表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリスゲーム  作者: いずも
63/88

六十二のお話



真っ暗な森の中を走るのはとても危険だ。

地面から突き出た木の根っこや石、見えにくい木々…

すぐぶつかったり転けたりしそうになる。


「私…私…戻るんだよね…」


「…そうだよ」


アールは振り返らずに言った。

…やっぱり、やっぱり嫌だ…、なんて言えない。


「…!左、兵がいます!」


「マジで!?んじゃあ、こっち!」


私たちは音を立てず右へ曲がる。


パッパーーパパパッ!!


「発見!!」


まずい、気づかれたようだ。

ワァァ!!と大きな声が後ろから聞こえる。


「うっわ、急げ!!」


息が苦しい!!足が…足が…!!

走り過ぎで出雲の疲労は限界に近かった。


「んわっ!?」


突如私の足が何かに引っ張られた。

よく見てみると、真っ黒な手が私の足を掴んでいた。


「なんだこれ!」


アールはその手を離そうと必死で引っ張ったり叩いたりするが、手はびくともしない。

死神さんも一緒に手を引っ張るが全くダメだ。


「うぅ…!!」


ズルズルと地面の黒い穴に引きずり込まれていく。


「みぃ頑張れ!」


二人は私の腕を引っ張る。

もう腰のあたりまで吸い込まれている。


「…もう…ダメ…。手を離して!じゃないと二人が…」


「ダメです!!頑張ってください!」


このままでは二人も道連れにしてしまう。

私は、二人の手を離す。


「みぃ!!」


「美月さん!!」


二人の声を聞きながら、私は黒い穴に吸い込まれた。










もう、このままずっと目を覚まさなければ、私は楽になれる。

怖いも、痛いも、寂しいも、辛いも、ひとりぼっちも……全部なくなる。

ぜーんぶなくなって、私は誰にも知られず消えてゆける。


「…」


そんな願いは叶わなかった。私は目を覚ました。

目の前に不気味なトンネルがある。それ以外に進めそうな道はない。

私は仕方なく立ち上がり、そのトンネルの中へ足を踏み入れた。

嫌な耳鳴りと頭痛が私を襲う。


「どこだろう…」


暗く冷たい空間に私の声だけが響いた。




『あなたのいじめられた話なんて聞きたくない!』


キンキンと甲高い女性の声が響く。


『ごめんなさい…ごめんなさい…ママ怒らないで…』


ぼんやり遠くに二人の人が現れた。

一人は、多分成人の女性。きっとこのキンキン声の人だろう。

もう一人は……


「わ…たし…」


黒いドレスに白いエプロンの、小さな私だ。


『これ以上何も言わないで!』


『ごめんなさい、ごめんなさい…』


まさか…、あれが…私の母親…

何を…何を怒られているの…?

女性は消え、小さな私だけが残った。


『なんで何も言い返せないの?だからあなたはいじめられるのよ!!』


いなくなったはずの女性の声がボワンと聞こえる。


『意気地なしの泣き虫、そんな子はうちにいらないわ!!』


やめて…ごめんなさい…


『人に迷惑かけてばかり!どうしてあなたは…!!』


私はダメな子…

いつも母を怒らせ、困らせるダメな子…

どうして…


小さな私が遠くで泣き崩れるのを見ていた。


『みぃ…大丈夫だよ…。君は悪くない…大丈夫だよ』


優しく頭を撫でてくれる男の子が現れた。


「お…兄ちゃん…」


すぐに分かった。茶髪で赤い服を着た男の子。あの服は兄のお気に入りだった。


『お外へ行こう!公園へお花を見に行こうよ!』


兄は小さな私を必死で元気づけようとする。

小さな私は涙を拭く。


『可哀想…』


小さな二人の後ろに、チェシャ猫が現れる。

二人は不思議そうな目でチェシャ猫を見ていた。


『あなたは…?』


目を擦りながら小さな私が言った。


『私はチェシャ猫です』


『チェシャ猫…?もしかして、私のスケッチブックから出てきたの!?』


目を輝かせる二人。

チェシャ猫はコクリと頷いた。


『一緒に、不思議の世界を作りましょう』


チェシャ猫のその言葉と共に三人は消えた。

私はまたゆっくりと前へ進む。



聞こえてくる三人の楽しそうな笑い声。

目の前にハラリと一枚の紙が落ちた。私はそれを拾い上げる。


「…私の…絵…」


黒のクレヨンで、『わたしたちのふしぎのくに』と汚い字で書いてある。その下に三人のイラスト、多分、私と兄とチェシャ猫だ。懐かしい…


「あ…」


また、少し先に紙が落ちるのが見えた。

今度は、三匹のネズミと立派な帽子をかぶった白い髭のおじいさんが描かれている。

食材係のネズミと帽子さんだ。思い出した…


紙を拾うと、次の紙がまた前へ落ちる。

私はそれをどんどん拾っていく。


「オレンジの目玉のお花…それとたくさんのうさぎ…」


次は


「リアンとネムチーね…」


どれもこれも、全てが懐かしい。私の記憶はどんどん蘇る。


「これは…死神さんだ…」


真っ黒でナイフを持った人と、泣いている私。


「ビルとロール…それから耳の赤いうさぎさん…」


みんな笑った幸せそうな絵。私が描いた、大切な大切な絵たち…


「みんな…私が…私が兄と作っていったんだ…」


たくさんの絵を集めながら、私の頭は氷を溶かすように忘れていたたくさんのことを思い出す。

色々雑で本当にすみません。後で直します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ