第二十六話【8月3日・土曜日】
「久しぶりのお風呂、気持ちよかった」
二階の自室にて。
ベッドに座ってのんびりしていると、ゆうがそう言いながら部屋のなかに入ってきた。
「まあ僕が住んでいるアパートでは、シャワーだけだったしな。僕もさっき久しぶりのお風呂に涙が出そうになったよ」
お湯に浸かると、自分は日本人なんだな~って実感が沸くよな。
ゆうの姿に目をやると、彼女はいつもと同じく僕のシャツとズボンを穿いており、サイズが合っていない。
だが、めちゃくちゃかわいい。
さすが僕の恋人だ。
それはさておき……くまのぬいぐるみはどこに行ったのだろうか。
あれからしばらくの間一人で探していたのだが、結局家のなかで見つかることはなかった。
今日はもう探すのを止めたわけだが、正直そうすぐに諦められるようなものではない。
あれは本当に大切なぬいぐるみだから。
とはいえ、探すとしてもまた明日だろう。
……くまちゃん。
そんな僕の心境が伝わったのか、ゆうは僕の隣に座ってくるなり口を開き、
「雪くん。……ぬいぐるみ、そんなに大事だったんだね」
「…………ああ。そうだな」
「見つからなくて、悲しい?」
「…………うん」
それから少しの間、無言が続いた。
先に沈黙を破ったのは、ゆう。
突然僕に抱きついてくるなり、耳元で囁いてくる。
「私とぬいぐるみ……どっちが好き?」
「それは…………えっと……ゆうかな」
「もうっ! 少し悩んだでしょ」
「いやそんなことはないぞ。即答だよ、即答」
「嘘。絶対考えてたもん」
「そんなことないって。何があっても僕はゆうが一番だから」
「ほんと?」
「ああ。約束する」
「じゃあ抱きしめて」
「……こうか?」
そう尋ねながら軽く抱きしめてみると、ゆうは「ふふっ」と笑ってつぶやく。
「んっ。幸せ」
「それはこっちのセリフだ」
「私の方が幸せだもん」
「いいや、違うね。僕の方が何倍も幸せ係数が高いから」
「何その幸せ係数って」
「幸せすぎて新しい言葉を作っちゃったんだよ」
「…………雪くん。いつもみたいに布団の中で……」
その言葉を聞き、僕は自分の顔が赤くなっていることを実感する。
「……うん」
ゆうが衣服を脱ぎだしたのを見て、僕も脱いでいく。
そしてル〇ン三世も驚くほどのスピードですっぽんぽんに。
冷房が効いているのもあり、僕とゆうは体を温めるために同じ布団のなかへ。
衣服は床に放り出したままだが、あとで片付ければいいだろう。
今は、抱き合っていたい。
「そういえば、ゆう」
「ん?」
「寝る前に物置から布団を出して床に敷いてあげよっか? たまには一人で寝たいでしょ」
するとゆうは頬を膨らませ、
「もう……。いじわる」
「なんで?」
「私は雪くんとこうして一緒に寝たいの」
僕は彼女の頭を撫でながら、
「ゆうはかわいいな」
「雪くんの方がかっこいいよ」
そして接吻。
唇を重ねていると脳内がふわふわするというか、蕩けそうになる。
ずっとしていたい。
一度呼吸をしようと唇を離した瞬間、ゆうが僕の首を掴んで、逃がさないとでも言わんばかりに再び唇を重ねてきた。
僕の口内へ舌が迫ってくる。
「ゆう……激しい」
「……嫌?」
「嫌じゃない」




