七のお話
「行くぞお前ら!」
勢いよく東村が立ち上がる。どうしたのだろうか。
「東村…どうしたの…」
副島が聞く。
「アイツが歩いていった方について行くんだよ!そしたらお城に着くかもしれないだろう!?」
なぜそう思ったかはわからないが皆んなは立ち上がり歩き出した。
森の中は少しづつ暗くなってきた。足元で小さなキノコが光っている。
『美月……』
またあの声が聞こえる。一体誰なんだろう。私にしか聞こえないようだ。
「クスクスクス…」
「クスクスクス…」
小さな笑い声が聞こえる。これはみんなに聞こえているみたいだ。
「嫌だ…誰か助けて…」
副島がそう呟いた瞬間
「…あれ?」
時が…止まっている?動いているのは私だけ。東村も藤原も副島も、皆んなピクリとも動かない。
ザアァァー…
突然目の前を水が流れる。そして川のようになった。
「あ………」
流れの早い川だ。向こうで誰かが溺れている。小さい女の子だ。いや、小さいといっても小学生くらいの子だ。反対側の陸地で黒い影が四つ並んでいる。何で誰も助けに行かない?
私は急いであの子を助けようと川に入ろうとしたが、突然現れたチェシャ猫に腕を掴まれた。
「ちょっ、チェシャ猫さん!!早く助けないと…離して…」
チェシャ猫は首を横に振る。
「あの子は助かります」
チェシャ猫がそう言うと、バシャンと誰かが川に飛び込む音がした。川に飛び込んだ黒い影はどうにか泳いで女の子を捕まえた。そして流されながら岩にぶつかる。その岩の上に女の子を乗せた。
「あの人…」
なんだろう、このモヤモヤは…。
「あの人は助かりません」
チェシャ猫は言った。助からないって…
次に岩を見たときには遅かった。あの女の子を助けた影はなくなっていた。反対側の陸地にいた四つの影はどんどん小さくなっていく。
私は今目の前で何が起こったのかよく分からなかった。今のは…
「憎んでください。あの四つの影を…」
チェシャ猫がそう言った。あの四つの影…
「……い!おい出雲!!無視すんな!」
「はっ?はい?」
東村の声で目が覚めた…、違う、我に返った。今まであった川は跡形も無くなっていた。チェシャ猫の姿もない。キョロキョロしている私を藤原と副島が不安そうな顔で見ていた。
「なんか見つけたのか?」
「え…何も?」
東村はため息をついてまた歩き出した。何なんだよ。
それより今のは何だったのだろう、幻覚か何かだろうか。まだモヤモヤする何かが頭の中に残っていた。
「クスクスクス…光るきのこの森は思い出の森…クスクスクス…」
小さく誰かがどこかで呟く。
「…ぅっ、ごめんなさい…ごめんなさい……」
「なお?…どうした…」
突然藤原が謝りながら泣き出した。私は声はかけず、後ろをついて行く。副島が背中をさすってあげる。
「ごめんなさい、ごめんなさい…私…私…」
藤原はただひたすら謝っていた。もしかして私みたいに幻覚でも見ているのか?
「なお!!」
「えっ……」
副島の一喝で藤原は目を覚ましたようだ。藤原は涙目でキョロキョロする。
「何があったの!?」
「……なに…も…」
藤原はオドオドして答える。
「頼むから言ってくれよ、気持ち悪いだろぉ」
「だから何でもないって!!」
藤原が怒鳴った。私たち3人は少し驚いた。きっとただ事ではないなにかがあったのだろうと思う。
「ごめん…行こう…」
4人はまた歩き出す。
変なところあとで直します。雑ですみません。




