五十六のお話
「ねぇ…」
私は涙を拭い、チェシャ猫から離れる。
道を紅く照らしているのは太陽ではなく、月のようだ。
「私の…お父さんとお母さんって…どこにいるの?」
聞いた後から、チェシャ猫がそんな事知るはずもないだろうと思う。
「…」
チェシャ猫は答えずに黙っている。
「じゃあ、私の家…何であんな事になってるか知ってる?」
この質問にもチェシャ猫は答えなかった。
でも、私は何となく全てを知っているのではないかな、と思った。
「私…お父さんとお母さんを探したい…」
「…」
不穏な空気に包まれる。
何か悪い事が起こりそうでとても怖い。
「あなたには……見つけられません」
私が歩き出そうとすると、チェシャ猫がそう言って私の腕を掴んだ。
「どういう…うわっ!!」
私は強引に引っ張られ、体は宙に舞い上がった。
地面に叩きつけられる、そう思った私はギュッと目を瞑った。だが…
「戻りましょう」
ジェットコースターに乗っているような感覚と共に、私とチェシャ猫は突如足元に現れた大穴に吸い込まれた。
あっちの世界に戻るんだと、私は分かった。
チェシャ猫は私をお姫様抱っこした。
「何で…私にはお父さんたちを見つけられないの?……ちゃんと…生きてるよね…」
「…えぇ」
それを聞いて私は少し安心した。
だが、答えたチェシャ猫の目は冷たくとても怖かった。まるで、生きている事を許さない、そう言っているようだ。
「どこに…出るの?」
「…まだ、分かりません」
行き先も分からず落ちていて、怖くないのだろうか。
私はちょっと知らない道を歩くのもかなり怖いのに…
「うぅ……」
息が苦しくなってくる。酸素薄いのかな…
「大丈夫…大丈夫…」
「うん…」
私は真っ白な光に飲み込まれ、チェシャ猫の声を聞きながら意識を手放した……
色々雑ですみません。後で多分直します。




