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ダークサイドゲーム  作者: 五三竜
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第6話 信じる心と破壊する者

 それから20分後……


「よし、全部揃ったな。回復アイテムもかなり集まった。そろそろ作戦を開始する」


「……本当にやるのですか?先程あんなこと言っておきながら聞くのも無粋ですけど……」


「……はぁ、心配するなよ。もうヘマはしないからさ。それ以上言うとおしりペンペンだからな」


「はい……」


 シュテルは優しく言ったがルビーはまだ心配らしい。シュテルはそんなルビーを見て少しだけ考えると手招きをした。


「なんですか?……ん!?」


 ルビーは突然鼻に痛みを感じた。見ると、シュテルが軽くデコピンをしていた。


 どうやらそのデコピンが普通に外れてデコじゃなくて鼻に当たったみたいだ。


「あのなルビー、大事なのは勝てるかじゃないんだ。さっき言ってくれただろ。勝とうとする気持ちが大事なんだ。だけどさ、それと同じくらい大事なものがあるんだ。それは、信じる心だよ。誰かを、何かを、ずっと信じ続けることが大事なんだ。だからさ、俺のことも信じてくれよ」


 シュテルはそう言ってルビーの頭を撫でた。そして、少しだけ微笑むとすぐに真剣な眼差しになる。


 気がつけば、モンスターはすぐそこまで来ていた。シュテルはそのモンスターを見つめてすぐに行動を開始する。


 まず最初に石を投げた。その石は壁にぶつかり音を立てる。モンスターはその音に反応し音が鳴った方を見た。


 そのおかげでシュテルはあのモンスターの資格に入ることが出来る。それを確認すると、足音を立てないように走り、力いっぱいジャンプをした。


 さすがはゲームと言ったところだ。ジャンプ力が人間離れしている。だが、ジャンプ力もレベル分くらいしか上がらない。シュテルはモンスターの腹の部分に手をかけ背中に乗った。


 モンスターはその時初めてシュテルの存在に気がつく。しかし、その時には既に遅かった。


「おりゃ!」


 シュテルはすぐにモンスターの左目に折れた剣を突き刺した。


 ガァァァァァァ!


 モンスターの断末魔が聞こえる。しかし、これくらいでは致命傷にすらならない。シュテルはそれを知っているからこれだけでは終わらない。


 そのまま手榴弾を取りだし左目に埋め込んだ。そして、バク転のように後ろに飛び上がり、その場から離れる。


 そして、そ3秒後にモンスターの左目が大爆発した。


 ガァァァァァァァァァ!


 再びモンスターの断末魔が聞こえた。シュテルはそれを聞いてすぐにモンスターと向き合う。すると、かなりダメージを食らったのか、悶えていた。そして、左目からは赤い立方体が落ちてきている。


「よし、あそこからなら攻める」


 そう言って再び剣を構える。その時、ふと何か嫌な予感を感じた。見ると、モンスターが口を大きく開き、紫色のエネルギーを口元で溜めていた。


「っ!?やばい!」


 シュテルはそれを見てすぐに横に走り出す。そして、ルビーが振り落とされないように押さえると全力で飛んだ。


 その刹那、先程まで自分がいた場所に紫色の光線が飛んでくる。それは、一瞬でその場を消し飛ばし、シュテルの足元付近まで迫ってきた。


「クッ……!」


 凄まじい光線がジリジリと迫ってくる。その恐怖心に足がすくみ、シュテルはそれを見ながら少しづつ後ずさって行くしか無かった。


 しかし、逃げるのにも限界がある。なんと、後ろに壁があったのだ。そのせいで、もう逃げることは出来なくなる。


「クソッ……!止まれ!止まれ!!!」


 シュテルは壁際まで逃げると、何も出来なくなりただそう叫ぶことしか出来なかった。


 すると、その声が届いたのか、光線は止まった。そして、すぐに消える。どうやら魔力不足に陥ったらしい。


「……ふぅ、何とか耐えきったな今のうちに逃げよう」


 シュテルはそう呟いて立ち上がると、すぐに壁をジャンプで上り、屋上に登る。そして、そこからモンスターを見つめた。


「っ!?」


 なんと、見るとモンスターが光線をはなとうとしていた。しかも、既に臨界状態まで来ている。このままでは光線を食らってしまう。


「っ!?ちっ!」


 シュテルはすぐに横に走った。そして、逃げようとする。しかし、モンスターはシュテルに合わせて首を横に動かしている。


「っ!?やばい……!」


 このままでは攻撃をくらい、死ぬ。この攻撃は当たれば終わりだと言っても過言では無さそうだ。だとしたら、避ける他ないが、追尾されていては避けきれない。


「……何か無いのか!?……っ!?」


 その時、ふと思い出した。それは、アイテムを探している途中……


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……


「あ、そうだ。なぁルビー、なんであのギルドの門だけ仰々しいんだ?」


「ギルドの門ですか?あの門はアダマンタイトで出来ているからですよ。ベンゲルの街は始まりの街なので襲撃などに備えてギルドの門は頑丈に出来ているんです。そうしたら、もし何かあった時にギルドで籠城出来るので」


「なるほどな。じゃあ、ドア壊したら強い武器作れんじゃん」


「《《壊せたら》》良いんですけどね」


 ルビーはそう言ってその場からすぐに去っていこうとする。しかし、シュテルはその扉を見てなにかに使えないかを考えていた。しかし、今の実力じゃ壊すことは出来なさそうだ。


 シュテルはその扉を見つめながらアイテム探しに戻った。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……そして、シュテルは今その事を思い出した。


「扉だ……扉のところまで行くんだ!」


「え?どういう……ふぇぇぇぇ!?」


 突如シュテルはルビーを掴み、全速力で走り出した。そして、すぐにギルドの前に来る。


 後ろを振り返ると、既にモンスターが紫色の光線をはなとうとしていた。どうやらここに来るまでの間に臨界状態に入ったらしい。


「クソッ……!頼むから耐えてくれよ……!」


 シュテルはそう言って扉の裏へと隠れた。そして、その2秒後にシュテルに向けて光線が放たれた。


 光線はものすごい轟音と共にシュテルの周りの景色は紫色に染められた。光線は容赦なくシュテルを襲う。しかし、アダマンタイトの扉が何とかシュテルを防ぐ。しかし、よく見れば端の方が赤く変色している。


「っ!?溶けているだと!?」


 どうやらこの光線はアダマンタイトを溶かしてしまうほどの熱エネルギーを持っているらしい。


「やばいやばい!頼むから耐えてくれよ!」


「シュテル様……えい!」


 その時なんと、ルビーが結界を張った。


「ルビー、結界が張れたのか!?」


「こんな結界使い物にはなりませんが、それでも少しでも助かるためには……!」


 そう言って、少しキツそうに結界を張り続ける。シュテルも、何とか生き延びようとアダマンタイトの扉と自分の間に鉄の盾をおく。


 そして、遂にアダマンタイトの扉が完全に溶かされた。光線はシュテルの置いていた盾に直撃する。


「やばい……!」


 何とかルビーの結界と盾で守るが、あと5秒もつかどうか分からない。


「止まれ……止まれ!早く止まれよ!」


 シュテルは必死にそう叫んだ。すると、その言葉が通じたのか、光線が止む。見ると、長時間の発射でオーバーヒートしているようだ。


 シュテルはその攻撃が止んですぐに周りを確認した。周りの建物はほとんど破壊されている。次同じ攻撃が来れば避けられない。盾はほとんど溶かされ、ギリギリ5ミリほどの鉄が残っている。


「はぁ……はぁ……シュテル……様……私……もう……」


 ルビーがそんなことを言って地面に落ちてしまった。どうやら力を使いすぎて飛ぶこともままならなくなってしまったらしい。


「ルビー!大丈夫か!?……クソッ!次同じ攻撃が来れば、確実に俺は死ぬ。ここまで頑張ってくれたんだ。ここで死ぬ訳にはいかない!考えろ!諦めるな!まだなにかやれるはずだ!」


 シュテルはそう言いながら必死に考える。そして、ある作戦を思いついた。


「っ!?……これなら行けるかもしれない……」


 シュテルは周りを確認して作戦が実行できるか考える。……いや、考えている暇は無い。もうやるしかないんだ。


 制限時間は恐らく30秒くらいだろう。それまでに終わらせなければ。


 シュテルはそう思い、勢いよく駆け出した。そして、すぐにモンスターの足元に滑り込む。そして、少しづつリモコン爆弾を仕掛けた。


 さらに、大量の手榴弾を袋の中に詰め込む。その時、モンスターが光線のチャージに入っているのに気がついた。


 チャンスは一度きり。失敗すれば死ぬだけだ。シュテルはモンスターの前まで出ていき、仁王立ちをした。モンスターは最初はどこに打つか分からない感じだったが、シュテルが出てきたことで照準を合わせる。


 そして、モンスターが顔を少し上にあげた。


「今だ!」


 その時シュテルはリモコン爆弾を起動させた。すると、モンスターの足元が爆破し1段落ちる。そのせいでモンスターはバランスを崩してしまった。その瞬間にシュテルは大量の手榴弾が入った袋をモンスターの口の中に投げ込み爆破させる。


 その爆発はかなり大きく爆風でかなり遠くまで吹き飛ばされる。そして、その数秒後に突然紫色の光を放つ大爆発が起こった。


 どうやらシュテルが爆破させた時に臨界状態だった光線が誤爆したらしい。そのせいでとんでもない大爆発が起こる。


 そして、その空間は紫色に染め上げられ、吹き荒れる爆風と熱波でほとんどの建物は倒壊してしまった。

読んでいただきありがとうございます。

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