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アリスゲーム  作者: いずも
35/88

三十四のお話



「でも、どうして死神さんが…?」


「私が決めたの。ママを怒らせる悪い子は、痛い目にあわないといけないの」


今にも泣き出しそうな潤んだ目で私を見た。


そうだ…そうだったな…


私は流れる記憶を掴み、どうにか思い出した。

私は悪い子だった。お母さんを困らせる悪い子。お手伝いもしない、片付けもしない、頭も良くない悪い子だ。ごめんなさいって口で言うのは簡単だ。でも、それだけじゃ何回怒られても直らない。だから…


「私が…決めたんだ…」


私は罰を与えてくれる存在、『死神』を作った。でも、作られた死神はそれを嫌がった。「君の悲しむ顔は見たくない」と言って。だからこうした。死神からもらう傷は愛、私の罪悪感を、あなたが傷つける事で心から追い出せる。これなら了承してくれた。


「そう…そうよ…」


何故だか私の目からは大粒の涙が零れおちる。死神さんの事を思い出したからか?自分が、母親を困らせる悪い子だって分かったからか?色々なモノがぐちゃぐちゃと混ざり合って、なんとも言えない感情が喉の奥から込み上げてくる。涙が止まらない。


「おねーちゃん…どうしたの…?泣かないで…」


目の前で小さな私が私の頭を撫でながら言った。私はただ、下を向いて泣き続けた。


「ごめん…ごめんね…」


「泣かないで…」


その声と共に、突如私は真っ白な光に飲み込まれていった……







「……ん、……さん…」


誰かの泣き声、頬に伝う冷たい涙…


「死神…さん…?」


私は死神さんの腕の中で目を覚ました。目の前には涙を流す死神さんの顔があった。


「よかった…よかった…、死んでしまったかと思ったじゃないですか!」


「えへへ、ごめんね…」


本当に心配してくれていたのだろう。嬉しくて、また泣いてしまいそうだ。


「私ね、今夢を見てたの。その夢の中でね、死神さんの事思い出せたよ…」


死神さんは驚いて一瞬ポカンとした。が、すぐにニッと優しい笑顔を向けた。風がフワッと吹いて、死神さんの髪を揺らした。


「よかったです…」


その一言には、色々な感情が見えた気がした。悲しみ、苦しみ、そして喜び…

私は起き上がり、立ち上がって伸びをした。そして、私は死神さんへ向き直る。


「なんて言っていいのかな…なんか…不思議な感じ…」


「ですね…」


私がフニャっと笑って言うと、死神さんも笑った。あの時と変わらない笑顔。



「大変だー!大変だー!!」


「!?」


突然、どこからか見知らぬ大きな声が聞こえてきた。せっかく再会を喜び合っていたのに…


「なんの声?」


「多分うさぎの声です」


「うさぎ?」


こんなところにうさぎ?声はどんどん近づいて来ている。


「うぇっへへへへへへ〜、大変、大変だー!!」


大きな笑い声、一体何が大変なのだろう。パタパタと小さな足音も聞こえる。


「人間の男は捕まったよ!うえ…、メガネ女はどこだろう!!逃げた逃げた〜!!」


人間の男?メガネ女…?もしかして、東村と副島の事!?じゃあ、東村は捕まったのか!?


「死神さん!どうしよう…一緒に来た奴らの事かも…!!」


私が焦って死神さんに言うと、死神さんは小さく「え?」と言って立ち上がった。


「早く…捕まるといいですね…」


「え!?…まあいいや!行ってみようよ!」


私は死神さんの黒くて長い服を引っ張って、声のする方へ走った。捕まったら殺されてしまう、そう思ったから私は焦ったんだ。


「待ってください…!放っておけばいいでしょうに…」


「だっ、だって一応クラスメイトだし…嫌いだけど…」


木にぶつからないよう必死に声のする方へ走った。大っ嫌いな奴らのために私は走った。放っておけばいい、出来るなら私だってそうしたい。でも…


「あーっ!もう分かんない!!」


考えるのが嫌になり、私は走る事だけに集中した。


長い耳、右が三角に二箇所切れているうさぎの後ろ姿が見えた。


「ねえ!」


私はうさぎに声をかけた。うさぎの耳がピクリと動いて足を止めた。うさぎはゆっくりと振り向いた。

顔の上の部分は灰色、鼻から下は白。右目が青で下を、左目が赤で上を向いている。カッターシャツにサスペンダーをつけた黒いズボンを履いている。そして、妙にテンションが高い。変なうさぎだ。


「お…おぉおお…」


うさぎは、私を見るなり目を輝かせた。ぴょんぴょん飛び跳ね、くるくる回り出す。そして…


「…パパだよ…」


「…へ?」


突然変な事を言われた…




ーーーーーーーー

おまけ四コマ漫画


挿絵(By みてみん)

いつも色々雑で本当に申し訳ないです…。後で少しずつ直していきます。twitterで少しキャラクターの紹介や、四コマ漫画を載せたりもしています。よければ覗いてみてください(^^)@mii_616_です。

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