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落ちこぼれ研磨師ですが、冒険者をやっていたおかげで聖女と呼ばれるようになりました。〜でも、本当は……〜  作者: いとう縁凛
第八話 モニカの眼鏡のために

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8.3 アルグネ山へ


 モニカに眼鏡を作るため、ヴァゼテラ平原で大量にアポフィライトを獲得したリオナ達は、次なる目的地アルグネ山に向けて動いていた。

 テフィヴィから途中のロンガースまで歩いて三日かかる。ロンガースまで続く街道は、ルチフーラ街道。そう。街道といえばデューオルチョイン。デューオルチョインといえば、換金天国。

 しかし今回はモニカに眼鏡を早く作りたいというリオナの願いを受け、アルフォンスが馬車を頼んでくれた。

「早いですね!」

「特別に早い馬にしてもらったんだ。この速度なら、もうすぐロンガースに着けると思う」

 乗っている馬車は、リオナ達しか客がいない。見たことのあるニ階建ての馬車のように多くの人を乗せていない分、速度も出せるのだろう。

 冬の風は肌に刺さるほど冷たい。しかしそれ以上に、リオナは初めて乗った馬車ではしゃいでいた。

 鉱魔は水気のあるところに出る。しかし馬車に乗っていれば、途中でそんな場所があったとしてもサッと通過してしまう。

 すぐにロンガースに到着した。

(あ、青紙幣一枚!?)

 ノキアと同じような高さの壁に囲まれたロンガースに到着後すぐ、アルフォンスが御者に料金を支払っていた。御者も驚いているようだから、もしかしたら乗車料金ではなくて心づけかもしれない。

 リオナも冒険者になって稼いでいるが、基本的には冒険者カードに資金を貯めている。冒険者がよく利用する店はそのカードで支払いもできるから、紙幣はまだ見慣れない。青紙幣は一万ガルド。アポフィライトが三〇〇ガルドと考えると、惜しみ無く心付けを渡せるアルフォンスには尊敬しかない。

 速い馬車のおかげでロンガースに半日で到着できたため、今夜の宿を捜してルチフーラ街道から続く西門を通る。

 木造の建築が多く、高さも二階建ての建物ばかりだ。初めて来た街なのに、なぜか素朴で懐かしいような感覚になる。

 アルフォンス達はこの街にも換金しに来ていたらしく、迷うことなくロンガースのギルドへ行く。幸いにも、ギルドのすぐ隣にあるギルド管轄の宿が空いていた。予約をし、今後必要になる食糧の調達、レヴテナ地下道を進むためのクリオライトを購入していく。

 ギルド内で夕食も済ませ、リオナは部屋まで送ってもらった。


 そして、翌日。

 目的地のアルグネ山に一番近い街、オルハルガルへ向けて出発した。

 街に行くためには、レヴテナ地下道を通る。場所としては、マオゲヌ山とナギセ山の中間ぐらいの所だ。ここは歩いて二日かかるが、その先のアルグネ山は出てくる鉱魔がほぼBランクの場所だ。Cランクの冒険者も挑めるが、強敵ばかりの場所のため向かう冒険者も手練れであろう。そう判断されて、馬車が通れない手彫りのような狭い地下道のままだった。

 当然、カールト隧道のように整備されていない。クリオライトを自ら用意し、明るさを保たないといけない。鉱石且つ、摩擦熱で光らせるから摩耗する。クリオライトは消耗品なのだ。

 レヴテナ地下道は街道のため、デューオルチョインが出る。地下道ということもあり、どこからか水が滲み出ているのだろう。倒しても倒してもどんどん湧いてきていた。

 リオナが常に鉱物眼を発動し続けなければいけない状況で、狭い地下道ではブライスの魔法も使いづらいようだった。

「ようやく、波が落ち着きましたね」

 リオナは進む先にまたデューオルチョインが発生していないかクリオライトの光を少し奧へ向ける。すると、チカッチカッと何かが光るような反応があった。デューオルチョインが発生していないことを確認して、その反応に近づく。

 地下道の壁に埋まっていたそれは、ちょんと触っただけでぽろりとこぼれ落ちる。普通の岩石よりも少しだけ白い割合が多いそれは、かなり珍しい鉱石だ。この白い部分が、光に反応した。

 研磨師を目指す者として、ジェイコブから聞いたことがあった。師事したジェイコブですら、ジェイコブの師から話を聞くだけだったという、鉱石。

 リオナが初めて見た鉱石に目を奪われていると、デューオルチョインが出没した。正面だったため、何度か殴って討伐する。

 また鉱石に目を向けたリオナのすぐ隣に、アルフォンスが来た。

「リオナ、まじまじと見ているけど、貴重な鉱石なの?」

「貴重ってもんじゃないです!! ジェイコブさんですら実物を見たことがないんです!」

「それは、珍しい鉱石だね。なんて名前?」

 アルフォンスに聞かれ、むふーっと、リオナは思わず鼻息を荒くした。

「これはですね、マスコバイトクオーツと言うんです! 火山岩の一種で、もしかしたらまだ国として機能していなかった大昔に、ルイ島にマグマがあったという証明なんです! マグマが急速に冷えてっ」

 興奮して早口になってしまっていた。アルフォンスはリオナの言葉を理解しようとしてくれているが、首を傾げたり天を仰いだりしている。

「……えーと、ごめん。クオーツが入っているのかなってことしかわからないや」

「それで大丈夫です。簡単に言うと、大昔にできた鉱石が数種類合わさっている鉱石っていう感じです」

「なるほど! それならわかるよ」

「はぁぁぁっ。こんな珍しい鉱石、肌身離さず持っていたいっ! でも、なくしたり割れちゃったりしたら、立ち直れない」

「リオナ、貸して。ぼくが容量箱に入れておくよ」

「お願いします!」

 まるでアルフォンスに献上するかのように、両手でマスコバイトクオーツを渡す。そんなリオナの行動に合わせるように、アルフォンスも仰々しく受け取ってくれた。

 マスコバイトクオーツが容量箱に入れられたことを確認したリオナは、湧いたデューオルチョインを瞬殺する。

 そしてその後もデューオルチョインを討伐し、休みつつ、レヴテナ地下道を抜けた。



・−・−・−・−・


 リオナ達一行がレヴテナ地下道を通っていた頃。

 ノキアでは一件の窃盗事件があった。狙われたのは、オルゴーラ工房。盗まれたのは、ルビーの原石だ。それも、三つ。

 しかし、オルゴーラ工房は被害届を警吏に出さなかった。それは、工房から犯罪者が出たからかもしれない。もしくは、警吏に知られると後ろめたいようなことがあったからかもしれない。

 どんの理由があったのかわからないが、被害届が出されていない以上、この窃盗事件が明るみに出ることはないだろう。


・−・−・−・−・


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