四十二のお話
「何…あんな事って…?」
お姫様は何も答えてくれなかった。ただただ、寂しい目で私を見つめている。
「でも、もう大丈夫よ、大丈夫」
何が大丈夫なの…?なぜ教えてくれないの…?
「このまままっすぐ進んで」
「…うん」
お姫様は、一歩下がって向こうの方を指差した。今、ここから見えるのは不思議な木だけ。
「行きなさい、みんなが待ってるわ。止めちゃってごめんなさいね」
「あ…いえ…」
「チェシャ猫も…いるわ」
私はチェシャ猫と聞いて少し驚いた。一体どこで何をしているのだ。でも、やっと会える。
「あ…れ…」
今まで目の前にいたはずの三人が、忽然と姿を消した。目を擦って辺りを見渡したが、どこにもいない。さっきもうさぎがいきなり消えた。本当に不思議な森だ…。聞きたい事は山ほどあるのに…。それはもういい、早く進もう。チェシャ猫に、早く会いたい。
私は急ぎ足で森の中を進んでいく。
進めば進むほど木が大きくなって、森の中が薄暗くなってくる。一人じゃとても心細い。でも、私は足を止めずにどんどん進む。
「うっ…!?」
ズキンと頭が痛んで、私は足が絡まり転けた。薄っすら目を開けばそこは真っ暗な世界。あの森ではない。もしかして私、気を失った?分からない。あれくらいで気なんて失うか?
「わあっ」
私の体は、小さくなっていた。あの時見た夢の中の私だ。水色の可愛いエプロンドレス、白黒のシマシマ靴下。黒いリボンのカチューシャ。私は混乱しないように、落ち着いて深呼吸した。そして、立ち上がる。
「あ…」
前に道が見えた。あの森だ。どういう事だろう。ここは何?私は気にせずそっちに向かって歩き出した。普通に暗闇から抜け出す事が出来たが、体は元に戻らない。洋服も…
「このままで…行くのか…」
副島は多分私って気づかないだろうな…東村もね。チェシャ猫は…気づいてくれるかな…。不安ばっかり心に積もって行く。体が小さくなって、さっき以上に木が大きく見える。
「はぁ…」
細くて木に囲まれた道をひたすら進む。何があるかなんて分からない。本当にチェシャ猫がいるかも分からない。そう思えば、もっともっともっと不安になってくる。
…不安になっても仕方ないな。誰かが助けに来るわけでもないのだから。私は頬をバシッと叩き、気合いを入れた。
「よし、頑張れ私!」
そう言ってしっかり前を見た。私が小さくなって、周りのものはちょっと大きく見えるが、さっきと変わらない景色。でもきっと何かあるさ!そしてチェシャ猫に会える!そう思えば不安は少しだけ勇気へと変わった。小さくなった私はどんどん進んでゆく。
雑ですみません。後で変なところ直します。




