表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれ研磨師ですが、冒険者をやっていたおかげで聖女と呼ばれるようになりました。〜でも、本当は……〜  作者: いとう縁凛
第五話 憎悪と欲望

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/100

5.5 指名依頼


 ギルドの地下を出たリオナたちは、今日はもう解散することになった。リオナはそのままギルド内に泊まっている部屋へ戻る。翌朝に、またギルドに集合することになった。


 そして、翌朝。

 ギルドへ行くとブライスが待っていた。

「おはようございます、ブライス様」

「おはよう。昨夜は大変だったね。よく眠れたかな」

「はい。アルフォンス様はいないんですか」

「それが、今ノキアにいる白魔術師がアルしかいないみたいで、街の修繕が終了するまではノキアに滞在することになるみたいだ」

「そうなんですね。白魔術師は稀少な存在なんですね」

「まあ、赤魔術師なら攻撃も簡単な治療もできるからね。白魔術師だけを選ぶのはあまり聞かないかな」

「では、それまでどうしましょうか。二人でクエストをこなしましょうか」

「リオナさん、かな」

 名を呼ばれ振り返ると、がっちりとした体格の男性が立っていた。体に厚みがあり、冒険者かもしれない。

 ブライスが、容量箱からさっと杖を出し、リオナを守るように前に出た。

「お初にお目に掛かる。ノキアの冒険者ギルドの長、ロクスだ。怪しい者ではないから、杖を下げてほしい」

 ロクスからそう言われたが、ブライスはまだ警戒している。そんなブライスの腕をとんとんと叩く。

「ブライス様は、ギルド長に会ったことはないんですか」

「どの街でも、ギルド長とは滅多に遭遇しない。だから、この人物がギルド長かどうかは……」

 二人で相談していると、徹夜明けなのか疲れた様子のララが黄色い紙を持ってやってきた。

「ギルド長、この依頼なんですが……あ、リオナさん」

「この通り。オレのことは信用してもらえたかな」

 茶目っ気たっぷりに肩をすくめたロクスを見て、ブライスもようやく警戒を解いた。

「リオナさんと、パーティーメンバーの君に聞きたいことがあるんだけど、今良いかな」

「は、はい……」

 おいでおいでと手招きされ、リオナとブライスはロクスの後をついて行く。

 通されたのは、ギルド長の部屋。そこの応接用の席に案内される。

「早速で悪いけど、昨晩の事について聞きたいんだ」

 ララから守護石のことは聞いているようだ。この部屋へ呼ばれたのは、昨晩あの場にいた冒険者たち一人一人から聴取するためらしい。

 ライトキャトルを倒したリオナと、それを助けたブライスの存在は誰の口からも出たという。

 この場に呼ばれた、ということで、リオナは暴れたライトキャトルからドロップしたクリオライトのことを話した。

「そうか……閃光、赤黒く変色、砂のように細かくなってなくなった、か。そんな事象は初めて聞いた」

「ロクスさんでも?」

「これは調査の必要がありそうだ。確か、もう一人のパーティーメンバーが今街を修繕してくれているね。それが終わるまでにまた話を聞くかもしれない。対応してもらえるとありがたい」

「わかりました。わたしはギルドがある建物内に宿泊しているので、何かあれば対応します」

「ありがとう。ところで、昨晩あの場にいた他の冒険者を知っているかな」

 リオナはカールト隧道で見た三人組のことを伝え、ギルド長の部屋を出た。

 街の修繕が終わるまではノキアから離れられない。これからどうするかとブライスと相談しようと思っていると、ララがやってきた。

「ギルド長とのお話は終わりましたか。それならば、受付へ来てください」

 ララの後を追うように受付へ行く。噴水広場の方ではまだアルフォンスが修繕しているが、少し奧に入ったギルド内には影響がない。昨日が仕事納めだと決めていた冒険者が多く、普段よりも人が少ないと感じるくらいだ。

「リオナさんたちのパーティーに、指名依頼が入りました」

「指名依頼? そういうのがあるんですね」

「はい。誰でも受けられるクエストは白、特定の誰かに依頼する場合は黄色、即座に解決しなければいけないような緊急クエストは赤い用紙で発注することになっています。ですが概ね、掲示板に貼られているのは通常のクエストだけですね。指名依頼は、直接冒険者の方にお伝えするので」

「なるほど。それで、わたしたちのパーティーに依頼が入ったということですね。どんな内容ですか」

 質問すると、ララは黄色い用紙を受付に置く。

 内容を見れば、スリースクッシュのドロップ品を納品して欲しいということだ。

「一週間ほど前に依頼がありました。そのときはまだリオナさんが階級を上げていなかったので、ギルドで預かる形になっていました」

「スリースクッシュはどのランクなんですか」

「Cランクです。どうしますか? この依頼を受けますか」

 リオナはブライスを見た。頷いてくれたので、指名依頼を受ける。

 ギルドから出て、罠用の材料が置いてある店へ行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ