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7歳編の公式外伝として6本の短編2(各話完全に独立)

**① 外敵の正体・第一幕 『滲む気配 ― 世界の外から来るもの』**


森の奥で、異変は気づかれぬまま始まっていた。


空気がわずかに歪み、深い場所──魔素の低層域。そのさらに外側。

この世界の理から外れた漆黒の縫い目が、静かに開閉していた。


そこから、影でも魔物でも神性でもない“何か”が覗き込む。


『……観測、完了……』


声というより、概念の擦れ合う音。


『対象:光と影を同時に宿す人間ヒト……識別番号、リオン。

この世界の均衡へ干渉する存在……』


歪みの向こう側で、複数の“視線”が集まる。


『だが、まだ成熟していない。

覚醒前……捕食には早すぎる。』


『観測だけ続行。世界へ侵入するタイミングを待て。

この世界は“境界”が弱い。門が開く時は近い。』


縫い目が閉じる寸前、一つの声が仲間に問う。


『光側・影側の両方が動いている。

我々はどうする?』


『決まっている。

彼らが争い、世界が揺らいだ瞬間……

その“隙間”から侵入する。』


縫い目は完全に閉ざされた。


森は何事もなかったように静まり返った。

だが、この日から“外敵”は常にリオンを観測し続ける。


彼がまだ、それに気づくことはない。


**② シルカが“影の声”を一瞬聞いてしまう回


『黒い囁き ― 友への違和感』**


「リオン、最近ちょっと変じゃない?」


真昼の訓練場。シルカは剣を構えながら、親友の顔色を覗いた。


リオンは笑っていた。いつもと変わりない。

……はずだった。


(でも……なんか、前より“遠い”)


気のせいだと思いたかった。


二人で模擬戦を始めた瞬間だ。


──“邪魔するな”


シルカの耳奥で、誰かの声がした。


「え……?」


一瞬、リオンの影が揺らぎ、黒い“手”のようなものが伸びかけ──

次の瞬間には何もなかった。


「どうかした?」

リオンが首をかしげる。


「う、ううん! なんでもない!」


シルカは笑顔を作ったが、心臓が跳ね続けていた。


(今の……リオンの声じゃない。絶対に)


リオンの背後で、黒い影がわずかに揺れた。


“気づくなよ……人間ヒト


その囁きは、彼女だけに届いていた。


**③ 母が異変に気づく回・続編


『母の直感 ― 子の変化は見逃さない』**


夜。リオンが眠った後。

母エマはそっと部屋に入り、子の寝顔を覗き込んだ。


「……また、魔力の流れが乱れてる」


頬に手を添えると、ビリッとした痺れが走る。

昨日まではなかった“別の魔力”が混ざっている。


(あの子、何か隠してる……?)


それ以上に、母の本能が告げていた。


──この魔力は、常人が触れてはいけない。


エマは家族の記録を収めた古い箱を開ける。

夫の実家──古代魔法に縁ある家系の文献。


そこにはこうあった。


『光と影の混在する魔力が子に宿るとき、

その魂は“二つの理”に引き裂かれる恐れあり』


「引き裂かれる……?」


胸が冷える。


(リオン……あなたの中で何が起きているの……?)


母は決めた。


翌日、師匠クロウを呼び出す。

そして二人は小声で話し始めた。


「クロウさん。

リオンの中に……得体の知れない“濁り”があります」


クロウの表情が固まる。


「……エマさん、あなたも気づきましたか」


その瞬間、窓の外で黒い影が揺れた。

母は気づかない。だが影は確かに“聞いて”いた。


──……余計なことを。


**④ リオンの内面にいる光と影の対話


『内なる世界 ― 相反する二つの声』**


リオンが眠るたび、夢の底で二つの存在が対話をしていた。


◆光

『もうやめて、影。彼を利用しないで』


◆影

『利用? 違うな。これは共生だ。

俺はリオンを強くする。お前にはできない力で』


◆光

『あなたの力は彼の魂を壊す。

暴走を起こしたこと、忘れたとは言わせない』


◆影

『壊れていない。むしろ“器が広がった”。

あれくらいで折れるほど弱くはない』


◆光

『あなたはリオンを道具として見ている』


◆影

『お前は“神性”として彼を保護しすぎだ。

その甘さこそリオンの可能性を潰す』


光と影は互いを睨み合う。


◆光

『それでも、私は彼を守る。

あなたからも、あなたが連れてくる災厄からも』


◆影

『守れるものか。

外側で“観測者”が動き始めている。

お前の力では防げない』


光が息を呑む。


◆光

『……どうして、あなたはそんな情報を知っているの?』


◆影

『俺のルーツは“外側”にある。

あれらは……“同類”だ』


リオンは夢の中で震えた。


知らない対話。知らない世界の真実。

だが確かに、自分に全部関係している。


光と影は同時に言う。


『リオン、お前の選択次第だ』


目が覚めたとき、涙が頬を伝っていた。


**⑤ 師匠 vs 影の分身(短期戦)


『黒の来訪者 ― 師が初めて見る“敵”』**


夜の森。クロウは一人で調査をしていた。


(リオンの影に宿るもの……正体を掴まねば)


そのとき。


サッ……。


木々の影が集まり、一本の黒い“人影”となって現れた。


「……俺のことを探っているな、クロウ=ハーミット」


クロウは即座に構える。


(これは……リオンの影が具現化した“分身”?)


黒影は嗤った。


「坊主の成長を邪魔するなら……排除する」


影が触手のように伸びる。

クロウは雷撃で迎撃。


ドゴッッ!


大木が弾け、地面がめくれ上がるほどの衝撃。

影は一瞬で再生した。


(……物理無効か!)


クロウは魔力結界を展開し、影の攻撃をいなし続ける。


影は低く囁く。


「安心しろ。殺すつもりはない。

お前は“利用価値がある”。坊主を鍛えろ。

俺の器として、強靭に……」


「黙れ!!」


クロウが魔力で拳を叩き込むと、影は霧散した。


最後に、残滓がひとことだけ残す。


『いずれ、本体リオンが望むさ……俺の力を』


クロウは膝に手をつき、息を荒げた。


(……影よ。

お前は一体、リオンをどこへ連れていく気だ?)


**⑥ 王族がリオンを召喚しようと動き出す


『王都の会議 ― 少年の才能をめぐる思惑』**


王都・中央宮殿。


王子レグナートは書類を読みながら眉を寄せた。


「……7歳にして魔力暴走を生き延び、

さらに沈静化まで成功……?

そんな例、見たことがない」


魔塔の塔主、神殿司祭、王国軍の将軍が集まり、

一人の少年の名を話題にしていた。


「リオン。

彼を王都に呼び、正式に“管理”すべきでしょう」


「才能が規格外だ。

野放しにしておけば、後に災いになります」


「いえ、味方に引き入れるべきだ。

王国の切り札となる!」


それぞれの思惑が飛び交う。


王子は静かに言った。


「……理由をつけて召喚する。

“適性検査”という名目で。

ただし──絶対に敵に回させるな」


魔塔主が苦い顔をする。


「リオンの背後にいる師匠クロウは厄介ですぞ」


王子は即答した。


「構わん。

国に必要なのは“才能そのもの”だ」


会議室の外では、兵士が密やかに動き始めていた。


──王族による“少年確保作戦”が発動する。


リオンはそのことをまだ知らない。


だが、これは

7歳編クライマックスへと繋がる運命の始まりだった。

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