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アリスゲーム  作者: いずも
7/88

六のお話



小さな門を抜け、外に出るとまたあの森に出た。さっきより霧が薄くなっていた。


「ん?」


私は斜め前の木に引っかかって揺れるなにかを見つけた。あれは…

水色の猫のストラップ?どこかで見たことある気がする。

突然風がフワッと吹き、引っかかっていたストラップが落下。だが、地面に落ちることはなかった。ポチャンッと水の中に落ちるようにストラップは消えた。


「願いは…叶います…もうすぐです…」


チェシャ猫がボソッと呟いた。願い?なんだろう。


「それではアリスたち、頑張ってくださいね」


チェシャ猫は消えた。いつも突然いなくなる。聞きたいことは山ほどあるのに聞くタイミングがない!


「……」


死人のような顔の3人。進むことなんてできるのだろうか…。


「もぉ…やだ…帰りたいよ…」


「俺だって…」


「お母さん…」


そうだ、私のお母さんとお父さん心配してないかな…。


「どうするの…これから…」


藤原が言う。


「知るかよ…」


東村が答えた。副島はずっと泣いてなにも言わない。私も下手に何か言ってキレられたくないので黙っておく。とても居心地の悪い空気だ。


「こっちだよぉ…」


「ヒッ!!」


小さな声が聞こえた。チェシャ猫でもネズミの声でもない。


「こっちこっち…こっちだよぉ…」


「やだ…死にたくない、死にたくないよぉ…」


「大丈夫…怖くない、怖くないよぉ…おいで…アリスたち…」


優しく響く声。人を安心させる妖精のような声だ。


「行って…みる…?」


藤原がみんなに尋ねる。皆んなは考える。


「い…行こう…。危なくなったら全力で逃げるぞ…」


東村が答えた。副島は泣きながら小さく頷く。藤原も行ってみるようだ。私は後ろからついて行く。


「そうそう…こっち…こっち…」


私たちはゆっくりゆっくり進む。


「早く…こっち…こっち…」


仄かにオレンジ色に光る場所が見えた。どうやらあそこから声が聞こえているようだ。


「早く…」


花のいい匂いがする。なぜか懐かしいなにかを思い出す匂いだ。


「ここ…ここ…」


声はだんだん近くなる。そして


「やあぁ…」


目の前に現れたのは人の顔。それもブヨブヨしていて両目がない、唇も腫れ上がり恐ろしい。首から下が無く、その顔だけが宙に浮いている感じだ。


「うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」


4人は反対方向へ全力で走った。今まで見たホラー画像より100倍怖かった。あれは一体なんだ。




「はあっ、はあっ…」


結構な距離を走った。疲れて4人は地面に座り込んだ。こんなに走ったのは中学校の持久走大会以来だ。


「ついてきたり…しないよね…」


「バカ、怖い事言うなよ」


藤原と東村が話す。


「ねぇ、…私たち…帰れるのかな…」


副島が弱々しい声で呟く。全員は黙った。そんな事、誰にもわからない。

私はふと目の前の木を見上げた。あれ…。

さっき見た水色のストラップだ。薄暗い霧の中でほんの少し光っている。手にとってみたいけど、引っかかっている位置が高すぎて手は届きそうもない。寂しげに光るストラップ。なんだろう、何か喉につっかえてる感じのモヤモヤが…。


「アリスたち、なにをしているのですか?」


チェシャ猫の声が聞こえた。


「なにもしてねぇよ…」


東村が答えた。


「あの、なんで私たちのことアリスたちって呼ぶの?」


ずっと気になっていた一つをやっと聞けた。


「この国へ落ちてきたからじゃないですか?私もよくわかりませんが」


曖昧な答えが返ってきた。

私は「へー」と適当に返した。


「私たち…これからどうすればいいんですか…帰れるんですか…?」


副島が泣きながら聞く。チェシャ猫はずっと薄っすら笑っている。


「お城を目指して歩けばいいんですよ。帰れるかどうかなんて知りません」


「そっ、そんな無責任なこと言うなよ!?だいたいここは何なんだよ!お前がここに連れてきたんだろ!!」


叫ぶ東村。チェシャ猫は首を傾げる。


「私はあなたたちを連れてきたりしてませんよ?落ちてきたのはあなたたちです。穴を作ったのは王子様です」


王子様が穴を作った?私が落として踏み壊されたあの赤い玉のせいじゃないのか?


「もういいから帰り道を教えて!!」


今度は藤原が叫ぶ。


「帰り道…ですか…最初に説明したじゃないですか。話、聞いてなかったんですか?」


「ごっ、ごめんなさい!!忘れました……あの…もう一回教えてください…」


藤原はチェシャ猫に謝り、恐る恐る聞いた。


「元の世界に戻りたいならお城の奥の扉の鍵を開けてください」


そう言ってチェシャ猫はどこかへ歩いて行った。

変なところあとで直します。雑ですみません。

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