表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【短編】AI学習

 21世紀も折り返しを迎えた頃、とある地方都市の市長にAIが就任した。僅差ではあるが、前職の市長の8期連続の当選を阻止し、選挙戦を制した。

 といっても、もちろんAI人格のアバターや、ロボット・アンドロイドの類ではない。

 AIを党首とした政党の一員である人間のA氏が当選したまでだ。

 その片田舎の地方都市が学園都市であったことで、有権者である18歳以上の若者が多く、面白半分の投票、また既存の政党・政治家に期待もなければ興味もなかったことが後押しした結果だった。

 A氏の政策は、もちろん全てAIによって造られたものをそのまま施行しているだけにすぎないのだが、滞りなく、問題もなく市政は運営されていった。公正厳粛、本当の意味で機械的にこなされた政治は、非常にクリーンなものだった。

 その結果、任期満了後には、他の立候補者に圧倒的票差をつけて、連続当選することとなった。


 その後、気を大きくしたAI党は、国政選挙へと議員を立候補させる。

 しかし、衆議院選挙も参議院選挙もことごとく大敗した。

 理由は簡単だった。

 ロビー活動を行うという概念がAIには無かったからだ。

 市長選とはわけが違う。どこの誰に金を配り、どんなパーティーを開けば効率よく金が集まるか、AIは知らなかったからだ。


 そこでA氏たちはAIに学習させた。あらゆる政党のデータベースへハッキングをしかけ、そのノウハウを吸収させた。


 その結果、見事にAI党は国政選挙にも進出し、数年後、衆議院第一党となる。


 しかし、国政がクリーンになることはなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ