第四話 開発
新たな補助機械をプレゼントしてもらってから十年、剣を振り回すだけじゃなく、ロボットの開発・改良にも取り組んできた。
キャタピラじゃ足運びにも限度があるしな。俺が思う【剣聖】として活躍する、って目標には、やっぱ人型の足が要る。
それでずっと色々勉強してたんだが、『前の世界』でのおぼろげな記憶が結構役立った。
人型ロボットのアニメや漫画、果ては精巧なプラモまでいくらでもあったからな……当時も楽しませてもらったけど、今となっては貴重過ぎる記憶、資料だった。
何しろせっかく作る【剣聖】の『足』なんだ。欲しい機能を満たしつつ、格好良くなくっちゃな!
制御はキャタピラごと乗り込んで『接続』を連動。変形収納出来るようにキャタピラ自体も改造した。
正確に言えば、設計はしたけどキャタピラは『接続』の都合で外せなくて、うちのみんなに作業を頼んだ。
最近、そのみんなが──長年世話になってきた家族みたいなロボット達が、たまに不調を訴えるようになった。
俺の世話をしてくれて二十数年……いや、母さんに仕えてた頃から考えればその倍以上前から働いてくれてたらしい。ガタが来んのも仕方ねぇってさ。
でも、それでお別れ、なんてなぁ嫌だった。
だからこれまでに培ったあらゆる知識と技術で、みんなを直した。
直してやったんじゃねぇ。ただ、直したんだ。
俺のために、もっと一緒に居てもらいたかった。
単なる俺の、エゴだった。
その後、みんなが出かけていった先で評判になったらしく、修理の依頼が来るようになった。
全部独学だから保証は出来ねぇって伝えても、お構いなしだった。
どうも、古いロボットを直す奴ってのはこの世界だかこの国だかにはあんまり居ねぇらしい。
ま、型番が古くなったから保証終了、ってのは『前の世界』でもよくあったしな。製造側からしたらしゃあねぇんだろう。
せめてみんなが恥をかかねぇように、精一杯やらせてもらった。
自分の知識と技術の向上、って意味でもありがたかったしな。
文字通りに多種多様なロボットの中身を見て、学んで、『足』の試作品改良も進めた。
報酬で聖銀やら何やら貴重な素材を貰ったりもして、単なる足じゃない、【剣聖】の『足』だ、って胸を張れるような、繊細且つ力強いものが出来ていった。