第九話 降伏
結論から言やぁ、王国は負けた。
マルハチ坂で俺達が必死になってる間、別働隊に首都を陥されたらしい。
少なくともこの世界、この国じゃ『国』ってのは『王』のことで、俺達のことじゃねぇ。
だから俺達が何をしようが何を言おうが、王が捕まって即座に取り返せないなら、負けってことになっちまう。王が負けを認めちまう、っつった方がいいか。
そういうわけで、俺達ゃ絶賛降伏勧告されてるってわけだ。
マルハチ坂を登った先、大盤山の砦まで陥したってのな。笑えるぜ。
義勇団で話し合って、受けることにした。
降伏勧告を、だ。
正直、俺達が今ここで何をどうしたところで、たいした意味はねぇしな。
敵の王でも通りがかったんなら別だが、んなこたねぇし。
だから、降伏。
一緒に砦へ入った騎士団は頑なに抗戦を主張してたが、そりゃ無理ってやつよ。
危うく事故が必要になりそうな場面もあったが、なんとか説得出来た。
俺達ゃ別に王や王子ってわけじゃねぇ。
適切に身代金──聖銀とかだけどな──さえ払えば、それで終わり。
聖剣は取られかねねぇってことで、キャタピラ剣士の装甲の内側に隠させてもらった。
信じられねぇ、って感じで見つめられたような……いや、気のせいだろ。
兎にも角にも、英雄になりそこねて、俺達は王都へ帰った。