八十五のお話
「どうぞ、鍵です」
死神さんは私に扉の鍵を渡した。その鍵は重いような軽いような…
「ありがと…」
この鍵で、あの扉を開ければ全てが終わる。この、悪夢のようで幸せな物語が。本当は…終わりなんて来てほしくない…
「みぃ……」
「………お…兄ちゃん…」
後ろから兄が現れた。あの剣はもう持っていない。その後ろにリアン、パパうさぎにモエカ、アールも…そのまた後ろには他の沢山の住人たち…
「みぃ…僕はずっと、君をこの世界の住人にすることばかり考えていた…。でも…それはものすごく間違ってた。闇の部分が戻ってきたんだ。そしたら…少し落ち着いて考えることが出来たんだ…」
兄は静かにこちらへ歩いてくる。
「自分の言葉に責任を持てないなんて…本当にダメな兄だ…」
「お兄ちゃん…」
兄は涙を流しながら、いつもの、昔のように優しくフニャっと笑った。
「最後に…最後にもう一度だけ…抱きしめさせて…」
そう言って兄は私をぎゅっと抱きしめた。優しい兄の香り、最後の…兄の香り…
私もぎゅっと抱きしめ返す。涙が止まらない。もうそんなの…どうでもいいや…
「…今度こそ…みぃ……、強く生きて…。僕は…僕らはずっと見守ってるから!!」
「うん!!頑張るよ!」
全てが最後。ここでの、思い出は…
「迷惑かけて…ごめんね…」
「ううん、怖かったけど…楽しかったよ」
私は後ろの住人たちの元へ歩いていく。
「リアン…お姉さんになってとか…無理言ってごめんね…」
「ん〜?いいのよ!こっちの方がいい!ゴツい男にはなりたくなかったし〜」
リアンはニコッと笑って私の頭を撫でた。
「パパはずっと、私のパパだよ!ずーっと元気でいてね!」
「うん!!パパは元気ぃぃぃ!!!」
パパうさぎはくるくる回る。
「アール、あのうさぎ…いじめすぎちゃダメだよ」
「へーい、ほどほどにするね」
二へっと笑うアール。
「うぅ…みっきー寂しいよおおおぉ!!」
「大丈夫、少し遠くに行っちゃうけど…きっとまたいつか会えるよ」
涙目のモエカ。
私は後ろの死神さんの方を見る。
「死神さん、今まで…色々本当にありがとう」
「いえいえ」
ニコッと笑う死神さん。
「チェシャ猫、元気出して!お兄ちゃんをよろしくね!」
「…分かりました」
チェシャ猫はいつもの薄っすら笑い。
「お兄ちゃん、みんなのことよろしく!私がいつか帰って来たときも、ずっとこのまま、楽しい世界でいてね!」
「分かった!」
フニャっと笑う兄。
私はみんなの方をもう一度向く。
「みんな、今までありがとう!この世界の思い出、全部絶対大切にする!みんなも私のこと忘れないでね!」
おおう!!と大きな歓声が上がる。後ろの方であのニセウミガメさんもジャンプしている。この世界の住人は、存在をしっかり思い出されれば死ぬことはないのだ。なんでもありの世界だからな。
「じゃあ、私行くね!みんな…元気でね!!」
「美月さん…」
「チェシャ猫…私、さよならは言わないよ?だって、またいつか会えるもん!それにずっと見守っててくれるんでしょ?チェシャ猫…お迎えよろしくね!」
「はい…ずっと見守ってます。お迎えに行くの…楽しみに待ってます…」
チェシャ猫は薄っすら笑った。
私は鍵をさし、ガチャリと回した。
「じゃあ…行ってきます!」
「…行ってらっしゃい…!」
最後に全員の顔をよく見て、私は扉を開けた。そして、真っ白な光の中へ歩いていく……
変なところ多いです…本当すみません…後で直します…。




