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落ちこぼれ研磨師ですが、冒険者をやっていたおかげで聖女と呼ばれるようになりました。〜でも、本当は……〜  作者: いとう縁凛
第十話 黎明の疾風団、始動!

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10.3 モニカ独自の技


「モニカ。ドロップ数も貯まりましたし、早速階級を上げましょう」

「いいえ、まだダメね。わたくしが鉱魔を倒せていないわ」

「モニカは、重騎士として鉱魔の注意を引きつけてくれましたよ? モニカの協力がないと鉱魔を倒せなかったです」

「それは、リオナがわたくしに合わせてくれているから成り立っていると思うの」

「でも、モニカは重騎士ですし」

「騎士とは、守られるだけではダメだと思うの」

「えっ、それは……呼び方の問題じゃないですか?」

「格闘士と拳闘士が違う職業として考えられているように、重騎士は鉱魔を挑発するだけじゃダメなような気がするの。この先、黎明の疾風団のメンバーとして恥じない戦い方をしたいわ」

「んー……では、どうしましょう?」

 リオナの問いかけに、モニカは考えているようだ。そんなモニカに疲労回復するための魔法をかけるブライスと、アルフォンスが近くにくる。

「リオナ。手のとこ、ちょっと切れてるね。治療するよ」

「あ、は、はいっ」

「どうしたの、リオナ。何か、緊張してる?」

「はいっ、いいえっ」

「ふふっ。どっちなの、それ」

 リオナの可笑しな回答にアルフォンスが笑う。

(うぅっ。アルフォンス様の笑顔っ)

 アルフォンスのことを好きだと自覚して以降、パーティーメンバーを交えていると緊張はしないのに、メンバーがいても、二人で話すと緊張してしまう。

(き、傷は小さいものに留めておかないと)

 怪我をしなければいいのだが、アルフォンスはリオナが気づかなかった小さな傷も見つけてしまう。血を流すような大きな傷になると、アルフォンスは直接触って治療してくれる。

(い、今、アルフォンス様に触られたら、気持ちを伝えてしまいそう……)

 リオナがモニカを助けたいと望んだ。そして、黎明の疾風団として四人で活動している。だから、自分の恋を優先するのはどうかと思ってしまうのだ。上手くいったとしても、上手くいかなかったとしても、どちらにしてもパーティーは微妙な雰囲気になってしまう。

(モニカが、ブライス様を好きだったら、まだ少し違うと思うんだけど)

 リオナがぐるぐると考えている間に治療が終わり、アルフォンスに礼を言った。

「これがぼくの役割だから」

 優しく笑いかけてくれるアルフォンスに、リオナの心はギュッと掴まれる。

 眩しい笑顔を直視できなくなったリオナは、モニカを見た。

「何か思い浮かびましたか」

「うぅーん……重騎士を選択した以上、職業を活かした戦い方をしたいのだけれど。これ、というようなものは思いつきませんわ。リオナは、もう存在自体が稀なような気もするけれど、独自の技ってあるのかしら」

「ありますよ。鉱物眼です。他の研磨とか造形とかは、師匠のジェイコブさんに教えてもらいました」

「そうなのね。鉱物眼は、どうやって編み出したのかしら」

「どうやって……んんー、ジェイコブさんが亡くなってしまってから、必要に迫られてという感じですかね。なるべく早く、多くの鉱魔を倒せれば、睡眠時間を確保できたので」

 何てことはないと過去を話すと、モニカは優しく抱きしめてくれる。

 離れると、何かを決意するような強い眼差しになっていた。

「将来、リオナの店に通うためにも、わたくしももっと頑張りますわ!」

「モニカは盾の扱い方も上手いですし、きっとすぐにできるようになりますよ」

 そんなリオナの予言めいた応援は、数日後に実現することになる。


「リオナ!! 危ないですわっ!」

 手慣れてきたアトゥンツリーの討伐。リオナがドロップ品のガレナを拾っていると、モニカが叫んだ。

 ちょうど、リオナの体に隠れるようにチャータボークスが低空飛行を始めていた。

挑発(プロヴォケーション)!」

 モニカが詠唱をすると、リオナに迫っていたチャータボークスが進路を変えた。その際、ふわりと少し浮いたが、モニカに真っ直ぐ進んでいく。

「はぁぁぁぁあぁっ」

 モニカの声がけを聞き、気合を見たリオナは、盾を持って突進するモニカの行動を邪魔しないように避ける。

 チャータボークスを挑発したまま、モニカは突き進む。盾に押し込まれるようになったチャータボークスは、悲鳴のような鳴き声を上げた。

「ここ、ですわっ」

 盾にチャータボークスを乗せるように進んでいたモニカは、木と盾でチャータボークスを挟むようにして倒す。ギャッと短く鳴いたチャータボークスは、すぐになくなって消える。

 盾を傾けるようにしてチャータボークスがいた場所を確認しているモニカに、リオナが近づく。

「モニカ! すごいですよ、一人で倒しちゃいましたよ!」」

「ありがとう、リオナ。この戦い方なら、どうにかわたくしも倒せそうですわ。押し込んで木と接触した瞬間にあいつを倒せたから、イヤな感覚にもなりませんわ」

「それは良かった。技名……というか、詠唱はどうしますか? 詠唱があると技を出す! みたいに頭を切り替えられるし、わたしもモニカの攻撃を邪魔しないようにできますし」

「そうね……突進だから、チャージダッシュ、という感じかしら」

「おぉっ、良いですね! モニカ独自の技、編み出せましたね」

「わたくしの我儘で階級を上げることを待ってもらって申し訳なかったわ。これで、もっと貢献できる」

「モニカの挑発にも、助けてもらっていますよ。だから、モニカにも半分ドロップ品を渡します」

「ありがとう、リオナ。わたくしも早く、容量箱を得られるように精進しますわ」

 こうして納得ができる技を編み出したモニカは、ノキアの換金所で合計二十のドロップ品を換金する。そして、モニカの階級はDになった。


 それからまた、順調に鉱魔を討伐していく。モニカの階級がCになる一ヶ月後、リオナはB級に上がっていた。B級からA級に上がるまでには五千個のドロップ数が必要で、アルフォンスもブライスもまだB級だ。

 そんな、B級三人C級一人の黎明の疾風団に、パーティー指定の依頼が来た。



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