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アリスゲーム  作者: いずも
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七十一のお話




「……」


私は目を覚ました。青い空が見える。

体を起こし、辺りを見渡すとここがお花畑だということが分かった。


「ぁ……」


目の前にあの追いかけていた赤い耳のうさぎがいた。とても悲しそうな目で私を見ている。


「僕にも…分からない…分からないんだ…」


「…な…何が…分からないの?」


突然話しかけてきたうさぎは下を向き、ピンと立っていた耳もシュンと下がった。


「僕は…やっぱり君と一緒にいたいんだ…いたいんだ…」


一体何の話をしているのだろう。出雲は黙ってうさぎを見つめる。


「離れ離れは…辛いんだ…」


私の心はズキンと痛んだ。ジュワジュワと液が漏れだす感じで、悲しみの感情が溢れ出る。


「僕は一丁前に君に強く生きてなんて言った…」


「…え……?」


なんで……


「でも…でも…君があの世界で生きていくと思うと、あまりにも可哀想で……可哀想で……」


「お…お兄ちゃんなの……?」


この声、喋り方、雰囲気…カタチは違うが私の兄にそっくり。それにこんな事を言っている…


「僕は…君を……守りたい…」


「…待って!!」


うさぎはスッと煙のように消えた。

私は何も分からず大きなため息が出た。


「どういうことなんだろ……」


爽やかな小鳥の囀り、甘いお花の匂い…今はどれもが鬱陶しく感じてしまう。



「すみません、兵を片付けてきました…」


「チェシャ猫…」


後ろから現れたチェシャ猫はいつもの薄っすら笑い。私は立ち上がる。


「ねぇ、死神さんとアールは…?」


「…さぁ?どこでしょうね…」


「お願い教えて…怪我とかしてないよね…?」


チェシャ猫は少し不機嫌そうに「あれから見失いました」と答えた。私は二人が心配でならない。


「お城はすぐそこです。行きましょう」


……

また分からなくなってきた。あの二人は行くなと、王子様は優しく早くおいでと……

でも…


「大丈夫、帰りたかったらいつでも帰れます。扉がありますから…。王子様がすごく待ってます」


「……」


私が黙っているとチェシャ猫は私の手を握った。


「安心してください。お城はすごいですよ…楽しくて…帰りたくなくなりますよ」


「…うん」


ダメだ…断れない。チェシャ猫の普段は隠れている鋭い目で見つめられると、私はどうしても嫌と言えない。怖い…とか…そんなのがいっぱいだ…


「行きましょう。色々お話しながら…」


私たちはお城に向かって歩き出した。

優しい風は、美しい花々を揺らす。まるで踊っているかのように飛ぶ鳥たち。出雲は不安でいっぱいで、そんなもの見ていられる余裕がなかった。




私たちは森の中の広い道に出た。人や動物の気配は一切ない。


「何か…聞きたいこととかありますか?」


「…聞きたいこと…いっぱい…」


いっぱいある。ありすぎてどれから聞けばいいか分からない。


「じゃあ、あなたの記憶についてとかは…?」


「あ、うん…じゃあ、それ…」


私の記憶、一体何があったのか…


「あなたが記憶を失ったのは、あの爆発と心が壊れたのが原因です」


「…うん」


花の匂いが漂う森の中、歩きながら私の記憶が失われた理由を聞く。


「川の事件があって、あなたの心はボロボロになりました。その時、半分以上の記憶が失われました。あなたの心が半分以上壊れてしまったので、私たちはあなたに近づくことができませんでした」


「…心が壊れたら近づけないの?」


「私たちは、あなたたちの心と記憶の中の世界に住んでいるんです。だから、二人が離れ、どちらかが壊れてしまえば私たちは消えてしまうんです」


「…難しいなぁ…、でも…チェシャ猫は…消えてないよ?もしかして、ここにいるのは幽霊のチェシャ猫なの?」


チェシャ猫はクスッと笑って小さく首を横に振った。


「あなたの、お兄さんのおかげで私たちは消えませんでした」


「お兄ちゃんの…」


チェシャ猫の話はいつも難しい。…私の頭が悪いだけかもしれないが、まだよく分からない。


「詳しいことは後で王子様に聞いてみてください。…次は何が聞きたいですか?」


「え?…あぁ…えと……」


記憶の事は、チェシャ猫にこれ以上教えてもらえないようだ。次…次は…


「…お母さんの…事とか…」


「…あなたの…母親…ですか」


チェシャ猫は小さく呟くように言った。その言葉には少しの殺意が見えた気がした。


「あなたの母親は…酷い人です。小さなあなたを叩いたり…話も聞いてあげなかった…。最低な人…です」


「……やっぱりそうなんだ…」


だからこの世界の住人は私の母親を嫌う。

でも…


『みぃちゃん!ご飯出来たわよ〜』


『あら!お兄ちゃんとお絵かき?上手ね!』


薄っすら、本当に薄っすら見える昔の記憶。優しい優しい母の記憶。

分からないんだ。これが本当に私の記憶なのか、それとも母親に愛されない私の作り出した偽物の記憶なのか…


「…分かんないなぁ…でも……、私さ…お母さんのこと、すごく好きなんだぁ…」


「…」


まだちゃんと思い出せてない。でも、よーく考えると、私はずっとお母さんのことが好きなんだ。どんなに酷いこと言われてる自分を見ても、どんなに傷つけられた自分を見ても……

はっきり、嫌い、大嫌いと思えない。私は…子供だから…?

本っ当に雑ですみません!!後で直します…すみません……

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