第六話 決勝
準決勝から丸一日経って開催された決勝は、ある意味因縁ってぇか、重量級キャタピラ剣士相手だった。
ここで勝たにゃあ、『足』を作った意味がねぇ。
開始直後に突っ込んで来るのは昨日のツインテと同じだった。
ただ、身体の大きさが違った。
躱すなんてもんじゃねぇ。全力で避けて、漸く無事でいられる。
自分より何倍も大きい相手ってなぁ初めてだった。
規定で許されるギリギリの大きさかもしれねぇ。
床が柔剛鉱石じゃなかったら、とっくに壊れてただろう。
そんな重量級且つ乱暴なほどの機動で、相手がまた突っ込んできた。
キャタピラを何重にも仕込むことで素早い方向転換と急加速を実現、もちろん急停止だって可能。そういう機体に仕上げてるらしい。
戦闘能力は確かに高かった。
大抵の動きには対応出来て、何より装甲が厚くて頑丈。その重さを支えられるだけの機構があった。
でも、それだけだ。
俺がやりたい【剣聖】の動きには、程遠い。
もっと俊敏で、軽やかで、風の中に溶け込むような動き。
ツインテの動きの方が、まだそれに近かった。
キャタピラ剣士がその大剣を十数度目に振り下ろした時、合わせるようにしてその指先を斬り落とし、生まれた隙に乗じてメインカメラまで破壊して、勝利となった。
剣を受け流す動作の応用だったが、何か自然と身体が動いたような気がした。
あ、キャタピラ剣士の指先、っつっても補助機械の指だからな。修理は可能だ。なんなら俺が責任持ってやってもいい。
昨日のツインテも、触らせてくれるんならやりてぇんだけどな。どうなってるのか知りてぇし。
何はともあれ、優勝を称えられ、賞品の聖剣を授与された。
光り輝く刀身。刻まれた魔法は俺の知らねぇもんまで混ざってる。研究し甲斐があるな。
ここで強奪事件でも起これば少年漫画感あったけど、そんなこともなく、ただ平穏無事に解散した。
と思ったのはどうやら俺だけだったらしい。
一泊した翌朝、呼び出しがかかった。