五十七のお話
お父さん……お母さん……、一体何があったの……
「……」
私は目を覚ました。
大きなキャンディがたくさん、木のように地面から生えている場所に寝転んでいた。
「チェシャ猫…」
起き上がり辺りを見回すが、チェシャ猫はどこにもいない。
「ここって…この世界って……一体なんなんだろう…」
花々は甘い甘い可愛いケーキやクッキー、雑草はヒモのようなグミ、水溜りはカラフルなジュース。地面は砕かれたクッキーやシフォンケーキみたいだ。
ここはお菓子の森だろうか?
「ん?」
ケーキのお花畑の中で、何かが動いたように見えた。
私は気になって近づいてみる。
「あ…」
見覚えのあるうさぎがうつ伏せで倒れている。
パパうさぎだ。何をしているのだろう。
「あの…」
「…」
返事はない。寝ているのだろうか…?
「…?」
よく見ると、右腕に小さな何か刺さっている。棘だろうか?
私はそれを引っこ抜いた。すると…
「わぁああははははは!!」
パパうさぎは飛び起き、突然大きな声で笑い出した。
毒針か何かだったのだろう。
「あぁぁああ!!みぃじゃないかぁ!!」
ぴょんぴょんぐるぐる暴れ回って喜んでいる。
「何してるのぉぉ?」
いつもテンションの高いパパうさぎは、ケーキの花の上をパタパタ走り回る。
「…私もよくわからないの…。私、どうしたらいいの?」
「えぇ??」
パパうさぎはぴたっと止まって落ち着きを取り戻した。
「じゃあ、パパと遊ぼう!!遊ぼおぉぉ!!」
またくるくる走り回る。本当に元気なうさぎだなぁ。
「ねぇ、この棘…」
私はさっきパパうさぎから引っこ抜いた棘を見せた。
パパうさぎは止まって不思議そうにそれを見る。
「トゲトゲこわぁぁああい!!」
「…」
またまた走り出すパパうさぎ。
ため息が出るほどテンションの高いうさぎだ…
「何でそんなに元気なの?」
私が質問すると、パパうさぎは「へ?」と言って止まった。
「パパは元気がいい!パパは元気じゃないとパパじゃない!」
「どうして?」
「みぃが決めたよ!!パパは元気がいいって!!」
私が…決めた…私が……?
「そうか…みぃ…記憶ないのか…パパ寂しい……」
パパうさぎはシュンとして、地面に体操座りした。
さっきまでの元気は嘘のように静かになった。
「あの…うさぎさん…」
「パパだよ…」
「あ、…パパ……。色々教えてくれない?」
私がそう言うと、パパは寂しそうな顔をあげた。
「どんな事……?パパ、なんでも話すよ。お隣においでよ」
私はパパうさぎの隣に座って話を聞く事にした。
まずは何を聞こう。聞きたいことが多すぎてまとまらない…
「……」
私が何も言えず困っていると、パパは私を見てニコニコした。
「ゆっくり考えるんだよ、一番知りたい事。それはなんだい?」
一番知りたい事…一番知りたい事……
「この世界って…一体何?あなたたちは…一体誰…いや、何者…?違う…なんて言うんだろ……」
「ハハッ、ここは僕らと王子様とみぃだけの楽しい世界さ!僕らとこの世界は君たちに作られた。僕らは君たちのお友達…いいや、家族さ」
大人しいパパうさぎは、隣に生えたねり飴を伸ばしながら笑って言った。
「私と王子様が、本当にこの世界と人々を作ったの?王子様って一体……」
「……もうすぐ…分かるさ」
どうしてみんな王子様の事を教えてくれないんだろう。
まさか、本当に私を殺そうとする人なのか……
「王子様が待ってるよ!早くお城に行っておいで!…ここをまっすぐ進むんだ。後でもっといっぱいお話しよ!!」
「うん、ありがとう…」
パパうさぎはぴょんと立ち上がり、大きな声で笑いながら走り去って行った。
あまり話す事が出来ず、残念だ…
静かになったお菓子の森の中で、私は一人地面に落ちたケーキやねり飴を眺めていた。
「私が…私と王子様が作った世界……。どうやって作ったの…」
世界の作り方なんて私は知らない、それに王子様って一体何者なのだろう…
知りたい事がたくさん、分からない事がたくさん。私は他に誰かいないか辺りを見回す。
「ダメだね…行こう…」
私はパパうさぎに言われたように、まっすぐ進み出した。
本当に雑ですみません…。後で直します。




