(もし……もし僕があの力を持っていたら、

 王都はもっと強く、もっと栄え……

 国民に“本当の未来”を与えられたのに)


彼はリオンを見るたびに思う。


——あの少年は危険だ。

——王国の象徴になるのは僕の役目だ。


そして深く確信した。


(いつか……僕は“彼を越えなければならない”)


その目は

“友”を見る目ではなく

“越えるべき存在”を見る戦士の目だった。


────────────────────────


**⑤ シルカとの和解回


『あなたは帰ってくる場所』**


リオンが覚醒した翌日、

シルカはずっと彼を避けていた。


(だって……怖かった。

 影が近くにいた時、

 リオンの目が、知らない人みたいだった)


リオンは王宮の庭でひとり座っているシルカに近づいた。


「シルカ……」


「……来ないで」


声が震えている。


それでもリオンは一歩だけ近づいた。


「僕は、シルカが怖いと思った気持ち、否定しない。

 でも……聞いてほしい。

 僕、帰ってくる場所がないと……壊れる」


シルカの瞳が揺れる。


「……帰る場所?」


「うん。

 光も影も受け入れたけど……

 その“真ん中”で立ってる僕を、

 受け止めてくれるのは……シルカだと思う」


涙がこぼれた。


「……バカ。

 そんなの、言われたら……泣くよ」


シルカはリオンの手を握った。


「帰る場所は……ずっとここにある。

 逃げても、迷っても、

 絶対にひとりにしないから」


リオンは強く握り返した。


影の声も、光の声も——

何も言わなかった。


これは“少年と少女”だけの会話だった。


────────────────────────


**⑥ 師匠 vs 外敵上位個体


『老人はまだ死ねない』**


王都外縁。

開いた“黒い門”の前に、師匠が立っていた。


杖を軽く叩くと、空気が震える。


「随分と派手にやってくれたな……」


門の中から、

“人の形をした影”がゆっくり現れる。


外敵上位個体——影将シャドウジェネラル


『……懐かしい匂い。

 老人、かつての封印者よ』


「覚えておるか。若い頃、お前らの同胞を八体ほど斬った」


影将が笑う。


『今のお前では不可能だ。

 寿命は尽きかけ、魔力も枯れかけている』


「そうだな。

 じゃが——」


師匠は杖を投げ捨て、拳を握った。


「わしは二度と、あの子を泣かせるわけにはいかん」


次の瞬間、

老人の拳から激烈な魔力が炸裂し、

影将の胸を貫いた。


影将は驚愕の声をあげる。


『この魔力……!?

 お前……命を燃やしたのか……!』


「これが最後の拳じゃ……受け取れいッ!」


影が弾け、門が揺らぐ。


老人は膝をついた。


「……リオン。

 まだ……死ねんな……

 お前の未来を……見届けるまで……」


その瞳には、まだ強い光が残っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ