四十八のお話
もう、この場で私も殺してほしい。
もう、何もかもが嫌だ。今すぐ消えてなくなりたい。
私の目からは大量の涙が溢れ出す。
「なぜ…、泣くのですか?」
チェシャ猫は私の横に来て言った。
「お兄さんに…会いたいですか?」
会えるわけないじゃないか。もう、兄は…死んでしまった。私が殺してしまったようなものだ。もし会えるとしても……
「お城に行けば会えますよ。お兄さん、すごく楽しみにしています」
「嘘…でしょ…。そんな事…言わないでよ…」
私は小さくそう言った。
「私は嘘はあまり吐きません。本当の事です。お城にお兄さんはいます。ここにいる全ての人が知っています」
会場はいつのまにか静かになっていた。響いているのは私の泣き声とチェシャ猫の冷たい声だけ。そんな事はどうでもいい。
「話したい事…いっぱいあるでしょう?」
私は顔をあげた。チェシャ猫はいつもの薄っすら笑い。会場の観客たちは皆、私を静かに見守っている。リアンもモエカもネムチーも、皆んな皆んな、私を優しい目で見ている。
「…ある…。いっぱい…あるよ……お兄ちゃんに……会いたい」
私がそう言うと、大きな拍手が起こった。なんかちょっと恥ずかしいな。
「とても楽しみにされてますよ。まだかな、まだかなって言って…」
チェシャ猫はあまり私に嘘を吐かない。知っている、そんな事。でも…本当に兄はお城にいて、私に会いたいって言ってくれているの…?なかなか信じる事が出来ない。でも、…会ってごめんなさいをちゃんと言いたい。
「うっ…」
ズキンと頭が痛む。疲れているのだろうか。
「もうすぐです…」
チェシャ猫の言葉と共に、オレンジ色の明かりはバッと消え、闇に包まれた。
「チェシャ…猫…?」
返事はない。広い空間に私の声だけが響き渡る。人のいる気配が全くない。今まで騒いでいた観客たちの声も一切聞こえない。なぜ明かりは消えてしまったのだろう。
「……?」
向こうの方に何か見える。
私は涙を拭いて立ち上がった。そして、そこへ向かって歩き出す。
白とオレンジ色の小さなお花畑だ。暗闇の中に不自然に広がっている。多分、テニスコートくらいの広さだろう。私は少し離れて見ている。
「…ぁ…」
人がいる。私はもう少し近づいてみた。
私と同じ、水色の可愛いエプロンドレス、頭には黒のリボンのカチューシャ、白黒のシマシマ靴下…、私と同じ髪色、髪型。どこからどう見ても小さい今の私だ。
お花畑の真ん中に、後ろを向いて座っている。私はお花畑の前まで来た。
「!?」
突然その子は振り向いて、私の顔を見た。…顔も私と同じだ。
その子は驚くこともなく立ち上がって私に近づいてくる。
「どうしてあなたはそんなに悪い子なの!!」
いきなり私を怒鳴りつけてきた。目に涙を浮かべ、とても怒っている。
「あなたが何も言い返さないから、もっともーっといじめられるのよ!!」
私が…言い返さない?彼女は一体何を言っているのだろう。
「だから…ママとお兄ちゃんを困らせるの…!!あなたのせいよ!!」
「ご…ごめん…ね」
なんだろう、この感じ…。モヤモヤが喉につっかえてる感じだ。
とうとう彼女の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。色々な感情が混ざった顔をしている。
「大っ嫌い!!大っ嫌い!!!」
「わっ!!」
私の足に黒い何かが巻きついた。それはどんどん私を絞めつけながら上へ上がってくる。
「うっ…や…やめて!!」
巻きつかれたところがはち切れそうだ。苦しい、痛い。これは一体なんだ。
「死んじゃえ!死んじゃえぇ!!」
私は黒い何かに飲み込まれ、痛みと共に意識を手放した……
雑で本当ごめんなさい。変なところ後で直します…




