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アリスゲーム  作者: いずも
77/88

七十六のお話




カツカツと階段を上っていく。

もう、今度は逃げられない。もう、そろそろ覚悟を決めなくてはいけない。





大きく美しい、王子様の部屋に繋がる扉の前に再びやってきた。赤い扉は白い空間に物凄い存在感を放っている。


「大丈夫ですか?」


「……」


大丈夫…大丈夫。何かあったらまた走って逃げればいい。

大丈夫…大丈夫だから…


「…大丈夫……」


私がそう言うと、チェシャ猫は扉についた金の輪っかに手をかけた。

そして…ゆっくりと引く。



扉は静かに開いた。


「さぁ、どうぞ……」


私は大きく深呼吸して、ギュッと目を瞑った。

大丈夫、大丈夫と頭の中で何度も唱える。

そして、私は開いた扉の中に入った。



真っ白な大理石の床、正面にまっすぐ敷かれた赤い絨毯、その先に……


「…え………」


真っ赤なマントになぜか見覚えのあるおもちゃのような王冠、くせっ毛で茶髪の人が奥の大きな窓の外を眺めていた。あれは…


『…やっと…やっと会えた…』


その人はゆっくりと振り返り、私を見た。

綺麗な、澄んだ茶色い目、優しく微笑んだ口元……


「…お…おぉ……お兄……ちゃん……」


「うん…久しぶり…みぃ…」


兄だ…兄だ…私の兄、出雲蒼馬(いずもそうま)だ。

あれは偽物じゃない…本物の兄だ…

私の目からは大粒の涙が溢れ出した。怖いとか、緊張とかが全部吹き飛んだ。


「お兄ちゃん…!!」


「みぃ…」


私は兄の方へ走った。そして、思い切り抱きついた。

あぁ、懐かしい匂いだ。すごく落ち着く…


「アハハ、みぃは変わらないなぁ…」


「ごめんね、ごめんね!!私のせいで…私のせいで…!!」


「…みぃは悪くない…、ね?だから泣かないで…」


優しく私の頭を撫でてくれる。

あぁ、嬉しい。溢れ出す不思議な感情は私の涙を作っていく。そして、ホロホロと流れ落ちる。


「さあ、もう泣かないで!!今まで会えなかった分、いっぱいお話ししよう?」


「…うん!!」


兄は「いい子だ」と言ってもう一度頭を撫でてくれた。私は涙を拭いた。


「あっちで二人でお茶会しよう!美味しいケーキやクッキーもあるし!」


「うん!」


私たちは手を繋いで、この部屋から繋がっているお隣の部屋に移動した。

お隣の部屋は、中央に白く清潔感のある丸いテーブルと、向かい合った二つの椅子、壁にはたくさんの絵が飾られていた。結構小さな、居心地の良さそうな部屋だ。


「さあ座って!」


私は椅子に座る。とても座り心地が良い。テーブルの上には、もうたくさんのケーキやお菓子が置いてある。兄も椅子に座り、おしゃれなティーカップに紅茶を淹れてくれた。桃のいい香りがする。


「まさか…王子様がお兄ちゃんだったなんて…」


「アハハッ、ごめんね黙ってて。みぃを驚かせたかったんだ〜」


ニコニコと笑う兄を見たのも本当に久しぶりだ。私はあの優しい笑顔が大好きだ。

それから私たちは時間を忘れて楽しい会話をずっと続けた。本当に昔の、一番楽しかった時代に戻っている感じだ。この時間がずっと、永遠に続いたらな…

色々変です。後で直します。

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