第十七話【7月22日・月曜日】
目が覚めていつも通り歯磨きを行い、僕は宿題に取り掛かるべく鞄から教材を取り出す。
今日も数学だ。
てか、数学のワーク厚すぎだろ。
全然他の教科に行けないんだが。
えっと、昨日どこまでやったっけ。
そんなことを思いながらワークを捲っていく。
「……うわっ。次は証明かよ」
僕が一番嫌いなやつだ。
マジで面倒くさい。
だがやらないわけにもいかないため、教科書を見ながら地道に解いていく。
たまにベッドの上で寝ているゆうの姿を見て癒されつつ、……①とか書いていく。
なんかこうして裸で寝ているゆうを見てると、守ってあげたくなる気持ちが強くなる。
僕の女なんだなって、気になるんだよな。
あれ? 今どこの証明してたっけ。
て、あっ! これさっき頭で暗算してたのに。
また計算し直しかよ。
しばらく証明問題の連続に苦しんでいると、ゆうが起きてきた。
「雪くん。おはよう」
「おう、おはよう。よく寝てたな」
「よく寝てたよ~」
そう言って目を擦りながら、台所へと向かっていく。
それから少しして。
歯磨きを終えたゆうは、後ろから僕に抱きついてきた。
「うわっ、びっくりした」
思わずそんな声を上げ、シャーペンの芯を折ってしまう。
「う~ん。雪くん大好き」
「……まだ寝ぼけてるのか?」
「ううん。完全に起きてる」
絶対寝ぼけているやつだ。
僕はシャーペンの芯を出しつつ、
「そ、そうか」
「……宿題してるの?」
「ああ。ここマジで面倒くさくてな」
そういえばゆうって頭いいのかな?
料理も上手いし、かわいいし。
もしかすると才色兼備だったり。
だとすればすぐに宿題が終わるかも。
そう思い尋ねてみる。
「ゆう、この問題すぐに解けたりする?」
「ん? えっとね…………無理」
「無理なんかい」
ゆうはかわいいだけの子でした。
全然OK!
その日の夜中。
どうしてかはわからないけど、眠気に襲われていつもよりかなり早く寝た僕は、ふと真夜中に目を覚ましていた。
机の上に本を置いて読んでいるゆうの姿。
部屋の明かりはついている。
どうして夜中だとわかったかと言えば、時計の針が1時を指しているからである。
僕は何も言わず、ただゆうを見つめる。
起きているとバレないように、細めで。
そうしているのは、ゆうの表情が暗かったからだ。
まるで何かに悩んでいるような、そんな顔。
僕が声をかければ、おそらく彼女は笑顔になる。
それじゃあ意味がないような気がする。
もしかすると、ゆうが弱音を吐くかもしれない。
そしたら何を悩んでいるのか、わかるかも。
そんなことを思いつつも静かに監視していくが、ゆうが口を開く様子はない。
それどころか、動く気配がない。
本が先程から一ページも捲られていないのである。
まさか同じ文章ばかり読んでいるわけではあるまい。
心ここにあらずだな。
僕は今、どうすればいいのだろう。
声をかけるのが正解なのか?
それとも、知らないふりをすればいいのか?
しばらく悩んだ結果、僕は知らないふりをすることにした。
彼女が自分から言わない以上、こちらからは踏み込まない方がいいと判断したためだ。
やがて再び睡魔が襲ってきたため、僕は静かに眠りにつく。




