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アリスゲーム  作者: いずも
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三十一のお話


あの2人は大丈夫だろうか。たとえ大嫌いな奴らでも、こんな不思議な場所に来てしまったら心配してしまう。すでに2人殺されている。安全な場所なんてない気がする。

それと、この人はどこへ向かっているのだろう。本当に着いて行ってよかったのだろうか。脳内を色んなものがぐるぐる回っている。


「ねえ、あの場所に私以外の人っていなかった?私が寝てた場所…」


私は自称チェシャ猫に聞いてみた。いつからあそこにいたかは分からないが…


「君以外は誰もいなかったよ?」


彼は不思議そうに答えた。2人で先にどこかへ行ってしまったのか、あの光に飲み込まれて皆んなバラバラになってしまったのか…。結局私がひとりぼっちな事に変わりはないがな…


「君はひとりぼっちじゃないよ?」


「へ?」


私の考えてる事が分かったのか?頭の中を覗いた?確かチェシャ猫ともこんな事あったような…


「みーんな君と王子様を見守ってるよ、ずーっと」


「王子…様と…私を…?」


突如また、朝食会の時のような目眩に襲われる。視界がグニャグニャねじ曲がって見えて、立っていられなくなる。どうして急にこんな事になるのだろう。私は地面に座り込んで目を瞑った。


「そう、ずーっとずーっと大事にして、君のママより君らのことをよく知っているよ」


「やめて…何も言わないで…」


きっとまだ思い出してはいけない記憶なんだろう、と私は感じた。激しい目眩と頭痛、不愉快な耳鳴りに襲われながら必死に意識を保っている。このまま意識を手放せば、二度と戻って来られない気がするから…

自称チェシャ猫は私の背中を優しく撫でてくれる。その手はとても冷たくて、まるで氷のようだった。





やがて、目眩と頭痛から解放され、私は少し楽になった。でも、心のどこかが締めつけられているように苦しい。


「苦しいの?」


自称チェシャ猫は心配するように声をかけてくれたが、顔はずっとニコニコしていてあまり心配しているようには見えない。でも、声をかけてくれるだけで嬉しい。


「…ぁ…」


私は顔を上げると、色々なものが変わっている事に気がついた。周りに生えていた沢山の木は、まるで焼け焦げたように黒くなり、地面を覆い茂っていた雑草はなくなって、茶色く硬い土がむき出しになっている。それから、一番おかしな事になっているのは空だ。さっきまでは雲一つない、例えるならアクアマリンのように美しい空だった。だが、今は違う。空が、真っ赤だ。夕焼け色なんかじゃない、血のように赤いのだ。不気味という言葉じゃ足りないくらい気持ちの悪い空なのだ。一体何があったのだろう。


「ねぇ…空が…木が…」


変わり果てた景色に私は怖くなり、自称チェシャ猫に聞いた。彼は私が目を瞑っている間のことを知っているはず…


「気にしなくていいよ」


そう言って私の頭を優しく撫でた。ニコニコ笑う自称チェシャ猫、私の不安はどんどん大きくなっていく。


「ねぇ、何があったの?なんでこんな事に?」


私は質問するが、自称チェシャ猫は笑って私を撫で続けるだけ。私は、彼のことも怖くなって、立ち上がり少し離れた。すると彼も立ち上がって私を見た。前髪の隙間から見える細い目、チェシャ猫と同じ。でも、少し違う。チェシャ猫にはない冷たくて恐ろしい闇が見えるんだ。彼は一体何者なんだ。


「どうしたの?こっちにおいで、早く森を出よう」


優しい声で彼は言う。でも、私は首を横に振った。


「森を出て、どこへ行くの?どこへ向かって歩いているの?」


「秘密」


彼はチェシャ猫じゃない。チェシャ猫なら、どこへ向かって歩くのか聞くと、お城と答えるはず。きっと違う。チェシャ猫じゃない。


「あなたは…誰なの?」


私は恐る恐る聞いた。彼は…


「僕は、君たちの『闇』だよ」


そう答えた。『闇』、私たちの…分からないよ…


「君たちの小さな闇がどんどんどんどん積み重なって僕ができた。僕に名前なんてないんだ。だから、一番なりたい存在を真似して、形を作って名前も借りた。借りたじゃないか、勝手に使ってる」


意味が…分からない。難しい話ではない。だけど、分からないんだ。


「僕の望みは君と王子様を飲み込んで、チェシャ猫を乗っ取ることさ」


自称チェシャ猫の手は、ドス黒い液体に溶けるように変化していく。逃げなきゃ…、飲み込まれる前に…伝えないと…


「やめて…やめて…」


足が震えてうまく動かせない。走れない。彼はどんどん近づいてくる。そして、溶けた手が私の左腕を力強く掴んだ。もう片方の腕も同じように掴まれる。もう…逃げられない…


「大丈夫さ…怖くない…」


ドス黒い液体が、私の掴まれた腕から巻きつくように這ってくる。とても冷たい。私…このまま死ぬんだ…何も思い出せないまま……。そう考えて急に寂しくなってきた。お父さん、お母さん、ごめんね…、何も思い出せなくて…。チェシャ猫…今までありがとう…。体の力が抜けていく。不安も恐怖も、全てが吹っ飛ぶ感じだ…

変なところ沢山あると思います。後で直します、すみません。

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