五十八のお話
赤に青、黄色に緑のキャンディの木。ゆらゆら揺れるお菓子の花はとても可愛い。
甘い匂いの森の中を私は進んで行く。
「…」
今は夜だろうか、朝だろうか。
紫色の空を眺めて私は思う。
クスクス…クスクス…
笑い声だ。
いつも誰が笑っているのだろう。お菓子の花?グミの草?それともジュースの水溜り?
クスクス…
私はいつも通り、気にせず歩いて行く。
『みーんなに伝わった…』
「っ!?」
突然聞こえた声に驚いた。
周りには誰もいない。
『優しいアリスの事…ぜーんぶ伝わった…』
「誰…」
『みーんな、優しいアリスの味方。みーんなにぜーんぶ伝わった…』
「ねえ、何が伝わったの?あなたは誰?」
返事は返ってこず、笑い声だけが森に響く。
一体何が伝わったのだろう。
『ずっと一緒…』
「…っ」
私の周りのキャンディの木や、ケーキやお菓子の花々が笑っているように見えた。
怖いとか、そんなのはない。ただ優しく、私を見守るように見ているだけだ。
私は少し早歩きで森の中を進む。
「誰かぁ…」
いつの間にか空は分厚い雲に覆われていて、森の中は薄暗くなってきた。
雨が降ったらまたびしょ濡れになってしまう…
「わぁ…」
目の前に大きな紫色のジュースの川が現れた。
川は…怖い…
色々な事をたくさん思い出してしまう、川は嫌だ。
ズズズ……
「えぇ…」
ジュースの川の水が、どんどん蒸発して消えて行く。
紫色のモコモコの雲になって空へ飛んでいった。
ジュースがなくなって、むき出しになった地面にはたくさんのカラフルな星型の飴が転がっていた。
とても不思議な光景だった。
私はそこを通って川の向こう側へ行けた。
『君の嫌いは僕らも嫌い…』
小さな声が聞こえた。そのあとにいつもの笑い声。
もしかして、この森にいる誰かがやったのだろうか…
奥の大きなキャンディの木の向こう側に、大きな扉があるのを見つけた。
どうしてあんなところに扉が?と思いながら私はそこまで走った。
「すごい…綺麗…」
天使の羽のように白く、金で縁取りされた大きな扉。まるで天国への入口のようだ。
私は扉を軽く押してみた。
「うわわ…」
全く力を加えてないのに、扉は音を立てずものすごい勢いで開いた。
「…?」
向こう側に見えたのは、普通の森だった。
もう森は嫌だ…
「さぁ、行きましょう」
「うわっ!?」
いつの間にかチェシャ猫が私の後ろにいた。
いつも幽霊のように現れるのでとても心臓に悪い。でも、少しだけ安心した。
「どこ行ってたの…?」
「どこにも行ってません」
……まあ、いいか。
私とチェシャ猫は扉をくぐり進み出す。
本当に雑ですみません。後で直します。




