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ダークサイドゲーム  作者: 五三竜
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第29話 強い意志を持って

 街の冒険者は皆シュテルに嫌がらせをした。クエスト報酬をあからさまに減らしたり、アイテムを購入する際にあからさまに法外な値段にしたりと、あらゆる手段を使ってシュテルの邪魔をした。


 そして、何より皆シュテルに向かってこう言う。腰抜けの弱虫と。どうやらミウはあの時シュテルが戦わなかったことを悪いように言っているらしい。冒険者達はシュテルに散々言いたい放題だ。


 しかし、家には嫌がらせをしてこなかった。なんせ、この家はシュテルのものだけでなく、フィナムが住んでいるから。そして、フィナムに勝てる人はこの街にはいないから。


 そして、1日、また1日と日はどんどん経過していき、ついに前日を迎えた。


「シュテル、どれくらいレベルが上がったのかい?」


 フィナムがそんなことを聞いてきた。今シュテル達がいるのは家の地下施設。シュテル、フィナム、ディープダークの3人はここでそれぞれやるべきことをしている。


「レベルは20だよ。ステータスもかなり上昇している」


「どれどれ……確かに、レベル20とは思えないくらいに上昇してるね。多分これも、あの洞窟の敵を倒したこととか、男を倒したことが関係してるのだろうね。そういえばだけど、固有オリジナルの魔法は作れたかい?明日が本番だけど、大丈夫かい?」


「あぁ。問題は無い。固有オリジナルも作ったしね」


「それなら良かったよ。あと、これだけは言っておかなくちゃならないんだけど、『召喚サモンズ』は使うなよ。これを使っていいのは、相手が使ってきた時と、使わなければならない事情ができた時、そして、守りたい人を絶対に守ると決めた時だけだ」


 フィナムは深刻な顔つきでシュテルにそう言った。シュテルはその言葉を聞いて少しだけ気持ちを切替える。そして、強く頷く。


 フィナムはシュテルのそんな様子を見て安心したのか、すぐに優しい笑顔に戻った。


「ま、サモンズを使ったあとは魔法が使えないから対人戦どはむいてないけどな」


 シュテルはそう言った。すると、フィナムは言ってくる。


「いや、魔法は使えるよ。ただ、リスクが高いと言うだけさ。僕達が魔法を使う時はいつも、魔力回路と呼ばれるところを魔力が通って全身にめぐらしそして魔法を発動する。普通はそんな感じだ。そして、僕やシュテルのようなセンスがある人は、魔力を1回全身に巡らせることなく発動できる。そして、サモンズを使うとこの毎回飛ばしていた工程を確実にしないといけないんだ。逆に言うなら、最初に全身にめぐらせるから、もう一度巡らせる必要は無い。ただ、全身に高密度の魔力を一気に流せば当然魔力回路が焼き付く。そうなると、それ以上魔力を流すと焼き切れる可能性があるんだ。1度魔力回路が焼ききれてしまうと魔法が使えなくなる。だから、自動的に使えないってことにしてあるんだ。でもね、魔力回路が焼き付く前にサモンズを止めればその後も魔法を使えるんだよ」


 フィナムはそう説明する。その言葉を聞いてシュテルはなんとなく理解した。そして、同時にそれをするのがかなり高度な技だということも理解する。


「サモンズって、1度発動したら止めるのも一苦労するしな」


「強制的に召喚した物や人、生物を送り返す必要があるからね。もし今言ったことをするんなら、それなりに改良しなければならないよ」


「だな」


 2人はそんな会話をして終わった。そして、少しだけ深呼吸をしてもう一度特訓に戻る。その日はそれで終わった。


 次の日……遂にミウとの対決の日が来た。シュテルは朝起きて直ぐにログインをする。そして、すぐにバーチャル世界に来ると、リビングに向かった。


 リビングに到着すると、そこには既にフィナムがいた。


「おはよ」


「おはよ。今日が対決の日だね」


「そうだな」


「時間までまだ少しあるね。どうするんだい?」


「……準備だけでもしておくか」


 シュテルはそう言って武器の手入れや道具の追加など、戦いに備える。そして、道具を全て持って玄関へ向かった。


 シュテルが外に出ようとした時、フィナムが後ろから声をかけてくる。


「シュテル、一つ質問なんだが、君は本気で戦うのかい?全力で相手をするのかい?」


「……」


 シュテルはフィナムのその言葉を聞いて少し立ち止まる。そして、黙り込んだ。


「……シュテル、答えてくれ」


「……何でそんなことを聞くんだ?」


「……さぁね。少し気になったからだよ」


「……気になったか……。心配しなくていいよ。全力で戦うから」


 シュテルはそう言って靴を履く。しかし、それでもフィナムは行かせてくれない。


「本当は負けてあげようとか思ってるんじゃないのか?妹に花を持たせようと、自分を犠牲にしようとしてるんじゃないのか!?」


 フィナムはシュテルにそう叫ぶ。すると、シュテルは振り返って言った。


「最初は……そう思ってたよ。ミウに花を持たせるため、適度なところで負けようと思った。それに、手の内を全員に晒すのもどうかと思っていたからな。だが、考えが変わった。リアルでミウと話した時、ミウは全力で俺の事を潰そうとしているのだと分かった。向こうも全力なんだって。だったら、俺も全力を出さない訳には行かないだろ?相手が本気なのに、俺が本気を出さない訳には行かないたろ?だから俺は、全力でアイツと戦って……完膚なきまでに叩きのめす。たとえ最愛の妹でも、容赦はしない。わかったろ?俺は負けるつもりなんか1ミリもない」


 シュテルは信念を持った目でフィナムにそう言った。フィナムはその目を見て確信する。そして、シュテルを信じることにした。


「てか、何でそんなに勝って欲しいんだよ」


「え?だって、一応シュテルは僕の弟子だ。弟子が戦いで勝ってほしいって思うのは当然だろ?」


「なるほどね。安心してて良いよ。全力で戦うから。俺は、アイツの兄としてではなく、シュテルとして全力で迎え撃つよ」


 シュテルはそう言って家から出ていく。そして、闘技場へと向かった。


 その間も街の人はシュテルに暴言を吐く。『負けろ』とか『お前じゃ勝てるわけないだろ!』とか言ってシュテルに罵声を浴びせる。しかし、シュテルはそんなもの諸共せずに闘技場に向かう。


 そして、少しだけ歩いてすぐに闘技場に到着する。シュテルは到着するとすぐに控え室のような場所に向かった。


「……フン!負けに来たのね!」


 控え室に入ると突如そんな声が聞こえる。見ると、そこにはミウがいた。


「なんでここにいるんだよ」


「あなたが遅いから見に来たのよ」


「逃げたかと思ったか?んなわけねぇだろ。人の心配してる暇があったら自分の心配をしたらどうだ?」


 シュテルはそう言ってニヤリと笑った。すると、ミウはムッとして言ってくる。


「あなたなんかより何十倍も強いから安心して!」


 そう言って振り返り自分の控え室へと戻って行った。シュテルはそんなミウを見ながら少し微笑む。そして、手袋をつけて立ち上がると、武器を全て持って入場口に向かった。


「じゃ、やりますか」


 シュテルはそう言って入場口を歩いていく。その先には光がさしていた。そして、シュテルはその光に向けて歩いていき、闘技場に入場した。

読んでいただきありがとうございます。

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