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落ちこぼれ研磨師ですが、冒険者をやっていたおかげで聖女と呼ばれるようになりました。〜でも、本当は……〜  作者: いとう縁凛
第十話 黎明の疾風団、始動!

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10.4 黎明の疾風団に依頼①


 今日もクエストをこなそうとギルドへ行くと、ララに呼ばれた。

「黎明の疾風団に、指名依頼です」

「わたし達に?」

「はい。この依頼は一ヶ月前から各街のギルドに来ていたんですが、まだ黎明の疾風団が討伐できる階級ではなかったので預かっていました」

「と、いうことは?」

「はい。水辺の三鉱魔ですね。引き受けますか?」

「コープス、ウォーチャー、ウォープランカーは、三体揃うと討伐ランクがAだった気が……」

「黎明の疾風団は三人がB級、モニカさんがC級です。なので通常ではまだ討伐可能ではないのですが、モニカさんが重騎士であること、リオナさんの討伐方法から鑑みて討伐可能と判断されました」

 ララの話を聞き、リオナは振り返ってメンバーの総意を確認する。三人とも頷いてくれたため、三鉱魔を討伐する依頼を引き受けた。

 どこで討伐をするか、対策をどうするかなどの話し合いのため、ギルド内にある食堂へ行く。

 男性陣が食事を取りに行ってくれたため、リオナはモニカと席で待つ。その間に、アルフォンスを目で追ってしまっているリオナに、モニカが聞いてくる。

「リオナ、最近アルフォンス様とはどうなのかしら」

「へっ!? な、なにがですか!?」

「ほら、以前わたくしの部屋で聞いたときは今ほど熱を持った視線ではなかったと思うの」

「そ、そうでしたか?」

「ブライス卿と比べると熱分は高かったけど、今ほどではなかったもの。何か進展があったとしか思えないわ」

「……あの、前に他の人にも指摘されたことがあるんですけど、わたしの態度って、そんなにわかりやすいですか」

「どうかしら。わたくしはリオナを見ていたから、すぐにわかったわ」

「うぅ……このままではいけませんね。黎明の疾風団のためにも、態度を改めないと」

「あら、なぜ?」

「なぜって……だって、気まずくありませんか? 振られるにしても、両思いになれても、なんか、こう……」

「わたくしのことを救ってくれたリオナの幸せを、わたくしは願うわ」

 にっこりと微笑まれる。

 ハルトレーベン邸にいた頃、当主の思惑に乗らないようにモニカとブライスの距離が近くならないようにしていた。今は家を出ているとはいえ、モニカの意思はどうなのか。

(……せ、せめて、モニカがブライス様を好きで、二組のカップルができれば、少しは?)

 打算的なことを考えてしまっていると、盆に食事を載せた男性陣が戻ってきた。

「お待たせ。朝食だからスープと、日替わり献立みたい」

「美味しそうですわ。ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」

 リオナはアルフォンスから受け取り、モニカはブライスから受け取る。

 そして朝食を食べながら、指名依頼のことを話す。

「水辺の三鉱魔、どうやって倒しましょうか」

「川や海に出るが、確か海は力を増すんだったか」

「そうですね。指名依頼の内容は、三鉱魔のドロップ品オニクス、アクアマリン、マグネタイトを納品。アクアマリンは船乗りのお守りとしても人気なので、ルミー海が近いテフィヴィなら入手もできるでしょうが……」

「ウォープランカーがコープスの近くに沸く可能性の方が高いからね。単独で出てくることは珍しい」

「水辺、ということは今度こそユウトピアラが出てくるんじゃないのかな」

「えっ、今度こそ?」

 リオナの反応を見て、アルフォンスとブライスが目を何度も瞬かせる。

「えっ?? ちょ、ちょっと待って下さい? アルグネ山の地下迷宮で、ユウトピアラが出ましたよね??」

「えっ!? あの時、ユウトピアラが出てたの!?」

 アルフォンスの言葉で、今度はリオナが驚く番だ。

(……え、あのとき、ユウトピアラは出ていなかったの? でも、わたしの胸も大きくなっていたし……)

 何度も見てきた、寝ているときの夢。リオナの理想通りに動いていたのに、あのときだけ違った。だから、リオナはユウトピアラが出てきたと思ったのに。

(……考えてみたら、ちょっと違う?)

 ユウトピアラは夢の中でその人が望む理想的な姿や場所を映し出し、精神的に捕まえて廃人にする。だからこそ心を許す相手に起こしてもらうとルビーをドロップするのだ。そんな経緯があるから、ルビーはプロポーズのときに用いられる。

 あの夢をきっかけに、リオナは自分の気持ちを自覚した。しかしもし、あれがユウトピアラの攻撃だったとしたら、もっと内容は違っていただろう。いつも見ていた、研磨師として活躍するリオナの夢が、さらに良い内容になっていたはずだ。夢の中で自分を傷つけてまで起きようとはしなかっただろう。



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